言葉の覚醒
このような話だと、更新が早くなりますね
やはり戦闘(作者的には戦闘ですが読者の方に伝わっているかは不明)だと書いてて楽しいです
気付けば57話くらいです…ハチャメチャに比べて更新が遅くなってしまっておりますが、これからも応援よろしくお願い致します。
道中問題なく殺し屋達を皆殺しにしながら城まで辿り着いた飛影達
周囲に気配を感じないため、飛影は立ち上がり伸びをする
ミリアも肩をほぐす
「さて…あと一往復ぐらいはするか…」
「ん~確かに物足りないの~」
「…」
先程までは死にそうになっているように見える飛影や本気で心配しているように見えるミリアがいたのであるが、今は元気ハツラツな姿である
「はぁ…」
しかし、この一時間で今までの人生以上にハチャメチャな出来事が起こったコトハはすでに慣れてしまって溜め息を吐く
『っ!?』
魔法の気配を感じた飛影とミリアはすぐに構える
《がかい・しんどうは》
遅れて気付いたコトハも回避行動に移る
「何城を傷付けようとしてんだコラァ!!」
《風華・城には傷をつけさせない》
不可視の敵の攻撃
魔法の気配から速度と場所と向きを割り出した飛影
三人とも直撃コースにはいないが、城に直撃すると判断した瞬間
わざわざ直撃コースに戻り風を纏わせた蹴りを放つ
鎌鼬が振動波とぶつかり合う
殺し屋が誰であれ、魔王の魔法と蹴りを受けて消滅しない攻撃はほぼ皆無である
問題なく一瞬で消滅させて魔法を解除
「ったく!!誰だよ城に攻撃しようとしたやつは!?」
《風華・ちょっと面貸せ》
魔法の発生源を風で囲み、自分達のいる方へ強制的に吹き飛ばす
250センチはある巨大な男が釣れた
「ぐぅ…おまえ、ころす…」
筋肉質のがっしりしたガタイに馬鹿そうなしゃべり方
飛影はこれが何なのか一目で理解した
「あっ…足し算したいなの~」
(やっぱりこいつか!!)
魔力自体は高い
反則級の上位ほどの魔力はある
先ほど放った魔法自体も威力や範囲は充分である
殺し屋の中で一番の実力者というのも否定はできない
「ん!?…みりあ!?」
飛影に対して殺気を放っていた足し算したいだがミリアの声が聞こえた瞬間に飛影に対しての殺気が消滅しミリアを見つめ始める足し算したい
「知り合いか?」
「一度会ったくらいなの~」
のほほんと笑うミリア
「みりあ…おれとつきあってくれ」
「うぇ!?」
いきなりの告白
そのことを認識して、足し算したいの顔を見て溜め息を吐く
「パス」
「な!?なななんでなんだ?もしかしてつきあってるやつがいるのか?」
(いや…付き合ってるも何もパスなの~あれはないの~最低基準にも達してないの~)
散々心の中で罵倒してからミリアは飛影を軽く見る
コトハには見向きもしていない足し算したい
飛影と眼が合うミリア
眼と眼があった瞬間、ニヤリと微笑み合う二人
「そうなの~付き合ってるの~…ねぇコトハ?」
「え!!?」
「な!?」
コトハの腕を抱き締める
いきなりの無茶ぶり
「え…えっと」
アドリブに弱いコトハは慌てるだけで何も言葉がでない
「私男が嫌いなの~ごめんね~」
「ななな!!」
全身に鳥肌が立つコトハ
コトハとは対称的にニヤニヤと笑うミリア
その笑みにはある計算があった
「おれがそいつころしたらつきあってもらう!!」
小さくガッツポーズを取る飛影とミリア
全て計算通りである
抑えていた殺気がコトハにぶつかる
「っ…」
コトハも魔力を解放して構える
幸いにも道中あまり魔力を消費しなかったため、ほぼ全力の足し算したいと同程度の魔力であった
飛影とミリアはハイタッチをかわして笑い合うと、観客として少し距離を取るミリア
飛影はコトハに近付いていた
「何か掴んでると思うけど、それを実現しなきゃこいつは結構辛いぜ」
