不穏な影
最近、感想をいただきすぎて
夢を見ているかのようです。
応援していただいている読者の方々
この場を借りてですが、ありがとうございます。
「不穏な影?」
玉座でリラコは部下の報告にあげられた言葉を繰り返す
「はい、国民からの報告によると街中にいきなり不気味な影が現れるそうです。城にも現れることがあるらしく、侍女が目撃しています」
「実害は?」
「無いです」
「…」
判断しかねる。と言った表情で考え込むリラコ
このような超常現象は基本的に魔法が原因である
その影が攻撃などの敵対行動をとれば、すぐにでも原因を究明して問題を無くそうと行動できるが実害が無しである
「とりあえず、国民と城の者に通達。不穏な影を発見したら決して近付かずに城の兵士を呼ぶこと。あとは警備の配置を変える。魔法使いは基本的に街の警備を行うこと」
思い浮かんだのは、連絡と警備の強化である
素人には近付かせないようにして、強力な魔法使いに対処させる
「飛影様に事態の収拾を頼むことはしないので?」
そして強力な魔法使いの代表格
魔王への対処はどのようにするかが問題である
「それは絶対にしない!!…確かに飛影は強いしな。そう考えたくもなるだろうがこの国の国民としての誇りを忘れるな」
部下の言う通り、飛影に任せれば確実に早期解決することができる
また、被害も最小限に済むだろう
しかし、何でも飛影に頼めばなんとかなる。そのような考えを持ってしまったらこの国は墜ちる
自分達でなんとかしようと足掻こうともしないのは言語道断である
母親の女王セツネとしての姿を見てきたリラコとして、飛影に甘えることは許されない
「とりあえず、飛影にはこの件を伝えるだけにしろ。え~と、ハルカ伝言よろしく」
「私が…ですか!!?」
周りが大変そうだなぁ~と話し半分で聞いていたハルカ
急な抜擢に驚く
「おう、飛影と仲良いだろってなわけで行ってこい」
「え~と、はい!!わかりました!!」
元気良く返事をして一礼
そのまま慌てて部屋から出る
「とりあえず、何事もなきゃ良いんだけどな~」
楽観的な表情で
しかし眼だけは真剣に天井を仰ぐ
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「っていうわけなんですよ!!」
「いや…さっぱりだ」
庭で寝転がりながら紅茶を飲むという、ある意味で優雅な時を過ごしていた飛影
いきなりハルカがやってきて今の台詞を言ったのだが
飛影としては何が何だかわからないというのが現状である
「え~とですね、今お時間よろしいですか?」
ふざけタイムは終了である
背筋を伸ばして真面目な表情になる
「ん~と、30分後にはメリア魔法学校で演習を行うから25分程は大丈夫だ」
ハルカが見ると飛影の周囲には無造作に紙が散らばっていた
(よく飛ばないな~って…あぁ風か)
通常であれば常識外
だが、飛影にとっては常識である
その紙にはこの後に行う予定の演習について事細かに書いていた
「飛影さんって大雑把に見えて凄い計画的ですね」
飛影のいつもの行動からは想像できなかった
そのため、つい横道に逸れてしまう
「…書きたくて書いてるわけじゃねぇよ…なんか、魔王が行う演習を事細かく記録に残したいとか言われて書いただけだ…実際思った通りに行動するからこういうの苦手なんだけど…」
思い立ったら行動ではなく
飛影の場合は思い浮かびながら行動である
常に行動と思考は並列に動いている
「まぁ今後のメリアのためなら、多少の面倒は我慢するさ」
だりぃ~と首の骨を鳴らす飛影
「…飛影さん、もしもメリアか自分の命か?って言われたらどっちを取りますか?」
そんな飛影を見てハルカが思い浮かんだ疑問
「メリア」
そんな疑問に悩む様子も無く即答する飛影
「…少しは悩むとかなさらないんですか?」
「悩む必要は皆無だな…俺はセツネが残したこの国が大好きだ…お前らが大好きだ…だからそれを守るためなら命だって惜しくない」
「…!!」
その覚悟に圧倒されるハルカ
冗談でもふざけてもいない本心からの言葉
覚悟をもった言葉に圧倒されてしまう
「はぁ…御自分も大切にしてください」
圧倒されて出てきたのは溜め息である
飛影は自分を本当にどうでもよく思っている。椿から聞いたことである
正しくその通りで飛影のその覚悟には自分が無かった
「それで?横道に逸れて結局あと10分37秒だけど、本題は?」
ハルカの言葉には答えない飛影
話を本筋に戻す
「あぁぁぁ~!!?」
飛影に言われてようやく思い出したハルカ
「そうでした!!…え~と大変なんですよ!!」
「…」
ハルカの言葉に飛影は可哀想な子を見る目でハルカを見る
「ハルカ…お前には主語が足りない」
ポンポンと優しく頭を撫でる飛影
「なっ!!?そんな哀れんだ眼で見ないでくださいよぉ!!?」
恥ずかしさで顔を真っ赤にするハルカ
「はいはい…そうだねぇハルカは良い子だもんね~」
「赤ん坊でもないですよ!!」
飛影はひとしきり頭を撫でて遊ぶと再び寝転がる
飛影は隣を叩きハルカに座るように促す
「それで結局本題は何だよ、今のところわかったのは大変ってことだけだぜ?」
俗にいう女の子座りで座り、落ち着くために深呼吸
頭の中で文章を整理して、飛影の言った主語に意識を傾けた
「えっとですね…影です!!」
「今度は主語だけか…」
主語にばかり意識を傾けたせいで文章を忘れてしまったのである
もう飛影のハルカを見る目が凄まじいものである
「ちょちょちょいと待ってください!!汚名挽回のチャンスを!!」
「…わざわざ自分から汚名に足を沈めるのか…」
「そぉぉい!!間違えました!!名誉返上です!!」
「元々無かった名誉を…しかも更にあるものだとしても返上するのか」
「違いますぅぅう!!」
軽いパニックである
ワタワタと慌てるハルカを見るに見かねた飛影
「落ち着け」
そんな飛影は優しくハルカを抱き寄せる
「はぅ!!?」
「何かわからんが大変なんだろ?俺に伝えなきゃいけないんじゃないのか?…ひとまずは落ち着け…あと5分13秒はあるから」
いきなりの飛影の行動にハルカは顔を真っ赤にしながら、しかし頭は落ち着いてくる
「じゃあ、このままの態勢でお願いします。今メリアには度々不穏な影が現れるそうです。今のところは無害ですが、いつ害を及ぼすかわからないので、警備の配置が変わります」
「ふむ…なるほど、つまり俺はその元凶を叩き潰せばいいんだな」
「いえ、違いますよ、ここはメリアに任せてください、っていう伝言です。国王曰く飛影さんに甘えてばかりでは国が伸びないとのことです」
そのハルカの
リラコの言葉に不満そうな表情になる飛影
角度的にはハルカからは見えないが雰囲気で察したのか苦笑いを浮かべる
「…伝言頼んだ、その心意気は理解した、けどお前らに危険が及ぶなら話は別だぞ」
飛影はハルカを解放する
「ジャスト…行ってきます!!」
丁度時間である
「行ってらっしゃい飛影さん」
ハルカが笑顔で見送ると飛影は手を振ってその場から不可視の速度で移動する
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「はう~…メンドクサイノ~ダルイノ~でも仕事なの~…まぁ報酬はいいから良しとするの~」
大あくびをしながら歩いている女子がいた
若い容姿に目立つ容姿
可愛い少女であった
その日、その時間にメリアで空を歩く少女が発見された
頑張れハルカ
馬鹿な君を応援している




