後日談
願いの天使を倒した後の後日談的な話です
彗と秋野を屋敷へ運び、治療後である
二人ともに魔力は使い果たすは、身体は疲労困憊だは、更に戦闘中に魔法を修得するはとかなり無茶なことをしていたため、しばらく眼を覚ますことは無いだろう
そんな中、飛影達は屋敷のソファに座っていた
「おら土下座しろよ土下座」
かなり高圧的な態度で、冷たく命令する飛影
「いや土下寝しろよ土下寝」
同じように高圧的な態度で、冷たく言い放つダドマ
「…来て早々なにこれ?」
二人の魔王から命令されているのは、天界の魔王のラインであった
ダドマからちょっと来いと言われて飛影の屋敷に来たラインだが現状が全く把握できていない
「おいあんなこと言ってんぞダドマ」
「うわ~引くわ~」
「だから!!なんの話!!?」
完全に置いてけぼりになっているライン
「あん?あのな…俺の世界で天使二匹がやらかしたんだが、なんか言い訳あるか?大天使?」
「…マジで?」
「俺は心臓も刺されたのに、不祥事を犯した天使の世界の魔王が謝罪もないとは…」
「ないわ~」
完全にゴミを見るような眼で、ラインを見る飛影とダドマ
「ちょ…ちょっと待ってよ!!ウチの天使に飛影を傷つけれるほどの強さを持った子はいないって!!」
ラインの言い分は正しい
魔王級の強さを持つ天使は天界にはいない
そしてあまり背景を知らないラインはこう考えた
(これ…もしかして、てきとうに暇だからふっかけられてる?)
「はぁ…まさか俺ラインがここまでクズだとは思わなかったよ…」
「まだ付き合いの短い飛影は当然だが、けっこう付き合いが長かった俺もまさか、ここま」
「証拠はあるのかい?」
このままでは冤罪が確定される
その前になんとかしなければならない
そんな思考のラインから繰り出されたのは、証拠である
『…』
勝ち誇ったかのように微笑むラインに対して飛影はコートから聖剣を取り出し、ラインへと投げつけて、Yシャツのボタンを外す
そこには刺された傷が残っていた。ただかさぶたになっているため、血は流れていないが傷口と聖剣の大きさの比較はできる
「おい…なんか言うことはあるか?」
ニヤリと底意地の悪い笑みを浮かべる飛影
ダドマも同じような笑みを浮かべていた
(…ま…まさか…はめられた!!?)
全ては計算通り
飛影とダドマによる本気のライン苛めである
「あい…ギレ…」
「ゴミ…そ…な」
ボソボソと口の動きを見られないように隠しながら、飛影とダドマはラインの聴力でもギリギリでしか聞き取れない声量で話始める
「え~…と…あれ?この聖剣…」
なるべく二人を見ないようにするラインの眼に飛影が放った聖剣があった
「…聖十剣か…双剣は確かにウリエルのだね…まったく…面倒なことしやがって…危ないやつら全員殺しとこっかな…」
感慨にふけながら恐ろしいことを平気で思考するライン
かつては部下であったガブリエルとウリエルだが、ラインにとっては面倒なことをしたやつらとしか考えない
「…ってかおい…謝罪は無いのか?」
「学校壊れたし、授業も潰れて俺の学校の生徒が犠牲になったというのに」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、と互いに大きな溜め息を吐いてラインを殺気混じりの眼で見る
「私は関係ないだろ…」
《幻想魔境》
殺られる前に殺る
殺し合い最強の魔法が発動する
光が一瞬で拡散する
『やべっ!!』
咄嗟に眼を瞑るが、
「俺見た!!ダドマは!!?」
「同文だ!!よし逃げんぞ!!」
飛影とダドマの両方が発生条件の光を見るという条件を満たしてしまった
即座に方舟で避難しようとするが…
「逃がすか!!せめて骨の二三本は折らしてもらうよ!!」
それよりも早くラインの幻覚が二人に放たれ
「では我は貴様の骨を全部折らせてもらおう」
そしてそれよりも早く、ギルギアがラインの首を掴んだ
「っ!!?」
ミジと首の骨が軽く悲鳴をあげていた
「我の要求は二つじゃ…一つ魔法の解除…一つダドマへの謝罪じゃ…チビにはせんで良い。返事はイエスかはいじゃ」
「どっちも同じだよね!!?ってごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!痛い痛い!!」
ギルギアの指がラインの首に深く押し込まれる
(これはシャレじゃすまない!!?)
