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災厄の生き様  作者: 火憐ちゃん
エリア編
61/122

ある少女の残火

特別話です


矛盾、感想、意見、リクエスト、絶賛募集中です


「あ"ぁー!!?飛影…私の饅頭食べたでしょ!?」


森の中にある小屋

少女が少年にぶちギレていた

理由としては少女が楽しみにしていた饅頭を少年が食べてしまったからである


「他意は無い」


言葉では強気だがその勢いに圧されて素直に頭を下げる少年

少女はその様子を観察して、軽く睨み付けながら拗ねたように唇をすぼめる


「嘘だね!だって飛影のお腹がすくわけないじゃない!!」


少年は普通ではないらしく、食事を取らずに生きていけるらしい

少女にとってはお見通しであり、少年はうぐ、と見抜けられたことに戸惑う


「…逃げる!」


少し考える素振りを見せて、一瞬の隙を見て少年は逃走しようとするがもともと少女は隙を作った覚えがない


「待てい!!」


《クリエ・饅頭の恨み》


少女の腕から羽が生える

幻想的で美しい羽が、少年に照準を合わせた瞬間に羽根が放たれる

饅頭を取られた恨みがこもったその攻撃は少年を容易く確保する


少女が使える不思議な力

少年も使えることができる不思議な力である


少年を捕縛した少女は冷徹な目で見下していた

雰囲気に圧倒される少年


「旨そうだから食べた」


少年が正直に暴露した結果は少女の拳骨である


「はぁ…飛影の馬鹿」


思わず溜め息を吐いていた

しかし少年を怒っても饅頭は戻ってこない

少女はその場で膝と手をついて悲しみにうち震えていた


「とりあえずカガリ、半分は食べたがもう半分は残しておいた」


あまりにもショックを受けてテンションががた落ちだった少女のことをさすがに可哀想だと思った少年はあとで渡すつもりであった半分無くなった饅頭を差し出す


「!!?」


ガバッ、と起き上がり少年の手のひらの上にある饅頭を引ったくるように取る

本物だということを目で見て確認して、一口で口に含む少女


「うまいよ~!!飛影ありがとう!!半分残してくれるなんて飛影の優しさに涙が出そうだよ!!」


表情がコロコロと変わる少女

先程まで死んだような表情だったが、今は満面の笑みであった


半分食べた少年への恨みはどこかにいったらしい


(…また)


風景が変化する

その風景にも少年と少女はいた


洞穴のような場所にいた


「何か違う!!」


「何が違う?」


少女が少年を叱っていた

不思議な力を使って動物の形を作っていた


「なんで猫が切り身になってんの!!」


少女が見本のために作った猫はきちんと猫の形になっていた

しかし少年が作った猫らしきものは、姿はそのままで切り身になっていた


「この方が難しくないか?」


「確かに難しいよ!?けどなんで内臓とかをリアルな感じに作成してんの!?そんなに私を苛めたいの飛影は!!?」


少女は猫好きのようで、確実に猫をあの形に一度はしたことがある少年の頭を叩く


「いて…なんだ?勝負か?」


《炎舞》


少年が手のひらに炎を灯す


「ここから始まるのは勝負じゃないよ!!躾だ!!」


《クリエ》


少女の背中に羽が生える

見れば目を奪われるその不思議な力の顕現


少年は構えたが、一瞬で少女は接近して少年が反応しきる前に腹に拳を当てて吹き飛ばす


「くっそ…」


「どうだ飛影!!これからは猫ちゃんをそんな姿にしないで愛でること!!」


少年も充分に強いのだが、少女は更にその上を行く

どうだ、と胸を張る少女


「…わかった」


「えへへ!!わかればよろしい!!」


少年が素直に頷くと少女は満面の笑みを浮かべた


(…また…この)


