懐刀VS気配完全察知&魔法最強
いや…ほんと
更新
遅れて
誠に
申し訳
ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁorz
(…さて、これはどうしようかな~)
他の組と同じく、荒野の世界
ハルカは腕の柔軟を行いながら、対峙している二人を見る
一対二
同じ程度の実力を持つ絶対強者級の戦いにおいて、それは絶望的でもある
同士討ちを狙おうにも、中距離戦に長けている気配完全察知のベルと中距離戦に長けているソロが相手ではそれは望めない
屈伸や前屈と準備運動を始めるハルカ
「いや~けど、魔界の魔王の戦略には助けられたね…」
ニヤニヤと笑みを浮かべる盲目の少女ベル
包帯を眼に巻き付けているが、監視されている気配をハルカは感じていた
「どういうこと?」
「そりゃそうだよ、だって一番で唯一の障害であるハルカに二対一の戦いができるんだよ?ライザでもハルカに勝てるかわからないし…こっちとしては、出るはずの犠牲が出ないで済むんだ…ほんとありがたく、バカだと思うよ」
まぁその馬鹿は礼を言う前に死ぬけど、とベルは付け足す
「…」
「あれ?怒った?」
更に嬉しそうな笑みを浮かべる
気配完全察知のベルは話術も長けている
相手の気配を察知するため、感情の波も察知できる
「ベル…そろそろ止めておきなさい」
「え~なんで!!?」
そんなベルとハルカの会話を止めたのはソロであった
「彼女は時間稼ぎが目的です…まぁ全員死ぬかと思いますが、最悪アンジェレネが来れますからね…アンジェレネが来てしまうと敗けはほぼ確実なのはわかりますよね?」
アンジェレネも絶対強者級である
ベルもソロもハルカのことを舐めてはいない
逆にサシであるなら敗北することは理解している
ベルとソロの勝利できる条件は、増援が来る前にハルカを殺すことである
逆に敗北する条件は、増援が来てどちらかが一対一でハルカと戦いになることである
「確かに…そうね…アンジェレネも弱くないし、逆に変な武器出されたら負けるしね」
残念そうに肩を軽く落とすベル
そして意識を切り替える
「じゃあ始めましょ?」
《アローディストーション》
「殺されないようにやりますか…」
《戒めの楔》
「はぁ、もうちょっと時間稼ぎしたかったんだケドね」
《レーリス》
三者とも、同時に魔力を解放し魔法を構築する
魔法最強であるソロよりも、魔力が高いハルカは手をぷらぷらと揺らす
《レーリス・自動回復》
光がハルカにまとわりついた
その光はありとあらゆる致死性の怪我を負っても、魔力がつきない限り再生し続ける
「完全に時間稼ぎですね…」
その光の効力を知っているソロは軽く溜め息を吐く
「なにあれ?」
その効力を知らないベルはソロに問いかける
「簡単に言えば、魔力がつきない限り死なない魔法ですよ。木っ端微塵にしても再生するハルカという存在が強力だと言われている理由があれです」
「簡単に言えば吸血鬼みたいな?」
「その上位互換と考えれば楽かと」
再生力で一番有名な存在である吸血鬼
ハルカの魔法はそれを凌駕する
「りょ~か~い。前線は私でいいよね?」
「構いませんよ」
《アローディストーション・直線ベクトル》
ソロからの許可がおりたベルは魔法を構築
一本の槍のような矢印がその手に宿る
「んじゃ…援護よろしく」
「了解」
《アローディストーション・超速いよ》
「わっ!!?」
ハルカの足元にベルたちへ向けての矢印が現れる
その瞬間にハルカは飛ばされているかのようにベルに引き寄せられる
「まずは一回目ってとこ!!」
矢印を構え、ハルカへと穿つ
「まずっ!!?」
防ごうと両手を十字に構えるハルカ
《戒めの楔・拘束》
「っ」
その両手に鎖による楔が打ち込まれた
防ごうとしたハルカの両手を拘束しベルの一撃をまともに直撃したハルカ
頭が衝撃で弾け飛ぶ
「やっぱ辛いな~っと!!」
一瞬で再生したハルカは勢いをそのままにベルへと殴りかかる
《戒めの楔・大爆発》
《アローディストーション・お前だけ食らえバーカ》
ハルカの目の前に鎖が出現
拳が激突すると同時に鎖が爆発する
ハルカとベルの二人に衝撃が襲い掛かる
しかし、ベルへの衝撃波は全て反射されハルカに集中
「…っ!!」
腕を吹き飛ばされ、衝撃波が身体に打ち付けられた
皮が破れ、肉が裂かれ、骨が砕かれる
「…きつい」
だが、次の瞬間には傷が再生していた
「キリが無いね…」
「まぁ魔力が尽きるまでの辛抱ですかね」
残りのハルカの魔力は八割
(…飛影さんが来るまで…耐えられるかな~)
二対一という状況の中でも余裕があるハルカ
《アローディストーション・どかんと接近》
