きっかけの始まり
ちょっと短いかもです
ようやく本編が始まりました
静紅と別れてから一週間後
少年はSランクの遺跡を攻略して宝をコートにしまって、遺跡を出て発見した盗賊を皆殺しにしてから寝る
といういつも通りの生活をおくっていた
静紅と会ってから変わったことといえば刀を使用するようになったことと、殺す前に名前を聞くことである
そんな少しだけいつもと違うがいつも通りの生活をしていた
少年は朝起きて血と悲鳴を欲してふらふらと森を歩いていた時のことである
「…なんだ?」
空気が変わった
威圧的な空気でどこか懐かしく感じる空気である
光が少年の前に現れる
初めは小さな白い光
それが光量を増していき大きくなっていく
そして少年と同じ大きさまて光が大きくなり人の形に変化していく
一際光が強くなるとそこには一人の少女がいた
「初めまして!!私は椿、あなたの名前は?」
普通ではない登場だが椿と名乗った少女は満面の笑みを浮かべた
「…」
少年は黙って刀を抜く
「えぇ!!?…ちょっと待って待って!!」
すると突然慌てる椿
当然の反応といえば当然の反応である
「…」
少年は刀を抜いただけ
椿を観察する
攻撃の意思を見せたが敵意も殺意も発さない
魔力も体つきもそこらの盗賊にも劣るレベル
少年と同じくらいの背丈に歳、茶髪でアホ毛が目立つ可愛らしい少女
民族衣装のような服を着ている
「え~と名前は?」
攻撃されないと判断して再び口を開く
「…」
静紅と会う前なら、問答無用で切り刻んでいた少年だがそんな気は起こらなかった
「…まだない。お前…なんだ?」
誰ではなくなに
少年は目の前の存在に問いかける
「私は椿だよ?」
少年の問いかけに名前で答える椿
「あなたは?」
そして再び名前を訊ねられる
「…まだない」
ただの少女
静紅のように強いわけでも
盗賊のように敵なわけでもない。ただの少女
少年にとっては初めて会った存在
触れたら簡単に殺せる存在だがそんな気は起きない
「…ごめんなさい」
少年のその言葉に何やら事情を勝手に推測したのか、目を伏せる
「…まだない。すぐに見つける」
不思議な現れ方をしたただの少女に興味が湧いた少年
「見つける?」
少年の言っていることが何一つ理解できていない椿
「…あは!!」
少女の問いに笑いで答えて手を上げる
《炎舞》
雨のように大量の矢が頭上から降り注ぐが少年の手から発せられた炎が全て燃やしつくす
「さすがは、災厄といったところか…」
森から姿を現したのは青年であった
手には弓を持っているがその青年一人しか気配がない
少年の炎で消されたが無数の矢を一人で放ったということである
「キミ、私はどうすればいいかな?」
「…知るか」
木の後ろに隠れている椿
本人は隠れているつもりだが実際のところそんなものに意味はない
それは椿も感じていたのか少年に対応を聞くが冷たく一蹴された
「キサマが持っている魔剣を渡してもらおうか?」
「魔剣…?」
少年の背中を指差す青年
そこにあるのは黒く黒いどこまでも黒い刀
「魔剣っていうのか…お前の名前は?」
少年は青年に訊ねた
「俺か?俺はアルトだ」
アルトは弓を構える
「アルト…ねぇ」
少年は何かを考えるようにぶつぶつとアルトの名前を呟く
《弓弓矢矢・追尾矢》
魔法を発動する
光の矢が弦にかかり発射
放ったと同時に十数に分裂した
アルトは遺産持ちである
自身の力では魔法を構築できない者は遺産と呼ばれる魔法が使用することができる物を使用して強力な魔法を苦労することなく魔法が使える
アルトの所持している遺産は弓である
弓に魔力を込めることでその魔力を媒介に弓が魔法を構築する
アルトが放ったのは数ある種類の矢の一つどこまでも相手を追尾する矢
「…いらないか」
一つ頷いた少年
姿が消えて追尾の矢が消える
「なっ!!?」
弓が真っ二つに切断されていたことに気付いた時には少年はアルトの背後にいた
「くっ!!?」
振り向こうとした
「あは!!遅い!!」
その瞬間には身体は二つに切り裂かれていた
圧倒的な速度の差
「…弱い」
静紅やアギトと戦った少年はどこか満足できていない
血を見ると面白い
肉を切り裂くと笑いが込み上げる
悲鳴を聞けば楽しくなる
それは変わることがなかったがどこか満足ができなくなっている
血が沸きだつことが無くなったという表現が一番正しい
楽しいが物足りない
それは少年にとっての大きすぎる変化
「…まだ名前無い」
「…まだって…キミもしかして人の名前から盗るつもりなの!?」
椿の問いに頷いた少年
思考としては簡単である
名前を決めよう
↓
よくわからない
↓
誰かの名前を盗る
↓
そいつを殺す
↓
自分の名前になる
少年は今名前を盗るために手当たり次第に聞いているがどれもパッとしない
「駄目だよ!!名前は自分で決めるもんだよ!!?」
「知るか…お前がつけろよ、気に入らなかったら却下する」
「えぇ!!?」
ひどくてきとうであった
「じゃあジョン!!」
「却下」
「桜!!」
「却下」
「紅!!」
「却下」
「レスラ!!」
「却下」
「陽炎!!」
「…却下」
「どうすればいいのよ!!?」
次々に却下された椿
怒りの飛び蹴りを放つ
「…」
軽々と受け止める少年
「だから、考え中だ…」
「あ~う~!!もう寝る!!おやすみなさい!!」
怒りの発散場所が効かずに発散できなかった椿
諦めてその場に寝転がる
「…」
椿が何だかよくわからない少年
しょうがないので、同じように寝る
こんなファーストコンタクト
出逢いがあり戦いがあり、少し変わった災厄であり魔王の少年と不思議な現れ方をしたただの少女の椿
世界を変える二人の出逢いはそんなくだらない会話でコンタクトをしていた
椿と少年の出逢いです
ここからが
個人的には面白くなってきます