バカンス
今回はリクエスト話
飛影達が海にやって来ました
まぁ…のほほんとしております
【バカンス?天界行きの片道切符でしょ?】
『うぅぅみぃぃだぁぁぁ!!!!』
青い空
エメラルドグリーンの透き通った海
白い砂浜
そう、飛影達は海に来ていた
周囲には飛影達しかいない
この場所はダドマのプライベートビーチなのである
飛影の道中はゆっくり行こうぜとの意見があり、方舟では来ずに平和に普通に常識的に非常識達が海へとやってきた
到着して真っ先に海へと飛び込んだのは飛影であった
空高く、500メートル程垂直に跳んでから海に着水した飛影
巨大な水飛沫が、他のメンバーを襲う
だが、若干名を除き人外というか、常識はずれというか、非常識というか、絶対強者級がワラワラといるため、濡れるのを嫌がったシーレイが巨大な鍵をその手に掴んで降り下ろしただけで津波のように襲いかかった飛沫が爆散する
『…』
この海に来た面子は
飛影(絶対強者級)
ダドマ(絶対強者級)
ギルギア(絶対強者級)
リタ(絶対強者級)
アンジェレネ(絶対強者級)
シーレイ(絶対強者級)
と
黒鋼(反則級上位)
と
椿(反則級)
優希(反則級)
彗(反則級)
秋野(反則級)
であった
飛影とシーレイのやり取りは絶対強者級には何アホなことやってんだか、馬鹿だなぁ
レベルでしかないが
常識外の存在ではあるが黒鋼以外の反則級にとっては開いた口が塞がらず、冷や汗をかくほどの衝撃である
「よし!死ぬ前に帰ろう!」
『賛成!!!!!!』
椿の言葉に直ぐ様全員が賛同の意を示し180度ターン
全力で逃走を始めようとする
「あっ!リタ逃がすな!」
走り始める前に音速で飛影の命令がリタに届いて光速で先回りをするリタ
「逃がしませんよ」
詰み
椿達の逃走は一秒で終了した
【絶対強者級と反則級の差】
「ほら…遊んでねえでちゃっちゃと着替えろよ」
既に着替え終えているダドマ
深い緑のトランクスタイプの水着でモデル体型で顔も整っているため、これが普通のビーチであれば逆ナンにでも会う程である
「ふむ…海など久しぶりじゃな」
そしてダドマの傍らに寄り添うギルギアも着替え済みである
高身長でモデル体型、出るとこは出てへこむとこはへこんでいる
黒のビギニを着用して黒の腰ほどまで伸びている髪を後ろで纏めている
これが普通のビーチであれば、ナンパ者続出のその数に比例した死者がでていただろう
「うっひょい!」
全身ずぶ濡れで海から上がったのは飛影である
着衣したまま飛び込んだため服もずぶ濡れであった
《炎舞・急速乾燥機》
しかし、飛影の身体を一瞬炎が包んだ瞬間には海水特有のベタつきや磯臭さも焼失して元通りになる
「お前着替えないのか?」
飛影のその行為をアホの所業だと思いながらもとりあえずは聞いてみたダドマ
「あっはっはー!!水着を忘れた!!」
満面の笑みで親指を立てる飛影
アホではなく、馬鹿である
「…飛影…ベッド」
そんな飛影のコートを軽く摘まむシーレイ
いつもと同じように眠そうに瞼を擦りながらも水着にはなっていた
アンジェレネとリタと比較すると一番若い外見のシーレイであるが、白のビギニにパレオを着けている
全体的に細いシーレイであるが、胸はCカップと中々のサイズである
そんなシーレイであるが海に来てもやることは変わらない
その手にはマイマクラがしっかりと握られていた
これが普通のビーチであれば、誘拐されそうになりシーレイの眠気を妨げた償いとして半径100キロ程度は崩壊するであろう
《風華・安眠ベッド》
飛影が風でベッドを形成すると、その場でダイブしてマイマクラを抱きしめながら睡眠を始める
騒がしくなることは必須なので、起こさないように音を遮断することも忘れていない
「飛ぃ影さぁん!!!」
きちんと、音を遮断したことを確認してからアンジェレネは飛影に飛び付く
「どうですかぁ!?似合いますかぁ!?悩殺ですかぁ!!」
子供のような幼い笑みを浮かべているアンジェレネ
リタとシーレイよりも大人びている(といっても17歳程度であるが)アンジェレネ
黄色いビギニを装着しており、馬鹿みたいに食べるのであるがお腹は見事に括れができており、胸もシーレイよりも大きい
これが普通のビーチであればナンパ者続出でアンジェレネにたかられた愚かなもの達の財布が空になるところである
「おー似合ってるぞー」
「やりましたぁ!!」
飛影の言葉にガッツポーズ
満足したのか、海に向かって跳躍する
『つばきさんー』
その光景を見ていた優希と秋野
半泣きである
「みなまで言わなくて大丈夫だよ…」
それだけで何が言いたいのか伝わっている椿も切なそうに遠い目をしていた
「くぅ!理不尽ですよ理不尽!!」