再び風景が変わる


そこにも少年と少女はいた

少女は死に体に近い状態で、少年はそんな少女を優しく抱き止めていた


「…!!」


少年が何かを叫んでいるが、不思議と音は響かない


「…」


少女も同じように喋るが音は響かない

少女は今にも死にそうな大怪我を負っているのだが微笑んでいた


そして無理矢理身体を起こして少年に口付けをする

長い長い時間そうしているかのように時が止まる


「…」


「…」


「…」


少女が少年に何かを伝えると少しずつ力を失い始める

不思議な力が少年に移ったのである


「…また会おう」


最後に音が復活した

お別れの言葉を少年に告げて少女は亡くなった


「…殺す」


少年の音も復活する


(…また…この夢)


闇に包まれて風景が変わる


神聖な空気に包まれる

自然豊かな風景


そんな青空の下に少女はいた


元気そうに大きく伸びをして緑に寝転ぶ


「ひぃぃまぁぁぁだぁぁぁぁぁ!!」


そして少女は大きく叫んだ


「飛影を待つって言ったけど!!あのド腐れチート糞野郎に勝てるまでって何万年かかるんだろ!?…わからないぃぃぃ!!」


何故かテンションが高い少女


「よっしゃ寝よう!!」


意気揚々と叫びながら自然に囲まれて睡眠に入る少女


そんな少女が一年ほど惰眠を貪っているとどこからか子供達が集まってなつかれた

教師の真似事を初めて、何人もの生徒達が卒業した


「飛影はまだかな~」


少女は空に浮かぶ月を眺めながら笑みを作る


(…またこの夢だ…)


風景が変わる


夜闇の中

空の上で幻想的な炎が色鮮やかに咲き誇り中心にいる少女と少年を祝福していた


「…しかし飛影が踊れるとはね~」


「大抵の娯楽はマスターした」


驚きながらも微笑む少女とニヤリと笑う少年

少年の表情は柔らかくなっており何か雰囲気が変わっていた


しばらく経つと少女は少年の手を離して抱き付いた

無言のまま時が進む


「こんだけ充電しておけば大丈夫でしょ!!転生しても絶対飛影のことは覚えてるよ!!」


少女は満面の笑みを浮かべる

少年のいなかったこの世界では見せなかった心からの笑みであった


「…」


少年の音が消える


「ふふ…この私っていう魂に刻み付けたから」


「…」


だが少女の音は消えない


「飛影が飛影でいれば、絶対わかる」


どこか自信満々な表情

根拠はないことを少女も少年も理解していた


「…」


「まぁ…ちょっと早いけど逝くよ」


「…」


「楽しかったよ飛影」


「…」


「うわぁ~お…不覚にもドキドキしちゃったよ」


顔を紅く染める少女


「…」


「じゃあ《またね》飛影」


「…」


「おっと!!その前にドキドキさせたお返しだ!!」


「…」


少年は驚いた表情を見せながら

少女は悪戯が成功した子供のような笑みで口付けあう


「バイバ~イ」


笑顔で手を振ると少女の姿は消えて、風景が崩壊する


崩壊した後は何もない白い空間

そこに二人の少女がいた


「これが私の我が儘な物語」


(また貴女に会ったのね)


そこには姿が変わらない少女の姿があった


「そうだよ~ここでなら貴女も思い出すのに…どうしても現実じゃ忘れちゃうよね」


「現実?」


「あれ?言ってなかったっけ?ここは魂の世界…貴女の心の世界」


「心の世界?」


「まぁ細かいことは気にしない!!ほら…学校に遅刻しちゃうよ」


「え!?」


少女は笑いながら指を鳴らす

パチン、と綺麗な音が鳴りもう一人の少女の姿が消える


「起きなさい!!遅刻よ!!」


「へ?は?にゅ?」


母親に叩き起こされて起床する少女


(…またこの感覚だ…)


何か大事なことがあったのにその大事なことを忘れている感覚

少女にとっては慣れたことである


「ほら…早く学校に行きなさい○○!!」


「はぁい!!」


ちなみにこの少女は災厄には出しません。

いや…もしかしたら既に?

いや…もしかしたら出す?

いや…もしかしたらハチャメチャで出していた?

そんな訳で少し作者に踊らされていただければ幸いです


次は人間界!!

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