魔王補佐
打ち上げな話です
Xperiaが慣れません…
神編終了です
全員ハルカに治療してもらい、完全回復した次の日
「んじゃあ全員勝ったことだし!!呑むぞぉぉ!!」
『おぉー!』
飛影の屋敷では庭で打ち上げが開催されていた
時刻は12時
快晴で秋の涼しい風が吹いている
飛影と優希が腕によりをかけて作成した料理の数々が白のテーブルに飾られ、
その逆には完全酒コーナーとして、国や世界関係無くお高い酒が並んでいた
メンバーは、
魔王三人に補佐
神四人
従者一人
武器一人
寄生者一人
そして強制的に連れてこられた憐れな学生二人である
現在、昼間であり、平日である
さらにこの打ち上げにソフトドリンクは存在していない
「おいコラ飛影!!今すぐに拉致ってここに連れてきた理由を教えてもらおうか!?」
「祝い事には、皆参加しなきゃな!!」
「こんにゃろ!!」
あっはっはーと、笑う飛影の顔面目掛けて拳を放つ彗
彗の拳は飛影の魔力のみで完全に防ぎきられていて飛影にダメージはない
「せめて喰らえよ!」
逆に殴った方が痛いという不思議である
「といいますか飛影先輩!!今日テストなんですよ!?期末テストなんですよ!!」
彗以上に必死なのが秋野であった
彗は成績優秀のため、かなり手痛いで済むが秋野は意外にも成績が悪い
そのため、今回の期末テストは進級が本気で懸かっていた
「うーん…ダドマー!今日テストらしいがなんとかなんねー?」
少し飛影達とは離れた場所にいたダドマへ話し掛ける
肉料理を片手に赤ワインを吟味しているダドマは飛影を見て、彗と秋野を見て一つ頷く
因にであるが発案者は飛影で実行犯はダドマである
「あー、全員とりあえず全教科満点にしとくから気にせず飲め」
未成年者の彗と秋野に酒を進める校長
彗は呆れていたが、秋野は小さくガッツポーズしていた
本日のテストの三教科
全て秋野が苦手な科目であった
彗としてはズルは嫌いであるが、この現状は天災にあったと考えており、救済処置だと思うことにしたのであった
彗の考えは正しく、学校に登校中勝手に方舟で飛ばされて気付いたらこの場にいて結界が張ってあり脱出は不可能なのである
「まぁ彗も秋野も呑めよ!」
「未成年だ!」
「未成年です!」
必死に首を振る彗と秋野
飛影は黙って未成年者であるにも関わらずワイン瓶をらっぱ飲みしている優希を指す
「あれはおかしい」
彗と秋野が乗り気ではないことに、些か不満なのかむぅと顔をしかめる
「まぁ楽しめ!!」
結論、楽しければ何でも良し
飯だけでも充分楽しめるので問題はないと飛影は判断して二人に笑いかけると他の所へ移動していった
「あらー良いところに、ねぇねぇそこのお嬢さんお兄さん、この屋敷の地下ってどう入ればいいのかしら?迷っちゃって困ってるのよー」
ふと、黒髪の着物を着た18歳程の少女に彗と秋野は話し掛けられた
雰囲気がどこからふわふわとしている落ち着いた雰囲気で笑顔を浮かべている少女であった
「地下?俺はわからないけど、佐藤は知ってるか?」
「んー私もわからないですね」
基本的に彗と秋野が知っているのは一階と二階で地下があることすら知らない
「あらあら…まぁいいわーありがとねー」
腕を組んで左手を顎に乗せて首を傾げながら彗達から離れる
(今の誰だ?)
(飛影先輩の知り合いかな?)
飛影の非常識側の面子とは付き合いは短い彗と秋野
知らない者がいても、飛影の知り合いで片付けてしまうのも無理はない
「うまいです!!これ飛影さんと優希ちゃんが、作ったんですか!?」
「…おいしい」
両手一杯に料理を持って、ガツ食いしているアンジェレネともそもそと最小限の動きで食べているシーレイ
満開の笑顔のアンジェレネと僅かに微笑んでいるシーレイ
料理を作った飛影としては嬉しいことである
「おー!嬉しいことだ!!」
二人につられて飛影も笑顔になる
「あっ!!そういえば今日から私とシーレイちゃんとリタちゃんとハルカさんは住むことになったのでヨロシクです!」
「まぁ部屋余ってるし構わんぞ」
飛影が家主であるが、住むことになっていたことは初耳である
それは当たり前で、アンジェレネがシーレイに住むことを許可されるか聞いて未来確知のシーレイがOKを出しただけなのである
モラルとしてどうなのかという話もあるが、それも含めてシーレイは確知していたので問題はなかった
「ありがとーございまーす!!」
深々と頭を下げるアンジェレネと僅かに頭を下げるシーレイに微笑みながら飛影は他の場所に移動する
「うーん…迷ったわ~」
そのアンジェレネの目の前で困ったように首を傾げる着物を着た少女
「どうしたんですか~?」
人懐っこい性格のアンジェレネは直ぐに少女へと声を掛ける
「屋敷の入り方がわからないのよ~」
「あーソフトドリンク防止として結界が張ってあるんですよ。二階の窓は全部結界範囲外なのでそこから出入りすれば大丈夫です!」
ソフトドリンクを所望するのは彗と秋野くらいしかいないため、絶対に入れないと思わせるための結界である
巧妙に隠されているがマイマクラを取りに行ったシーレイをたまたま見ていたアンジェレネは知っていた
「あら…ふふ、ありがとね~」
着物の少女は軽く跳躍して二階から屋敷へと入っていった
(今の人どっかで見たような?)