優希がその場で砂浜に拳を打ち付ける
外見的な年齢でいえば、椿も優希も秋野もギルギアやダドマを除いて同じぐらいである
「なんですか!?なんであんなスタイルが良いんですか!?」
秋野もその場に崩れ落ちる
苛ついている三人は、レベルとしてはかなり可愛いとも言える
ナンパ者も出てくるだろう
しかし絶対的な格差があった
胸も、まぁ成長期だから…で済ませられるし、お腹まわりもさっき食べたからとかで誤魔化せることは可能であるかもしれない
「なんでアンジェレネさんあんな腹引っ込んでくびれができてるんですか!?朝御飯どれだけ食べたと思ってるんですか!!?」
「移動中も食べてたよね…」
これが絶対強者級と反則級の差なのかと、女子三人が絶望しかけた時に
「…どうなさったんですか?」
女神が現れた
薄い水色のワンピース型の水着を着ているリタ
所々フリルがついている
三人の目が一斉にリタに向かう
細く綺麗ともいえるリタの身体だが、胸は無かった
味方が増えたことに三人は小さくガッツポーズ
「いやーよかったです」
絶対強者級でも絶対ではないことに安堵の溜め息を吐く優希
「リタさんまで胸が大きかったらどうしようか」
《神の翼》
海が裂けた
何が起きたかすぐには理解できなかった優希だが、リタの背中に12本の水晶のように綺麗な翼が海に向かって伸びているのを見て
リタの眼からハイライトが失われているのに気が付いてようやく悟った
(これ地雷だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!…)
そう、リタの周囲にいたのはアンジェレネとシーレイである
双方には絶対的な格差が存在していた
当然ながらコンプレックスである
(こ…殺される!)
優希は死を覚悟した
最後の言葉がリタさんまで胸が大きかったらどうしようか、等というくだらない言葉は嫌だと思いながらもこの声が出せない状況
「こらリタなにやってんだ」
そんな優希を救ったのは飛影であった
リタの頬を摘まむと徐々に徐々に眼に光が戻っていく
「あっ…ふいませんふい我をわふれて」
ようやく正気に戻ったリタ
しかし飛影はリタの頬を摘まんで伸ばす
「おぉ!!椿!リタの肌めっちゃすべすべだ!!」
「えっ嘘!!?」
絶対強者級でも絶対ではないことに安堵していた椿だが飛影の笑顔によって嫌な予感を覚える
飛影に頬を摘ままれてなすがままになっているリタの逆の頬に触れる
「…っ!!!!??」
椿の全身に電気が走る
リタとの接触による静電気などではなく、純粋にショックで精神的に電気が走ったのである
(こ…これは…)
触れた瞬間に滑らかで、しっかりとした弾力をもちながらも潤いに溢れているリタの肌
頬だけではないだろうと、椿がリタの腕に触れるがやはり、ありえないほどの肌である
「赤ちゃん以上の、潤いと弾力と滑らかさってこんなのおかしいよ…」
ぐふっと椿はショックでその場に気絶する
それを見ていた優希と秋野
禁じられているものほど、欲求は強くなる
『ぐふっ…!』
椿同様に、触れた瞬間に優希と秋野もその場で気絶する
「…これはいったい…?」
「まぁ気にすんな!」
【ビーチバレー】
「行くぜ!黒鋼!彗!覚悟しろやぁ!!」
飛影と黒鋼と彗はビーチバレーをしていた
チームは平等に飛影が一人で黒鋼と彗が組んでいた
「ふっ!」
ボールを高く上げて、飛影も跳躍
大きなスイングでバレーボールに叩き付ける
粉砕しないように心掛けた一撃はかなり速いが、人間レベル
彗は着地点に先回り
黒鋼に良い玉を渡そうと構える彗
「…避けろって!無理なら強化!」
「はっ?」
珍しく声を張り上げる黒鋼に彗は反射的に魔法を発動する
《限界突破・全身強化》
強化と同時に、飛影のサーブが彗の腕に落下
「っ!」
ただのサーブではなかった
超回転がかけられたサーブは彗の腕からこぼれ落ちて海へと落下
海の水に触れた瞬間に海が弾けた
「はい?」
水飛沫が彗の顔を襲う
「彗、今の魔法無しで受けたら彗の腕がバラバラになるところだったよ」
「はぁ!!?」
いつも通りの無表情で、彗の命の危機だったことを伝える黒鋼
「あっはっはー!食らいそうだったら魔法で防いださ!」
「ちょっ!笑うとこかこのあほ!!」
声を出して笑う飛影に彗は反射的に魔法を発動して強化された延髄蹴りが飛影に突っ込みとして炸裂する
あくまでも突っ込みである
常人なら全身が物理的に弾ける一撃だが、飛影は垂れ流しの魔力だけで防ぎきっていた
「少しはマトモに喰らってくれるとか優しさはないのか!?」
逆に蹴りを放った彗の方がダメージは大きい
「この優しさに満ち溢れている俺を捕まえて何を言う!?」
「鏡を見てから言え!!」
