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災厄の生き様  作者: 火憐ちゃん
人間界編
65/122

体育祭 午前の部


一話で終了するつもりが、二部構成になってしまいました。

失敗です

高校の二大イベントの一つ

その日は体育祭であった

体育祭があるからと言って飛影の何かが変わることなく、

そしてクラスが勝てるようにとてきとうにそして大量の種目に出ることになっていた


体育祭のようなものは魔界にもあり、飛影としてもやり易いものである

中高一貫性のこの東東高校であるが、東東高校の体育祭の日と東東中学の体育祭の日と分かれている


東東高校の体育祭はルールが変わっており、まず優勝者の枠が三枠ある

一つ目は、紅白に分かれての点数の得点で紅白のどちらか

二つ目は、紅白に関係なく学年別の得点で三学年のどれか

三つ目は、紅白も学年も関係ないクラスの得点で決まる


紅白

学年

クラス

三つの優勝者の枠が存在していて、更にいえば見事三冠を達成した場合は理事長直々にプレゼントがある


「それでお前が出る種目のルールはこんなもんだ…覚えたか?」


早朝

弁当作りを頑張りますと優希がやる気十分に弁当作りを行い、黒鋼が更にそれより早くから場所取りを行い、椿が忘れ物の無いようにチェックしているため、暇であった飛影


恐らくルールを知らないと察したダドマが丁度良く空いていた飛影を呼び出して全ての種目のルール説明をしていた


「…覚えた」


頭のなかで全て反復させて間違いや洩れが無いことを確認する


「あと、これは別件なんだがな…願いの天使って知ってるか?」


開始の時間にはまだ余裕があることを体内時計で把握しているダドマは話を変える

本題としてはルールの説明であるため、今切り出しているのは主婦の世間話のようなノリである


「知ってる、天使からメールがきて願いを入れて返信すると、微弱ながら叶うってやつだろ」


飛影がすらすらと答えていることに驚きを隠せないダドマ

このような噂話には疎いと思っていたからである


「…まぁ合っているが、飛影としてはどう思う?」


このどう思うというダドマの疑問は信じるや信じないの話ではない

その意図がわかっている飛影は既に出ている答えを言葉にするだけである


「契約型の魔法使い、それもかなりメンドクサイやつ…願いを叶えることを対価に何かを貰ってる…多分魔力か命かどっちかだろ…おそらく前者、後者じゃもう少し願いは叶うはずだ」


「俺と同じ考えか…そしてこのイベントってのが作為的だな」


「どういうことだ?」


「体育祭ってのは良い意味で目立つ…今までのが準備期間だとして噂と信憑性を浸透させる…そしてこのイベント、脚を速くとか目立ちたいとかだな…人間の欲望ってのは留まることを知らない」