その余裕を感じ取ったベルの足元に矢印が出現する
ベルの魔法は全ての向きを矢印の方向に歪めることである
重力に従っていたベルの向きを歪めてハルカへと一瞬で距離を詰める
「いつまで余裕でいられるかな!!?」
《アローディストーション・めっちゃパンチ》
腕に矢印が出現
矢印の先にはハルカがいる
方向を歪めて進行方向へ力を増大させる
「はやいなっもう!!」
ハルカは咄嗟の判断で十字に構える
《戒めの楔・拘束》
「っ!!?」
ソロの魔法の気配を感じたハルカは思わず、身構える
これでは先程の二の舞になると大きく後退
「甘いですね」
地面から鎖が飛び出しハルカの脚を拘束する
気配完全察知のベルは既にハルカに急接近していた
態勢が崩れながらも、防御の形は崩していない
「更に甘甘!!」
《アローディストーション・フォーク&ストレート》
拳が直角に落ちる
ハルカの防御範囲外まで落ちた瞬間に、拳が発射される
「っ!!?」
防御できずにまともに直撃を食らうハルカはくの字に折れ曲がる
内臓が破壊と再生を繰り返すがハルカにはまだ余裕があった
(これで吹き飛んで距離を離せば…)
「とりあえず、10回くらい死んどけ!!」
《アローディストーション・吸引力の変わらないただ一つの矢印》
吹き飛ぶハズのハルカのベクトルを歪める
ハルカ自身が望まない形にベクトルが歪めら、ベルに引き寄せられる
《アローディストーション・幻の右ストレート》
魔法を込めた全力の一撃はハルカの防御も吹き飛ばし上半身を爆散させる
「もういっちょう!!」
《アローディストーション・伝説の左ストレート》
ハルカの身体が再生した瞬間に再び全力の一撃が直撃する
10分間
再生からの破壊を繰り返し、ハルカの魔力は二割まで削られていた
《アローディストーション・何百回目かの幻の右ストレート》
ハルカは何度も再生のタイミングを変えたが、気配完全察知のベルは全てをことごとく察知する
再生した瞬間を狙って、もう一撃
顔面に直撃する一撃の手首をハルカは掴んだ
掴んだだけでは止まらない一撃を流してどうにか回避するハルカ
「…相性最悪」
ようやく一息つくことができたハルカ
気配完全察知の実力を再認識した
「逃がした!!」
「まぁ上出来ですよ、あとは虫の息ですから」
ハルカを殺しきる予定だったベルは忌々しそうにハルカを見る
だがソロは笑顔であった
あのハルカを一瞬の隙をついたとはいえ一方的に殺し尽くして、六割もの魔力を使わせたのである
そして燃費がいいのか、ベルの魔力は残り六割
ソロはサポートだったため、九割は残っている
これならば、アンジェレネが来ても確実に殺せる
(…ちょっと辛いな~…飛影さんはまだ来れないよね。一時間は逃げるつもりだったのに…まさかだからな…)
「…ベルって接近戦苦手じゃなかったっけ?私中距離戦しか見たことないんだけど…」
ハルカは最初の神王の部下である
他のモノ達のことも、詳しいつもりであった
そのため、相手がベルとソロであれば、捕まらないように逃げ回って時々、接近して乱して時間を稼げるつもりであったのだ
「あぁそれ?これ奥の手だもん!接近戦ができないと意識させれば今回みたく強敵でも叩けるし…ホントは隠したいけどハルカ相手ならしょうがないし」
「…むぅ」
完全にベルの狙い通りに騙されたハルカ
何も言えなかった
「とりあえず残念ねハルカ!ここで死ぬし…それになんかまだ助けが来るとか思ってるけど無理無理!!助け来ても殺せるよ?魔界の魔王が来てもケチョンケチョンだね。あれ弱そうだったし」
「まぁベルの言う通りですね…アンジェレネが来ても今なら何とかできますし、最弱である魔界の魔王がまず最速最力コンビに勝てるはずないですし、ほんとにバカだと思いますね」
勝利を確信している二人の言葉
「…め」
そんな言葉を聞いたハルカの雰囲気が変化する
「なんか言った?」
気配完全察知のベルでもギリギリ聞こえない程度の呟き
俯いているためソロも読み取ることができていない
「…それで三回目…飛影さんを馬鹿にした回数」
「なにそれ?どうでもいいよってか死ね!!」
《アローディストーション・秘伝のエルボー》
同じようにベルはハルカに急接近
絶対的なピンチにも関わらずニヤリとハルカは笑った
「っ!!?」
寒気がするほどの不気味な気配にベルは接近を諦める
すぐに方向を歪ませてハルカの頭上に跳躍
《アローディストーション・ペタッて潰れろ》
重力を歪ませるベル
何万倍にも膨れ上がった重力はハルカの身体を硬直させる
「ソロ!!」
「ナイスです!!」
《戒めの楔・大爆発》
一瞬も油断しない二人
硬直で動けないハルカの身体を吹き飛ばす
