ド腐れチート野郎
ついに飛影がチートと出会います
セツネが子供を生んだ
名前はリラコ
名付け親は飛影である
セツネたっての希望である
セツネの夫である人物もセツネと飛影の気持ち悪いくらいの仲の良さは知っていたため、了承する
リラコは今五歳
やんちゃな年頃である
飛影とセツネは軌道に乗った世界一を維持するための仕事を行っている
そんなわけでいつも遊ばれるのは夫である
結婚しても女王のままのセツネ
飛影と寝転がりながら書類の山を片付けていた
「お前…良いとこ住んでんな~」
「っ!!?」
飛影でもセツネでもない声
易々と侵入できるほどザルではないはずである
セツネは跳ね起きて侵入者を睨み付ける
飛影は寝転がりながら侵入者の顔を見て気配がなかった理由に納得した
「久しぶりだな…ダドマ」
「50年ぶりぐらいか?」
ダドマぐらいになると50年程度はどうということではない
飛影の反応からセツネは敵ではないと判断し、再び寝転がる
「何しに来たんだ?」
「魔王の会合の収集だ…お前だけ世界移動できないからな」
ダドマが飛影とラインが顔合わせしていないことに気付いて急遽企画したのである
「…わかった」
問わなくとも拒否権はないことを理解した飛影
溜め息混じりに立ち上がる
「んじゃあセツネ…今日は仕事てきとうに切り上げといて」
「了解した~」
ゴロゴロと転がりながら書類を片付け始めるセツネ
セツネにとっては飛影との共同製作が面白いだけであり仕事熱心ではない
「じゃあ許可寄越せ…」
「なんのだ?」
「移動魔法使うんだよ」
昔ならば許可なしで移動できたが、今の飛影は絶対強者級
ダドマの方舟で移動させるには許可が必要になる
「許可」
飛影がその一言を言うと同時
《方舟》
ダドマが魔法を発動する
「あ~暇だ…リラコと遊ぶかな」
立ち上がったセツネはベッドを見て首を必死に振り誘惑から目を逸らした
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「…へ~ここが天界か!!」
ダドマの方舟で世界移動した飛影
初めての異世界に興奮が隠しきれない
「ここらへんは天使エリアだな」
魔界と人間界はほぼ同じ大きさだが、天界は遥かに広い
直接ラインのところに乗り込むのは楽だが、少しは観光させてやろうというダドマの優しさでラインがいる宮殿より少し離れたところに移動した
普通のメリアのような街並み
違うのは街人が全員天使の翼が生えていることだけである
「へぇ~!!ほぉ~!!」
「キャラ変わったな…」
飛影の感情丸出しな姿を見てダドマは軽く驚いていた
最後に会った時は時々負の感情が表にでる少年であったが、今は感情豊かになっている
「…こいつら…強いのか…」
ぼそりと危険なことを呟いた飛影
「ちょま!?」
言うが早いか、飛影は魔剣を抜く
「落ち着けよ!!」
《天変地異・頭を冷やせ》
今にも通行人に斬りかかりそうかな飛影を巨大な水の塊が包み込む
「がぼ!!」
天使のため、一般人より遥かに強い天使だが巨大すぎる魔力に通行人であった天使達は全力で逃走する
身動きとれない飛影
大量に圧縮された水のせいで指一本程度しか動かせない
さらに圧力により、身体中が悲鳴をあげる
「ごぼぶごばぼう!!(このくそやろう)」
《炎舞・無炎》
飛影の魔法は酸素を炎に変える
空気が無い水の中、飛影は魔法を構築する
水の酸素を使用し、水素として飛ばし水の絶対量を減らす
ダドマの水が一瞬にして蒸発する
「おぉ…これはもう洒落にならんくらい強くなったな」
ダドマは良い喧嘩相手ができて笑みを浮かべる
「なにすんじゃボケェ!!」
身体中についている水分を炎でまとめて蒸発させる
「いや…常識で考えろよ…お前ただの馬鹿だろ…」
