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災厄の生き様  作者: 火憐ちゃん
コトハ編
55/122

言葉の進歩


出張なんぞのせいで更新が遅くなりました。

申し訳ありません。


今回は久々なキャラが登場です。


追伸

静岡ってとてもいいところですね。

仕事がなければ…


飛影と出会ってから一年

コトハの魔力は反則級の上位クラスまで跳ね上がっていた


人としての理はすでに越えている


「ふぅ…」


しかしコトハは変わらずに、中学の教室の前で深呼吸する

力を得ても、精神的な成長はあまりしていないのである

今までの生活からトラウマにまで発展しているため、そうそう簡単に拭いきれるものではないのだ


意を決して扉を開ける

直後に視線がコトハに集中する


ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべられながらもコトハは席に着こうとする

椅子には釘が満遍なく打ち込まれていた

悪意あるそれは釘の尖った部分が上にくるようにされており到底座れるものではない

机の上にはネズミの首が置いてあった


「…」


コトハは魔力を解放しながら着席

魔力も通っていない釘はコトハの魔力による壁を貫通することは不可能である


ネズミをどける気力は無く、出席をただ待つ

いつも通りに出席を終えて、教室から出ていく


そして再び大きく深呼吸


(気持ち悪い…)


吐き気が込み上げていた

実力でいえば魔力を使えるものと使えないものでは雲泥の差であるため、コトハは軽く蹴散らせることができる

だが、精神的に負けていた


いつも通りに学校から出て、城の図書館を目指す

魔力による身体強化を覚えてからは、移動が楽になっているため飛影に大きく感謝しているコトハ


しかし、いつもとは違い校門を出たところに飛影がいた


「どうしたの?」


「ん~と…暇だったから迎えきた」


ひょっとこのお面を被っている飛影

何故ひょっとこなのか、という疑問はあったがコトハは飛影の行動の法則を見つけるのは未来永劫不可能だと判断している

今までも似たような奇行は体験しているため、慣れていた


飛影は便座上コトハにそう告げたが、真実としては黒鋼に悪戯をして現在逃走中であった


「一つ言わせてもらうけど…その格好はおかしいわよ」


「……じゃあこれにするか」


コトハの冷静なツッコミ

実は気に入っていた飛影は僅かにしょんぼりと肩を落としながら、サングラスと帽子を深く被る


「さっきよりはマシだけど、やっぱり変ね…」


「まぁ…気分だからな」


パッと見ただけでは誰かは判断しにくい


「今日は野外講義…どっちが強いでshow!!?」


「なにそれ?」


一年間飛影に何かしらの魔力の講義を受けていたコトハだが、その講義名はわからなかった


「簡単なゲ…内容だ!!俺が道歩く奴を二人決めるから、どっちが強いかを観察する。正解は俺が決定する。どうだ?法則を理解したか?」


「わかったわ、講義と名ばかりのゲームでしょ…」


法則も何も飛影自身が言いかけた言葉である

飛影の考えが最近読めるようになってきたと感じていたコトハだが、まだまだ甘かった


「じゃあスタート…右の男と左の青い服の男…どっちが強いでshow!!?…最初はイージーな難易度だ!!」


右の男は筋肉質な身体

左の青い服の男は少々やせ形


コトハは魔力を確認するが似たり寄ったりで大きな差は無い


「右の男ね…魔力に差がないから身体の鍛え方で決まるわ」


「ぶっぶ~…正解は左の青い服の男、理由として歩き方…右は重心が安定しないし、足音も煩い…筋力はあっても力を伝えられない典型的な無駄肉だ。対して左の青い服の男は、足音が静かすぎるし、手を少し前に出していていつでも動けるようにしている、重心が低く安定しているから…まぁ恐らく暗殺者の類いだろ…右手の袖に暗器を隠し持ってるのが何よりの証拠…ほらぁイージー!!」