耳元で喋り、頭を軽く叩いて激励を送ると飛影も離れていく
舞台は城の前
観客は二人
戦うのはコトハと足し算したい
「ころしやのいちばん、ごらりあ」
「ただの本の虫、コトハ」
酷い紹介であったが、二人には関係無い
ゴラリアはコトハのことを恋敵として、コトハはゴラリアを同程度以上の実力をもつ人物として真剣に向かい合う
コトハの武器は魔力の精密操作だけ
ゴラリアは魔法が使用できる
ミリアと戦った時にコトハが感じたことであるが、魔法使いとそうでないものの差はあまりにも大きい
実際コトハはミリアのことを反則級の中位と勘違いしているためであるが、感じていることは事実である
《がかい・しんぷく》
ゴラリアが魔法を発動
範囲など絞らず全範囲攻撃を仕掛ける
ゴラリアの魔法は振動
衝撃を波にして、攻撃する
空気中が振動により熱せられ赤い風としてコトハごと周囲を攻撃する
熱せられた風は摂氏1000度程度
直撃すれば火傷では済まない
《風華・結界》
城や草木を巻き込む攻撃に飛影は風の結界を周囲に展開する
ゴラリアの大雑把な攻撃がコトハにとってはやりにくいことこの上無い
「っ!!」
避けることができないからだ
右手に魔力を集中し、自分の目の前の攻撃だけども弾こうと全力で降り下ろす
しかし、すり抜けるだけで地面に大穴を空けるが、相殺することすら叶わない
「くっ…」
すぐさまコトハは自分の攻撃によってできた大穴に飛び込んで回避する
(これが魔法使い…今の私じゃ実力不足…)
「にげるな!!」
《がかい・ばくげき》
攻撃が止んだ瞬間、頭上にはゴラリアが腕を振りかぶっていた
腕を負担がかからない程度に振動させていることに気付いたコトハは全力で跳躍して回避する
一撃で地面を吹き飛ばし巨大なクレーターを作り上げる
その際に吹き飛ばされた岩がコトハの腹部に直撃
「ぐっ…」
血が込み上げ口の中に鉄の味が拡がる
《超振動…振動させることによって切れ味を増すことができるのは知ってたけど…拳でそれをやるなんて…》
岩が直撃しながらも、コトハは攻撃直後で隙だらけなゴラリアへ魔力の拳を思いきり振り抜く
地面に叩きつけられるゴラリア
「んあ…おまえまほうつかいじゃないな…」
何でもないように起き上がり、ダメージは皆無である
そして馬鹿であるゴラリアですらも、コトハが魔法使いでないことに気付く
「…っ」
少しはダメージがあることを期待していたコトハ
完全にじり貧であることを自覚した
ゴラリアの位置を確認し眼を瞑る
(…掴みかけたもの…ね…確かにあるけど、ぶっつけ本番になるなんて思わなかったわ…魔法の構築方法……想像…構築…創造…自分の魔法は自分を現す…私は魔法を創造することができてた…なら、自分の魔法を理解するだけ…彼のは炎と風…自己を他の人に掴ませないのは彼らしいわ…それに彼女も何事にも縛られていない、だから縦横無尽…この目の前の男も馬鹿で自分の意思がぶれる…それが振動…なら私は…性分…性格…願望…全てを理解する!法則性を見つけ出す)
思考が高速化する
ゴラリアが接近するのを肌で感じるが、コトハは思考に没頭する
(私はなんだろう…何がしたい…私という存在…本の虫…体力無い…進行中で虐められてる…マイナスしか浮かばないわ…リセット!…魔法を身に付けたい…人見知りする…リセット!…あの人と出会ってから成長した…あの人と出会ってから世界が拡がった…あの人と出会って変わったもの)
コトハの奥底に眠っていた錆び付いている歯車が徐々に動き出す
そしてゴラリアが眼前にまで接近腕を降り下ろす
(一番変わったのは私の世界…私が認識している世界…そして法則性…私にしか理解できない法則性……掴んだ!!)