口撃するのは、飛影とダドマであるが、攻撃するのはギルギアである
生命の危機を感じたラインは魔法を解除、ギルギアの手が首から離れると同時にその場に土下座する
「うちの者が迷惑かけましたぁぁぁぁぁ!!」
華麗な土下座であった
その華麗さに眼を奪われたダドマと飛影は躊躇なく、ラインを踏みつけた
「へぶ!!?」
「ようやくか」
「わかればいい」
先程までは幻想魔境に掛かり、慌てふためいていた二人だが、魔法を解除された瞬間に水を得た魚のように復活する
(こ…こいつら…)
《ナルカミ・調子にのんなこら》
《炎舞・無炎で焼けろや》
《天変地異・真水だ馬鹿め》
ラインが魔法を発動すると同時に、飛影とダドマも魔法を発動
飛影が踏みつけている脚に無炎が纏い
ダドマが踏みつけている脚に真水が纏われ、ラインの雷を防ぎきる
しかも飛影のは防ぐどころではない
「熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!!!!飛影!!?それ冗談じゃないほど熱いから!!」
肉の焼ける音はしないが、ラインの身に纏った雷と魔力による防御を軽々と突き破り熱を放っていた
「いやいや…冗談だ!!」
「冗談じゃないから!!?…っこの!!」
《ナルカミ・滅べってか離れろ》
真剣な魔力が籠った雷がラインの右手に帯電する
「よぉし!!喧嘩だな!?」
飛影とダドマは一回脚を退ける
そして最高の笑顔で構える飛影
願いの天使とは退屈であったが、ラインであれば充分過ぎるほどである
「せめて外でやれ!!」
今まで傍観していた椿のドロップキックが飛影の顔面に突き刺さった
「それもそうか…」
しかし、毎度のごとく飛影にダメージはない
「いや、待て待て!!俺がやる」
椿の言葉に頷きながら外に出ようとした飛影は、ダドマに肩を掴まれて静止する
「え…?…いやいや俺がやるから」
暴れたりない絶対強者級二人
「遠慮しなくていいんだぞ!」
「遠慮なんてしてねぇよ!!」
「ほら、飛影は怪我してっからな…やはり万全のコンディションの俺がやるべきだ」
「なに言ってんだダドマ?俺は万全だぜ?…怪我なんてハンデにもなりゃしねぇ」
明るく笑いながら火花を撒き散らす
「まだなのかい?」
待ちくたびれているのはラインである
『うるせぇ!!』
「…先に外いるから」
二人から確かな殺気を感じたライン
とりあえず、暴れられればいいやとラインは屋敷の中庭へと出る
「とりあえず、あいつとは俺がやる」
「いや、俺がやるべきだろう」
断固として譲る気の無い二人
「お茶ですよ~」
ラインとは違い空気を読む少女
優希が香しい紅茶の匂いを漂わせ、焼きたてのクッキーの甘い匂いが更に漂う
「…とりあえず茶にするか」
「…そうだな」
外で待っているラインのことを完全に忘れた飛影とダドマは椅子に腰かけて、残りのギルギア、椿、黒鋼、優希も座り全員で和んでいた
「…遅い」
約一時間待ちぼうけしていたラインだが、流石に遅すぎるため屋敷へと戻ると打ち上げの用意が始まっていた
「えぇぇ!!?」
「どうしたド腐れチートサボり魔!?」
「なんかあったのかサボり腐れ野郎」
飛影とダドマの中ではいつの間にか打ち上げの用意をサボったくそ野郎がラインになっていた
「意味がわからない!!」
ラインの意見は正しく、もっともなことなのであるが、腐れチートの分際が何を言っても通じるわけもなく、強制的に打ち上げの盛り上げ要員(全員が笑うまで一発ギャグの披露)となったラインであった
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おまけ
打ち上げ中に眼が覚めた彗と秋野は屋敷の騒がしい場所に自然と足が動き、死んだはずの飛影を発見した
飛影の真実を知った二人は全力で飛影を殴ったという
そしてその後打ち上げに参加して、倒れるまで酒を呑まされたという…
ちなみにラインの一発ギャグは誰一人笑うことなく、ラインの逃走によって幕を閉じたのであった
真実を知った彗と秋野が飛影に対して覚えた感情は呆れでした
あまりにも突拍子が無い話ながらも、飛影の魔法を見せることで半分信じ
書きませんが、魔界に拉致されて完全に信じた彗と秋野です