呆れて溜め息を吐くダドマ
「常識なんぞくそ食らえだ!!」
「その意見には真っ向から賛成できるがな…どうする?周囲は誰もいないみたいだからな…やるか?」
先程の飛影の無炎を見てテンションが上がっているダドマ
「はは!!」
飛影は笑いながら後退
魔剣を抜いて構える
「ちょうど良い!!どれぐらい追い付いたのか知りたかったからなぁ!!」
「よし…」
対するダドマは無手で腕をだらりと下げて手のひらだけ飛影に向ける特殊な構えを取る
その手には輝く緑色の鱗が生えている
二人して魔力を解放
《炎舞・無え》
《天変地異・無げ》
《幻想魔境》
「ちょっと君らおちつこうかぁ!!!!?」
そんな二人の勝負に水をさす輩が登場した
不思議な光が飛影とダドマを包む
「やべぇ!!?」
目の前で焦るダドマ
飛影は現状の理解ができていない
「とりあえず人の世界で暴れるなよ!!」
天使の翼を羽ばたかせて着地する青年
天界の魔王ライン
大人しそうな青年の外見だが殺し合い最強の魔王だ
ダドマが焦っている理由はその殺しあい最強の魔法の発動条件を満たしてしまったからである
ラインのさじ加減一つで首が飛ぶ
「ん?君が新しい魔界の魔王の飛影か…初めましてだね、私は天界の魔王ラインだ」
「お前…強いな…それに面白そうだしよろしく!!」
簡単な挨拶として二人は握手する
「そういえばお前がド腐れチート野郎か」
ふと飛影はカガリが言っていた情報を思い出す
「な!!?」
絶対強者級から言われ続けているが、初対面の飛影にまで言われるとは思っていなかったライン
ダドマを睨む
それをダドマは完全に無視
無視されることも多くラインには反応がわからない
「カガリが言っていたぞ」
そして張本人からの暴露
「あいつかよ!!どんだけ広めれば気が済むんだ!!?」
にこやかに良い表情で笑うカガリの顔が脳裏に再生されるライン
「あれ?」
そしてラインもふと思い出す
今は天国で食っちゃ寝をしているであろうカガリが言った言葉
《愛しい愛しいちょっぴりだけど弟子》
「もしかして、飛影ってカガリと認識あるの?」
「あいつには色々と教えてもらった」
そして大きすぎる恩もあるがそれを飛影は口には出さない
「あ~じゃあカガリが言ってた弟子って飛影のことか」
「多分そうだろう…」
《ただ来るだけだったらできるけど、あんたに勝ったら面会させてね》
別れ際にカガリが言った言葉である
しょうがないと思いながらも、ラインも魔王であり絶対強者級
戦いは大好物である
「ちょっと戦わない?ルールは殺し無しだけ」
初めて会った魔界の魔王
前回の魔王であるアギトは面白味がなく、飛影はどうだろうかと試したいライン
ニヤリと笑う飛影
考えるまでも無く肯定の仕種だ
「ちょっと待て!!」
両者の合意が取れた後に横槍を刺したのはダドマであった
「なんで俺が戦えないことになってるんだ!?」
絶対強者級で人間界の魔王ダドマ
例外無く例外無く喧嘩、殺し合い、戦いは大好きである
「お前とは一度やっただろ…負けたが」
「ダドマは戦ったじゃないか」
新鮮味が無いと拒絶した二人
「くっそぉ」
本気で悔しがるダドマ
とても億単位で生きてるとは思えない
「どこでやる?」
「空」
飛影の問いにすぐに返答し空を指差す
地形が壊れないようにするための配慮である
「ダドマ結界よろしく」
「頼んだ!!」
ラインは飛翔し飛影は跳躍し空へ揚がる
「ち!!」
ダドマは全魔力を使用して、結界を張る
上空100メートルの地点
高さ二キロ
横幅三キロ
奥行き一キロの巨大な結界が展開された
「さて…やろうか?」
「いつでもいいぜ!!」
両者の距離300メートル
魔王同士の戦いが始まる
ダドマが可哀想…
でもラインと飛影の初バトル書きたかったんでしょうがないですね