名前を付けて、名前で呼べ
飛影と魔剣の物語です
お詫び
間違えてリラコの魔法が、爪と線とで二つになってました。
申し訳ありません。
リラコの魔法は線でお願いします。
少し時間かかりますが、物語の方も修正します
飛影が人性の魔剣を入手してから一週間の月日が経っていた
その間、魔剣は人形になりながら、街を観光したり城を探索したりと好き勝手に歩き回っていた
飛影も仕事があるため、あまり案内をできないので魔剣の行動は丁度良いものであった
しかし、そんな魔剣も朝になると、大人しく刀に戻る
理由としては、毎朝は飛影がトレーニングをするため、使ってもらえるのである
セツネの手伝いをするようになってから、暇潰しと訓練を兼ね備えた魔法使い殺しをすることが無くなってきたため、魔剣の使用はそこまでではない
魔剣としては、折角の使い手に使いこなして欲しいという願望はあるわけである
そのため、毎朝は必ず飛影の傍にいる
この日もいつもと同じ日であり、飛影がいつも通りの時間に起床する
隣のベッドで椿が一切起きる気配もなく爆睡しているのもいつものことである
「ん?今日は刀か」
「ローテーションだよ」
一日おきに刀か人形かで飛影を待っている魔剣
今日は刀の日であった
「まぁいいや」
魔剣を掴むと窓から飛び降りる飛影
場所的に少し高いところだが飛影にとっては気にする必要が無い程度である
「よっと」
飛影は着地と同時に抜刀
「知ってたらでいいんだけどさ、残りの魔剣ってどんな能力?あと今の魔剣の性能を知りたい」
命を預ける大切な武器である
現時点での性能を知りたいと思うのは当然のことである
「オッケイマスター全部知ってるから大丈夫だよ」
「じゃあ頼む」
「まず、硬性の魔剣の効果は硬いっていうのは文字通り「次に熱性の魔剣は形状維持…熱しても冷やしても刀は決して変形しない、「それから融性の魔剣は十刀の魔剣を一つにする、一番の要だね「伸性の魔剣は質量変化、伸びるだけじゃなくて縮めることもできるよ伸性があれば色々と便利だよ「それから変性の魔剣の効果は変異自在、マスターが望むもの…または僕が望む姿をとることができる。僕の人型も変性の魔剣の効果だよ「あとは、今の僕とまだ集めていない魔剣の効果だね…「僕は人性の魔剣で効果はあまり無いかな…喋るだけ喋るくらい?まぁマスターの孤独を癒すのが仕事かな~「んで残りは知性と魔性と斬性と耐性かな」
今取り上げたのは現在の飛影が入手している魔剣の特性である
「知性は魔法の知識が手にはいる。マスターじゃなくて僕がね。「連動して魔性は魔力が手にはいる。マスターじゃなくて僕が、二つが合わさることで僕が魔法を使えるようになる。「斬性は一刀両断、切れ味がはね上がるただでさえ切れ味は最高峰だけどそれ以上に良くなるよ「最後に耐性だけど、どんなものかはわかるけど、説明が難しいな…「それで全部で十刀の魔剣を融合させれば、魔剣は絶対強者級になるんだよ」
魔剣という存在はただの武器ではない
持ち主と共に戦うパートナーでもある
魔剣が最高峰と呼ばれているのは単体での強力な能力ではない
絶対強者級の武器を絶対強者級が使ったらそれだけで二対一
つまりはそういうことである
「なるほどな…絶対強者級になんのか…」
飛影は今聞いたことを頭の中で反復しながら素振りをする
「…そういえば…」
飛影は変性の魔剣の特性を聞いて思ったことがあった
変異自在とはどういうことなのか
「…」
飛影はイメージする
刀ではなく手甲を
指の動きが縛られないように関節部分を少し大きく空けて、手の甲は魔剣の装甲
両腕に付けれるようにして、手甲と手甲を細い鎖で繋いでいる
そんなイメージを持って魔剣を振る
「おぉ!!?これはヤバイ面白い!!」
魔剣を振ると同時に魔剣は飛影のイメージ通りの姿を形作り両手に装着される
「おぉ~一発で成功するなんて、さすがマスター」
魔剣自身も驚いていた
変性は魔剣の中でも扱いにくい能力であり、確固とした強いイメージを持たなければならない
「へ~」
飛影は手を開いて握ってを繰り返し、再び変形させる
次のイメージはシンプルなデザインの鉄槍