直撃するギリギリのライン
飛影が風華を使おうかと判断した瞬間
《》
魔法が発動した
「来たか!!」
「おぉ~ほんとにできるとは思わなかったの~」
ゴラリアの拳がコトハの頭を粉砕する瞬間
コトハの姿が消える
「なな…きえた!?」
「なるほどね…」
ゴラリアの背後
馬鹿とはいえ気配には鋭敏な殺し屋の背後を取っていたコトハはどこか吹っ切れた表情で笑っていた
「自分の世界だけの法則性…世界に共通する時、自分の法則性から時を操る…それが私の魔法なのね…そうね…決めたわ」
《がかい・うらばくげき》
ゴラリアから反射的に繰り出される裏拳
「この魔法の名前は…」
《クルーズ》
「また…」
直撃コースであったにも関わらず、再びコトハにかすることも無く空気を殴り付ける
「魔法を使えるようになったのだから…もういいわね」
ゴラリアの眼前に現れたコトハが指を向ける
巨大な氷の球がゴラリアに直撃し、骨を砕いていく
「ぐぁあ!!」
巨体が宙を舞う
「魔術にしては威力が高いの~あれ魔法?」
「いや…魔術だな…無詠唱なのは驚くこともないけど改良してるな」
基本的に魔術が通用するのは反則級の中位程度
上位以上になると身に纏っている魔力で無効化できるはずである
一般的に昔の魔法が使えぬものが編み出した魔術
すでに幾万人もの者達が改良に改良して生み出した現在の魔術
コトハはその長い年月をかけて試行錯誤を繰り返し完成した魔術の法則性を見つけ出しさらに大幅な改良を施していた
「…終わりよ」
「ぬがぁぁぁ!!」
《がかい・ほうかい》
ゴラリアを中心に空気が振動する
分子レベルで振動するそれは草木を爆発させ空気を爆発させながらコトハへと襲いかかる
電子レンジと同じである
生き物が食らえば分子レベルで振動して血液が沸騰
確実に殺せるゴラリアの奥の手
コトハは自分に向けて魔術を放つ
本来であれば風で拘束する魔術
改良して自身の周りにある空気を固定するように構築したもの
《クルーズ》
時を止める
止めてしまえば振動も関係無い
ゴラリアに接近したコトハは時を動かす
「死になさい…」
絶えず発生している振動
コトハが事前に張った防御の風で数秒は耐えることができる
微笑みながらゴラリアを指差し、炎柱がゴラリアを包み込む
「がぁあ!!」
空までのびる炎柱はゴラリアの身体を焼き付くす
熱さに耐えきれずその場に転がるがそんな行動でおさまるレベルではない
無駄な足掻きにしかならず、骨ごと燃やし尽くされ灰へと変わる
戦闘終了後
「…ねぇ」
「なんだ?」
コトハは飛影に近づいて呼び掛ける
「魔法使いになったわ」
「おう!!見てたぞ…面白そうな魔法だな」
笑いかける飛影
コトハは深呼吸して拳を握りしめる
「…貴方は魔王よね…それで、私は魔法使いになったら決めてたことがあるの…私は今まで人の名前を呼んだことが無いの…だから最初は貴方の名前を呼びたい…それで……私、コトハはこの度魔法使いになったら…これからよろしくね…ひ~くん」
一世一代の勇気を振り絞ったコトハ
憧れていた名前呼び
そしてその更に上のあだ名呼び
俯きながら飛影の反応が気になるコトハ
調子に乗りすぎたかと頭の中で苦悩していた
「…なんでひ~くんかはわからないが、これからもよろしくなコトハ」
頭を撫でられる
それだけでコトハは満足であった
「…ひ~くんは魔王で火と風でしょ…ひはそのまま火で~は風っぽいからつけてみたのよ!」
舞い上がるコトハ
「ね~私は~?」
仲間はずれがつまらないミリア
二人の間へと踏み込んでいく
「貴女は…ゆうちゃん…縦横無尽で自由だから…ゆうちゃん」
「あは!!可愛いから許すの~」
笑い合い、飛影がこの片付けをどうしようかと、焼け野原を見つめていた
その時
『コトハっ!』
飛影とミリアが同時に勘づいた
ミリアがコトハを突き飛ばそうとする前に飛影がコトハを吹き飛ばしてミリアを逆方向に吹き飛ばす
「ひ~くん!?」
「お兄さん!!」
理解が追い付かないコトハと何が起きるか勘づいたミリアの目に写ったのは鮮血
「ちっ…」
そして切り落とされて吹き飛び上空を舞っている右腕と
片腕を切り落とされた飛影の姿であった
切り落とした者の姿は見えない
「…隠者」
誰がやったのか理解したミリアが呟いた
ようやくコトハもチートの冠を被ることができました。
…ミリアが書きやすくて困ります。
下注)ネタバレ
ミリアはコトハ編終わったらもう災厄では出さないんですけど…あまりにも書きやすすぎて悩みます…