彗の突っ込みに対し飛影は黒鋼を掴むと鏡に変える
「この優しさに満ち溢れている俺を捕まえて何を言う!?」
「うるせぇよ!!!」
【海と言えば】
「やっぱり花火だよねー!!」
男性陣、女性陣共に浴衣に着替えていた
飛影とギルギアのボールを破壊したら敗けのデスゲーム(ビーチバレー)で危うく世界が滅ぶなんて状況にもなったが、全員が五体満足であった
身体のラインを隠す浴衣のお陰で復活した椿
大量の花火を抱えている
激安で有名な雑貨屋五件、様々な花火を買い占めた彼等
考え無しではなく、真剣に考えた結果であることが更にたちが悪い
とても一部以外二世紀以上生きているとは思えないほどの食い付きで花火をその手に掴む
そして全員がふと気付いた
((火がない))
そう、キチンと花火を買い占めたが火を買うのを忘れていた
一部以外は、気まぐれで世界を滅ぼせることができる存在であるが、馬鹿なのである
そして改善策を最初に思い浮かんだのはギルギアであった
「ほれ」
飛影へ花火を向ける
「あ?」
「なんじゃ?貴様は身長だけでなく頭の中身までチビなんじゃな…火をつけろと言っているんじゃ」
((あ~その手があったか))
ギルギアの言葉で、内心頷いて理解するメンバー
炎の魔法使いである飛影ならば、ライターやマッチなんてものは必要ないのである
「あ?殺すぞババア?」
やれやれと溜め息を吐くギルギアに飛影は一気に沸点に達した
飛影からのババア発言にギルギアも沸点に達して双方ともに魔力を解放
した瞬間
『あ!』
花火が一斉に着火
飛影は炎の魔法使いであり、魔力を解放すれば周囲の温度が上がる
沸点に達して全解放すればそれだけで普通の人間ならば焼け死ぬ
優希達が無事なのは、飛影が炎舞で優希達への熱が常に一定になるようにしているからである
しかし、今回花火に関しては加護をつけていなかった
そして、まだ着火ならば良かったが一瞬で燃え尽きた
「なにやっとんじゃあ!!」
椿渾身のドロップキックが飛影の顔面を捉えた
「……すまん」
【最後はやっぱり】
砂浜に正座している魔王がいた
その顔には「誠に申し訳ありませんでした」と書かれた紙が貼り付けられている
その隣には同じく正座している魔王補佐がいた
その顔には「もう二度としません」と書かれた紙が貼り付けられている
「くそチビが…何故我がこんな屈辱を味わうことになったのじゃ」
「うるせえババア」
二人してボソボソと口喧嘩をしている
互いにNGワードを言いあっているが、ぶちギレることはない
理由として、満面の笑みでぶちギレている椿と、ニヤニヤとこの状況を面白がっているダドマが目の前にいるからである
かろうじて残った花火(絶対強者級が持っていたもの)で遊んでいるが、物足りなさを通り越して、虚しくなっていた
「え~椿さん…取って置きを出すので許してください」
このままじゃまずいと判断した飛影は恐る恐ると自然に敬語になって発言する
「ん~?それ次第かな~(駄目だったら説教だから)」
ビクゥっ!と震える飛影
満面の笑みで、優しい声色であるが飛影の耳には違う言葉で聞こえていた
《炎舞・花火》
飛影は一瞬だけ魔力を解放して魔法を発動
無数の炎の玉が海を照らす
《炎舞・蛍火》
続いて、別の魔法を発動
椿達の周囲に幻想的な小さな炎が灯され、様々な色の輝きを放つ
『おぉ~』
殺すための魔法ではなく、魅せるための魔法
思わず感嘆な一言が漏れる
「スタート」
飛影が指をならすと蛍火がくるくると弧を描きながら集まっていく
そして、全ての蛍火が一つになると、海を照らす無数の炎へと向かう
その内の一つに蛍火がくっついた瞬間、打ち上げが開始される
「二万三千発、御堪能あれ」
巨大な華が夜空に咲き誇る
休むことなく打ち上げられる花火は圧巻される一方である
ダドマやいつの間にか紙を外したギルギアも感心しており、椿達も眼を離せられなかった
「あっ!!私だ!!」
ただ華が咲くだけではなく、空に椿の絵が咲いた
それを合図に次々と人物の絵が咲く
見渡す限り咲いた花火だが、30分程で終了する
周囲が和気あいあいと盛り上がってる中、飛影はゴミがないか確認して、いまだに眠り続けているシーレイのベッドを構築を解除
確かに眠っていた筈のシーレイだが、片足が地面に着いた瞬間には飛影の背中に乗っていて眠っていた
「…はやっ!」
瞬間移動かと感じるほどで、素直に感心する飛影
「さて、帰るぞ!!」
帰りの電車の時間を考えてからダドマは引率の教師のように手を二回叩く
『おぉ~!』
一日中騒ぎまくったメンバーだが元気よく返事を返す
飛影達の束の間の安息日であった
次回は本編!
作者足首折りましたorz
足折ると辛いんですね…