「おぉ!!」
飛影はクルクルと槍を回転させながら感覚を確かめる
「ヤバイ!!」
次に飛影がイメージしたのは巨大な剣
高さ100メートル
幅50メートルと馬鹿げたサイズの剣に変形させる
「超面白い!!」
飛影は次々に変形させる
本で見て使ってみたかった武器へと
鎖
刀
槍
手甲
トンファー
ヌンチャク
三節紺
突剣
盾
鞭
双剣
ダガー
ナイフ
鋸
金槌
大槌
斧
次々に変形させる
「これはメチャメチャ面白いな!!?」
「さすがとしか言えないよマスター」
子供のように輝いた笑顔の飛影
魔剣は圧倒されていた
変性の能力はイメージすることで変化するため、膨大な集中力と精神力を消費する
そのため、簡単に変形できるものでは無い
それにも関わらず飛影は笑いながら高速で変形させて、更にその精度も完璧である
「ほい!!最後!!」
飛影は空中へと放る
「お見事」
地上へと着地したのは人型になった魔剣である
「…あれか?今の魔剣には斬性が無いから斬撃より打撃の方が威力が高いのか?」
「まぁ威力だけならね…基本的に僕で斬れないものはないし」
フフンと無表情に誇ったような態度になる魔剣
「いや、斬れないやついたぞ」
「え?マスターの力量で?」
いやいやそんなのありえないって
と言いたげな魔剣
そんじょこらのゴミな剣士ならありえるとは魔剣も思うが、飛影の実力は魔剣自身がマスターと呼ぶほどに相応しい魔剣の所持者である
そんな飛影に斬れないものは無いと断言できる魔剣であるが、飛影の脳裏には軽々と防ぎきったギルギアの姿があった
「でも、まぁ個人的に斬るより殴る方が好きだからな…丁度良いか」
「ん?」
飛影は魔剣の頭を鷲掴み最初にイメージした手甲を造り出す
「ほぉ…いきなり戦闘準備万端とは…良い度胸じゃなチビ」
「今日こそは負ける気はねぇぞババア!!」
魔剣の背後
そして飛影の正面にギルギアがいた
朝六時半
早朝とも言える時間帯に二人はすでに敵意と殺意をぶつけ合う
「ここじゃ戦えねぇから上あがれ」
「我に命令するでない」
といいつつも、さすがに影響が出てしまうためギルギアと飛影は空へと上がる
「今日は貴様が結界を張れ」
「俺に命令すんな」
といいつつも、さすがに影響が出てしまうため飛影は結界を張る
「今日こそはぶち殺す!!」
「はっ!!今日こそは息の根を止めてやろう!!」
飛影とギルギア
絶対強者級の二人は魔力を解放し殴り合う
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「…くそ…また、負けた」
全身の骨が粉砕された飛影はメリア城の正門に倒れていた
結果は飛影の敗北
ギルギアも似たようなダメージであるが、飛影の一瞬の判断ミスからそのまま決着となった
「…反則でしょあれ…僕よりは柔らかいとはいえ、ほぼ互角って」
刀の状態で地面に刺さっている魔剣
今回の戦いでは飛影はようやく対等に殴り合うことができたが、硬性の能力を持つ魔剣でも鎧を完全に粉砕することは楽ではなかった
ギルギアの硬さに軽くショックを受ける魔剣
「あっそういえばマスター」
「あぁそういえばだけどさ」
二人は同時に口を開き気まずい空気が流れた
「んじゃあ僕から」
「いや俺から」
二人して譲る気はない
「しょうがないから僕からにするね」
「まったく、仕方ないか…俺から言うぞ」
これはどちらが早く本題を言えるかの勝負となる
「マスター名前を付けて」
「いいよ」
結果勝ったのは魔剣であり、飛影も即答で返す
「その代わり俺のこと名前で呼べよ…黒鋼」
飛影にとっては、あまり先手を打たれても気にしない
もともと魔剣が張り合って面白いからやっていただけである
「ほぇ!!?その黒鋼ってのはまさか?」
「お前の名前だぞ」
「…さすがに早すぎない?」
「ずっと考えてたからな」
「なるほどね~黒鋼か」
魔剣は黒鋼か~へへ黒鋼か…っと無表情が崩れてにやけ面になっていた
「じゃあ改めて自己紹介だ!!俺は飛影、魔界の魔王だ」
「僕は黒鋼!!最高峰の魔剣だ」
『これからよろしく!!』
次話は年数が一気に飛びます