「…」


飛影の勝ち誇った表情

その表情はコトハを向きにさせるには充分であった


「次は右の男と後ろの女の子」


飛影の次の問題

男はいかにも武道をやっている風貌で歩き方にも隙は無い

後ろにいる女の子は普通の少女のように見える


即答で男と答えそうになったが、コトハは念入りに視た


魔力は男よりも少女の方が倍は高い


「…後ろの子」


「不正解!!後ろの女の子は先天的に魔力が高いだけで扱い方は知らないぞ…魔力がぶれてる」


「…ぐぬぬ」


魔力を扱える者は身に纏う魔力は落ち着いている

魔力を扱えぬ者は身に纏う魔力が感情などのちょっとした気持ちでブレが生じる


「次は…おっ…かなり簡単!!あそこの買い物してる金髪の子とそこの男」


金髪の少女は買い物袋を山のように持っており、中身は全部服である

そんな少女と見掛け魔法使いの男


男は魔力の高さ的に反則級の中位程だとコトハは判断する

それだけで決まったようなものであるが、金髪の少女も一応な形で見る


感じる魔力の大きさは男よりも小さい

変な違和感は感じたが、身に纏っている雰囲気でも男の方が強そうに見えた


「女の子…」


しかしコトハは自然に金髪の少女の方が強いと言葉にしていた


「正解…違和感が感じ取れてたら上等上等…ってか知り合いだし…おいミリア!!」


ミリアと呼ばれた金髪の少女は飛影の方を見ると嬉しそうに笑いながら近付いてくる


「変な格好してるけど、お兄さんなの~!!久しぶり~」


運び屋

縦横無尽の自由奔放少女ミリアである


「なんだ?今日はオフか?」


「お兄さんの時のお金がまだ残ってるの~お金がある時は働かないの~…隣の子は~?」


会うのは実にハルカの事件以来である

ミリアはすぐにコトハに興味が移り、まるで品定めするように観察する


「コトハよ…貴女は?」


飛影の知り合いと初めて会ったコトハ

もともと人見知りなコトハは軽く緊張している


「何でも運ぶ、運び屋のミリアなの~よろしく~」


のほほんとしているミリア

だがどこか圧迫感をコトハは感じていた


「やべ!!」


飛影がある気配に気付いて声をあげる

次の瞬間にはいなくなっていた


『?』


飛影の謎行動に疑問が生じた二人


「おい、そこの運び屋」


そんな二人に近付く少女

褐色の肌に長く黒い髪をポニーテールしている

誰がどうみても可愛いととれる少女である


「あれ~あったことあるっけ~?」


運び屋として裏では有名であるが、実際にミリアの容姿を知っている者は直接依頼しているものしか知らない


ミリアとしても会った記憶がなく、すぐ隣のコトハにも確認するがコトハも首を振る


「その時は違う姿だったけど…くっそう飛影め!!…まぁいいや」


何やら苛々した様子ではあるが、無表情であった


「僕は黒鋼、飛影の右腕だけど…飛影見なかった?」


「あ~刀の子なの~…女の子だっけ~?」


うっすらとミリアは刀が少年になったようなならなかったような記憶があったが、勘で会話を貫いていた


「あの野郎…ズタズタにしてやる…僕は男だよ!!飛影と椿の悪戯でこうなってんの!!」


酷く憤慨しているようであるが、あくまでも無表情である


「まぁ…いいや…知らないならいいや」


僅かに肩を落としてぐったりとしながら去っていく黒鋼


「危なかったぜ!!」


視界からいなくなった瞬間に飛影が舞い戻っていた


「お兄さんってああいうのが好みなの~?」


黒鋼の姿を見て、思い付いた疑問

僅かにミリアが観察するように飛影の一挙一動を見る

コトハは興味無さそうに空を見上げていたが耳だけは傾けていた


「好み?…そんなん考えたことは無かったな…」


あの黒鋼の姿は爆睡している黒鋼を見て飛影が思い付き、椿と一緒にいろいろな姿に変型させながら、細かく調整していただけである

余談だが最終的な姿に飛影と椿は大爆笑していた


「ちぇ~つまんないの~」


ぶ~と口を少し尖らせるミリア

そんなミリアを見て、飛影はあることを思い付く


「ミリアは今日予定とかあるか?」


「無いの~」


方浪人であり同じ場所には居続けないという性分なミリア

一人でぶらついて目についたものを買っていたミリアは暇であった


飛影はその返事にニヤリと笑みを作る


「ちょっとコトハと遊ばないか?」



まだまだコトハの精神的な実力は未熟ですね。


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