魔力が二割をきってもハルカなのである
油断すれば形勢逆転も有り得ないことではない
ハルカの最大の過ちは二対一でも余裕をもって対処したこと
《戒めの楔・終局》
ベルが拘束している間に、殺し尽くす
その考えでソロは魔法を放ち続ける
爆発で粉塵が巻き起こり、重力によって粉塵が落ちる前に新たな爆発が起きる
視界にハルカは移らないが魔力と感触、そしてベルの気配完全察知により直撃しつづけていることは理解していた
魔力が減少し続けて、ついに一割をきった
「あれ?ベルが450歳でソロが150万歳だっけ?ウチの古株はライザの1700万歳が最高だったっけな」
爆発の中から声が二人に届いた
その声は殺されつづけているハルカであった
「何ですか?遺言か何かなら聞いてあげますよ」
「私は一億以上は生きてるの…3000万年から今の私は懐刀」
教えてあげる…飛影さんを馬鹿にした愚か者に
『っ!!?』
聞こえないハズの声が二人に届いた
「ソロ!!」
逸早く気付いたのはベルであった
重力からハルカが脱け出したのである
影が飛び出してソロへと一直線に突き進む
《アローディストーション・バックオーライ》
《戒めの楔・防御の楔》
ベルが距離を離すための魔法を使い、ソロが防ぐために前方に楔を顕現させる
「…私は、一億年前は神の脚…最速だった」
ソロの背後
ハルカはベルとソロの二人の魔法を避けて、ソロの背後へと移動していた
死の距離
「ソロ逃げなって!!」
「わかってますよ!!」
全力でハルカから離れる
そして交代するようにベルがハルカへと接近
「風前の灯火ってやつ!!?」
《アローディストーション・木っ端微塵》
どこか危険な気配を感じたベルは惜しむことなく最大級の威力を持つ一撃を見舞う
「私は9000万年前防御力最強だった」
その一撃をハルカは片手で受け止めていた
「ふっざけ…!!」
ベルがどれだけ力を込めてもピクリとも動かない
《アローディストーション・離れ…》
魔法を構築しようとした一瞬
威力を感じさせないハルカの拳が構築を止めた
「私は、8000万年前は気配完全察知だった」
「ふざけんなっ!!」
自らの称号
それはその分野での最強を意味する誇りである
今の一撃は気配完全察知としての一撃であった
《アローディストーション・お前だけは殺す》
《戒めの楔・回収》
怒りで周りが見えなくなったベルは全魔力を込めてハルカへと殴りかかる
ソロは咄嗟にベルを無理矢理離すために鎖を放つ
「私は、7000万年前は魔法最強だった」
ハルカは本当の魔力を静かに解放する
「…こんなのあり得るはずが!!」
魔法最強のソロと比較して桁が違う魔力量
「そして、6000万年前は貫通力最強だった」
ハルカはゆっくりと腕を持ち上げる
「まずい!?」
《戒めの楔・回収》
ハルカの魔力解放で身体が竦み上がったベルを鎖で巻き付けて手繰り寄せ
《戒めの楔・極防御》
同時に構築していた魔法を発動
鎖で前方に螺旋の壁を作成
貫通の衝撃を殺すための防御壁
ハルカは軽く腕を振るう
衝撃波がソロの防御壁を抉り、右肩を吹き飛ばした
「私は、5000万年前は攻撃力最強だった」
ハルカの右拳に魔力が集中する
『っ!!?』
嫌な気配、神の背筋が凍る
《アローディストーション・全魔力消費の反射》
《戒めの楔・魔法最強の名を得るもの》
ハルカの拳がベルの一撃を相殺する
ただの拳でベルの全力が相殺されたのである
続くソロの一撃
彼の全魔力を消費した奥の手
鎖が光速でハルカを囲う
ソロの奥の手に対してハルカはただ笑う
《スプライト(全てを狩る剣)》
ハルカの右手に黄金の剣が宿る
「私は、4000万年前は戦闘力最強だった」
剣を無造作に一振り
ただそれだけでソロの奥の手である一撃が崩壊した
「…次元が違いますね」
ソロとベルの最大の過ちは二対一でハルカに挑んだことである
「…じゃあ死んで」
ハルカは再び黄金の剣で一振り
それだけであるにも関わらず、ソロとベルの身体が崩壊していく
ハルカは平均的に能力が高い
それは、突出しているハズの他のモノよりも強いのである
戦闘
貫通
防御
速度
攻撃
察知
魔法
確知を除く全てにおいてハルカは遥か高みにいた
戦闘終了の合図として世界を脱出するための、扉が出現する
「…さてと…どうやって隠そうかな」
さすがに二対一で勝ってしまうのはやりすぎである
実力を隠したいハルカとしては言い訳を考える方が勝つよりも難しい
余談ではあるが、結局二対一で勝った言い訳としては一対一で勝負して二連勝したことにしたハルカで周りもハルカならあり得るということで信じたのである
ハルカVSベル&ソロ
ハルカの完勝
ハルカは本作品最強キャラです。