少し疑問を覚えたがすぐさま料理を食べることに意識して頭から離れたアンジェレネ
シーレイは料理に満足したのか、日光があたるその場で寝始めていた
「おっリタ発見!ハルカも一緒か」
「どうも」
「飛影さん飛影さん!大勝利ですよ大勝利ー!さすが飛影さんです!」
飛影が近付いたのはまたしても温度差コンビである
普通に満喫しているリタとハイテンションで満喫しているハルカ
「そうです!飛影さん!補佐にしてください!!」
満面の笑みのハルカ
しかし飛影はため息を吐いて、ハルカの頭を小突く
「だから馬鹿か!」
「…痛いです!えっと…飛影さんの補佐にしてください!…まだいないですよね?私は役に立ちますよ!」
ふむ、と飛影はハルカの申し出に一つ考える
予定とは違っているが、それはそれで面白そうだと飛影が結論を出した瞬間の事である
ハルカの足元に白い穴が現れて
「嘘でしょ!!?」
ハルカの表情が引きつった
「ちょっ…まっ!!…普通リタちゃんでしょ!サラブレッドだよ!!?」
ハルカは神々しい光を発する神の翼で落ちないように羽ばたいているが段々と落ちていく
「なんだ?」
敵意や殺意を白い穴から感じないため飛影は冷静に同じく冷静なリタに問い掛ける
「ハルカさん、神王に選ばれたのですよ。ハルカさん以上に強い方がいないので順当ではありますが…」
「いいやぁぁあ!!飛影さんの補佐したいのにぃぃぃ!」
わたわたともがいているハルカ
ハルカが、本気を出せば抜ける可能性があるが考え付いていない
腰まで沈むハルカは軽く涙目であった
「ひーえーいーさーん!」
しょうがないと、飛影はハルカの手を掴んで引っ張りあげようとするが延ばした手は空を掴んだ
「…干渉不可能だな」
ハルカに触れられないのである
魔法を使っても触れることが出来なかったため、諦めて両手をあげる
「あーもー!!飛影さん今度神界に遊びに来てくださいね!」
覚悟を決めたハルカは、半泣きでありながらも笑って穴に落ちていった
『…』
一瞬の静寂
「唐突だなぁー」
「そうですね」
素直な感想を飛影は呟いた
「そうだリタ」
「なんでしょう?」
「リタさえ良ければ何だが、俺の補佐になってくれないか?」
「はい!喜んで引き受けます」
「決断早いな」
「貴方が言わなければ私からお願いしようとしていましたから」
「なんで?」
「…そうですね。今回の戦いで貴方にお仕えしたいと思えてしまったから…ですね。貴方はどうして?」
「似てるから…だな。あとは面白そうだから!」
「光栄です」
飛影の笑顔にリタも微笑みを返す
その場で片膝をついて頭を下げる
「…私は今より貴方だけを支える補佐となりましょう…貴方の背中を護る翼となりましょう…貴方の敵を殲滅する矛となりましょう。」
リタの差し出した手を飛影は握る
「俺の背中は任せた。俺が間違ったときはお前が殺れ」
リタは飛影に手を引かれて立ち上がると女神のような笑みを浮かべた
「了解しました。これからよろしくお願いしますね…飛影」
「おう!よろしくなリタ!」
こうして飛影に魔王補佐がついた
災厄と女神という対極ながらも似ている二人
飛影のハチャメチャぶりに苦労をするのはまだ少し先である
おまけ
「そういえばハルカが言ってたサラブレッドって?」
「あぁ、私の父は神王で母も始まりの女神と強力な方ですので」
「まじか!?」
おまけ2
「なんでリタちゃんじゃなくて私なのぉぉぉぉ!!うわぁぁぁぁぁぁん!!」
神界について一週間程枕を濡らしたハルカがいた
お次はアホと天才が登場します