リックスの日常
やっぱりまずはリックスです
そしてセツネが死んで10年後のことである
リラコの息子のリックスが15歳になる
顔が少年から青年になろうと変化していて、リラコの面影を残しながらかなりのイケメンへと成長していた
身長は170センチ、飛影よりも上である
「おら!!」
《レジック・単》
脚を横一文字に振るうとそこから鎌鼬が発生する
巨大な鎌鼬は一直線に突き進む
「甘い!!」
目標はリックスが知る限り最強の人物
魔王飛影である
高速で迫る鎌鼬を飛影はヒラリと避ける
「やっぱだめか?」
「そんな単発技がこの距離で当たるかアホ」
「ちっ」
軽く舌打ちをするとリックスは飛影との距離20メートルを一瞬にして詰める
魔法なしの足技
蹴り技に特化しているリックスは蹴りのみで戦う
息もつかせぬ猛攻
踊るように蹴りが飛影に襲いかかる
拳と違い蹴りは連打がしにくい
しかしリックスは地面につけるのは軸足ではなく腕である
独楽のように回りながら蹴りを放ったかと思えば、次の瞬間には宙に浮いて飛び蹴りが炸裂する
低い位置からの猛攻に普通であれば、耐えきれずに食らい続けるしかない
「にゃろ!!」
しかし一発も掠ることがない
完全に見切られてギリギリで避ける飛影
「動きに無駄が多いぞ」
飛影はニヤリと笑いながら後ろに跳躍
「待てこら!!」
それを追いかけるリックス
「はい、俺の勝ち」
「え?」
飛影は構えもしない
しかし、リックスが踏みしめた地面が陥没する
気付いた時には巨大な落とし穴が口を開いてリックスを飲み込んだ
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
「うははは!!」
200メートル程一直線に落下して底に激突する瞬間に風がクッションとなり無傷で着地する
「深ぇよ!!どんだけ掘ったんだよ!!?」
リックスが叫ぶが200メートル上にいる飛影には届いていない
「あれ?これで何勝目だ?」
「2,503戦2,503勝だよ飛影」
周囲に誰もいないが、飛影の言葉に返すものがいた
飛影の腰に指してある刀
黒鋼である
「ちなみに落とし穴での勝利は137回だから」
「学習しねえな~」
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食堂
あの後、飛影からサルベージしてもらい現在やけ食い中である
「また負けたぁ!!」
「少しは近付くことができましたか?」
メリア城では全員が同じ場所で食べることになっている
リックスの目の前にいるのは従者の女性である
「全然!!触れることもできなかった」
くっそう…と完全に自棄食いが続く
それはメリア城でのいつもの光景である
飛影と戦いボコボコにされたリックスが食堂で自棄食いするのは毎回恒例である
「さすがに飛影さんですね」
セツネの死後、飛影は約束を守りメリアの者達と普通に接するようになった
最初はおっかなびっくりで接せられた従者達であるが10年もたつ頃には、壁はない良好な関係が築けられていた
「…お兄ちゃん弱いんだから、飛影お兄ちゃんに挑むのやめたら?」
「ほ~う…いい度胸だなクド」
13歳の少女
クドという名でリックスの妹である
その顔は可愛いというよりも綺麗という言葉が似合う
リラコではなく、その妻に似た金髪の少女である
実の兄に対し実に呆れ顔で溜め息を吐いて諭そうとする
その言葉にリックスはヒクヒクと頬を震えさせて、立ち上がる
「ん?やる気?」
魔力を解放するリックスとクド
それは15歳と13歳の兄妹喧嘩であるが、実際のところ強力な魔法使い同士の喧嘩である
結果がどうであれ、食堂が崩壊することは楽に予想ができる
熱くなると周りを見れなくなるリックスとクド
もはや場所は関係無かった
食堂に入るもの全員が一斉に避難を始める
《レジック・単》
《ロア・フェニックス》
リックスは巨大な鎌鼬を
クドの手には身の丈ほどの巨大な弓矢が出現し、鎌鼬と同じ大きさの巨大な焔の鳥を放つ
「こら!!」
《炎舞・風華・喧嘩両成敗》
黒炎の小さな球がクドの魔法のフェニックスを食らい付くし
風華の風が鎌鼬を包み込む
二人の一撃がぶつかり合う前に衝撃も発生せずに消滅する
『あっ』
「あっじゃない」
二人の頭に衝撃が走る
リックスとクドの間には溜め息を吐いている飛影がいた
「う…飛影」
「う…飛影お兄ちゃん」
二人ともに一歩退く
「とりあえず、どっちが悪いとかは関係無いからな」
飛影は両腕を広げる
同時に魔力を伸ばしてリックスとクドの頭をわしづかみ、両腕を閉じた
互いの頭が引き寄せられ
ゴスとかなり痛そうな音が食堂に響いた
『~~~!!?』
そして頭を抑えながら転がり回る二人
「迷惑行為は厳禁!!」
飛影は一仕事終えた表情で、去っていった
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30分後
なんとか復活したリックスとクドは互いに頭を下げ謝罪をする
喧嘩はするが、仲直りも早い良い兄妹なのである
「仲良きことは素晴らしきだな!!」
『お父さん!?』
すっかり成人して老けてきたリラコ
髭も生やしダンディな叔父様のような外見になっていた
「飛影に叱られたか?」
二人ともにでかい瘤があるのを発見したリラコの推理は的中していた
「まぁドンマイ」
爽やかに笑うリラコ
外見とは似つかわしくない子供のような表情であった
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次の日
散々落とし穴にやられてきたリックスは深夜にせっせと深さ二メートルの落とし穴を作成し、飛影に勝負を挑む
今回のリックスの勝利条件は飛影を落とすことである
勝負を挑むと言っても宣言はしておらず飛影を遊びに誘ったのだ
コース上に落とし穴を設置したため、歩けば落ちる
リックスは然り気無く飛影を誘導して、謀る
三秒先の未来を想像してにやけるリックス
しかし
「あっ…手が滑ったぁぁぁあ!!」
一瞬後
飛影が叫んだと思ったら、リックスは宙に浮いていた
正確には浮くではなく飛影に投げられていた
落下地点は自作した落とし穴であった
「ふげ…」
落とし穴に落下するリックス
たかだか二メートルということで余裕がある
だがしかし飛影はその上をいっていた
すぐに衝撃が来るかと考えて身構えるリックス
「?」
変だと思い頭上、つまり穴の底を確認すると見えなかった
「またかよぉお!!?」
昨晩、せっせと穴を掘っているリックスを発見した飛影は、その穴を風華の風で更に掘る
結果、250メートルの落とし穴が完成し逆に落っことしたのである
「くっそぉぉ!!いつか勝ってやるぅぅぅぅう!!」
毎日のように、飛影に挑みそして敗北する
それがリックスの日常であった
次はクドです