あまり活躍ができないこの人間界

チャンスは体育祭など全生徒から注目されるものなどしか無いのだ

それを知っているダドマは看破する


「へ~、なるほどな…」


魔界の住人であり、更にいえば目立つことはどうでもいいと考えている飛影にはその考えは浮かばなかった


「それでだ…とりあえずその討伐を飛影にやってもらいたいんだが」


「メンドクサイ…どうせ絶対強者級じゃねぇし……いや、待てよ…俺は討伐しないが…他のやつにやらせてみるからこの件、任せてもらってもいいか?」


ニヤリと笑う飛影

浮かんだのは人間界でできた友人の彗の顔であった


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


「あ~理事長からの挨拶だ、てきとうに全力で頑張れ、以上!」


いつも通りの短すぎる理事長の挨拶

それが合図として開始された


体育祭


本来であれば、決められた所定の位置で待機するものだが飛影はそのルールを完全に無視

椿や黒鋼や優希がいる場所で寛いでいた


「おぉ!!これが体育祭なんだ!!初めて見たよ!!活気溢れてるな~」


飛影と同じく初めて見たものに興奮し、会場の雰囲気をビデオに取っている椿

黒鋼は無表情に眺めて、優希は飛影にお茶を注いでいた


≪次は二年男子100メートル走です≫


アナウンスが流れる


「んじゃあ行ってくるよ」


大きく伸びをして観客席から真っ直ぐグラウンドを横断し所定のスタート位置につく


「飛影さん頑張ってください!!」


『飛影は頑張りすぎなくていいよ!!!!』


純粋に応援する優希とは反対に椿と黒鋼は飛影が頑張りすぎないように声を上げる

一様に構える中飛影は立って椿達に手を振った


合図である火薬の音が鳴り響き一斉にスタートする

その時点で飛影はまだスタートしていない


常識的に行動する必要がある飛影

ダドマから規制がかかっていた


遅れて飛影もスタートするが、差は既につけられていた


規制内容

秒速11メートル


百メートル走であれば9秒ほど

規制内容を決めたダドマは人間でそのぐらいの記録がでているから、である


専門のトレーニングもしていない学生という枠では考えておらず、オリンピック級の走力で走り出す


結果は当然ながら一位


「いぇい!!」


ゴールするとすぐさま、椿達の場所まで戻りピースする


「さぁ飛影さん!祝勝で呑みましょう!!」


「おう!!」


ビール瓶を持つ優希

グラスは二つあった


「ちょっと待って!!朝からなにしてんの!!?」


「固いこというなって!!」


「お祝いですよお祝い!!」


互いに注ぎあう


『乾杯!!』


そして飲酒する立場的には高校生と完全に未成年者


「あぁ~馬鹿が二人もいるよ~…」


「まぁ椿頑張って」


頭を抱える椿の肩を優しく叩く


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


午前最後の種目

一年女子100メートル走


飛影は優希と呑みながら眺めていた


(へぇ~確かにこうして見ると、天使にお願いしたやつってかなりいるんだな…)


飛影は魔力を注意深く見る

天使にお願いした者は、魔力に黒い斑点のようなものが見えるようになっていた


飛影が眺めながら目算で数えて400人程度

今走る五人の女子のうち、四人は『お願い』していた


そしてお願いしていない残りの女子を見ると飛影は眼を惹かれた

面白そうなのを見つけた、笑みを作る表情はそう物語っていた


結果は、少女の圧勝であった

二位とは三メートル程離してである


そしてその結果に誰よりも驚いているのが印象的であった


「…覚醒途中か!!うん、あれは面白そうだ!!…ちょっと行ってくる」


ニヤニヤと笑う飛影は彗の所に直行する


「おぉい!!彗、今のすごかったな!!」


「あぁそうだな、今のレースに陸上部のエースがいたらしい」


陸上部のエースがいれば、確かにこの結果は妥当である


「へ~、じゃあ一位のやつは?」


しかし、飛影の問いは一位の女子は陸上部のエースではないとわかっているかのような口調であった


「帰宅部らしい」


陸上部のエースを三メートル離してゴールした少女、クラスの生徒が騒いでいたのを覚えていた彗


「名前は?」


続く飛影の問い


「ちょっと待ってろ」


彗はしおりを取り出して、出場選手名を探す

第何レースの何コースかを覚えていた彗は一分程で探し当てる


「佐藤秋野って名前だ」


「へ~…あっ…そういえば彗は昼休み暇か?」


一度聞いて名前を覚える

興味があることであれば、驚異的な記憶力を見せる飛影には雑作もないことである


「ん?暇だけど」


弁当は持参で持ってきた彗

彗の両親は基本的に、放任主義なため今回の体育祭にも来てはいない


「じゃあ家の連中が来てるから一緒にどうだ?」


「…邪魔じゃないなら」


飛影の誘いに少し考えたが、彗は優希に一回会っただけで家族には会っておらず興味がそそられたので、控えめながらも肯定する


「誘ってるから大丈夫だ!!」


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


「あっ…おかえり~と、ようこそ!!」


「飛影と…誰」


「あぁ!!彗さんじゃないですか!!お久しぶりですね!!」


椿、黒鋼、優希とそれぞれ三者三様の反応

飛影の友人であることにすぐ気付き笑顔で出迎える椿

飛影を発見して、その隣にいる少年を無表情に観察する黒鋼

すでに酔っぱらって飛影にダイブしながら彗に挨拶する優希


「紹介しよう、左から順に、椿、黒鋼、優希だ!関係性は家族」


《炎舞・酔い醒ましEX》


飛影は優希の頭を撫でながら炎舞を発動

優希の体内のアルコールを全て燃やし尽くす


「両親とかは仕事か?」


飛影が金持ちであることは知っていて、どこぞの有名な社長かと想像していた彗だが、飛影が家族として紹介したのは全て彗と似たような年代である


「両親?…あぁ親か、二人ともころ」


「せい!!」


椿の綺麗な延髄蹴りが飛影に直撃する

かなり痛そうな一撃だったが、飛影はもろともしていない


「何をする!!?」


「えっと、飛影の両親は故郷にいるの、私は飛影の姉的存在で黒鋼くぶ」


「誰が姉だ!!」


椿の頭を叩く飛影

舌を噛んだらしく、涙目で口を抑えていた


実質的に歳は飛影の方が上であるため、飛影のツッコミは正しかった


「簡単に言えば血は繋がっていないけど、僕らは家族なんだ」


それしか表現方法がないというように無表情に説明しながら、黒鋼は彗が座れるように場所を詰める


「ありがとう」


彗も礼を言って座る

目の前にあるのは重箱である


一人一段のように重箱の段数は四段あり、優希が気合入れて作りすぎてしまった性で彗が来てもまるで問題はなかった


「じゃあ食べるか」


椿がまだ口を抑えてジト目で飛影を見ているが、なるべく意識しないようにして飛影は箸を配って手を合わせる


『いただきます』


全員で手を合わせて、平和的に午前の部が終了した



ようやく秋野を登場させれました…


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