篝火の心境
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2日目
「世界を壊すモノ?絶対強者級じゃないのか?」
朝御飯を食べ終えて食休み中
カガリがいきなり世界を壊すモノについて飛影にたずねた
飛影の認識では世界を壊すモノは絶対強者級という認識である
「あ~やっぱり知らないよね…飛影は関係大有りだから説明を聞いてね」
飛影のその反応は予想通りであったカガリ
森で採れるココナッツのように中に甘い果汁が詰まっている果物の口を開けて飛影に向ける
「ん…」
ズズズと飛影は魔力を操作して果物に伸ばして包み込む
そしてカガリの手から果物を受け取ると魔力を消して素手で掴んで果汁を飲む
「けっこう慣れたね~」
その上達の早さにはカガリですら眼を見張るものがある
「いや…カガリにはまだ負ける」
謙遜ではなく本心からの言葉
朝御飯を食べたが作ったのはカガリである
椅子に座りながら
カガリの座る席はキッチンを背にするように位置している
だがカガリは自慢するように飛影を席に座らせて自らも座り
魔力だけで朝御飯を作ったのだ
一切後ろを見ずに飛影と喋りながら
料理と言っても軽いサラダにフレンチトーストであった
しかし野菜を切ったり、卵をかき混ぜたり、トーストを焼いたりとおよそ人が手ですることを魔力だけでやってのけたのだ
驚かされてばかりの飛影である
カガリは自分の分も果物を用意する
「それで飛影の答えは半分正解!!…確かに世界を滅ぼすことができるのは絶対強者級…だけど世界を壊すモノは微妙に違う…簡単に言えば星の意思とでも言うのかな?500年に一度星は世界を壊すモノを創造する。しかも三つの世界に同時で…外見や特徴は毎回変わるけどまぁ絶対強者級ってのは変わらないよ」
「…つまり星は世界を滅ぼしたいのか?」
「そうみたいたね、今年で六回目だから3000年前から滅ぼしたいみたい。それで星に逆らって延命してるのが魔王の仕事の一つ」
まともな魔王の仕事ってこれくらいかな
とも付け加えるカガリ
二人して果汁を飲んで一休みする
「強さは絶対強者級のどれぐらいに位置するんだ?」
絶対強者級にも格差があるとカガリの説明で認識している飛影からの質問
「え~とね、アギトは苦戦してたね…ド腐れチートは仕事の片手間に瞬殺…ダドマとギルギアはジャンケンで決めてやってるけど苦戦したってことは一度も無いはずよ」
規格外の絶対強者級の中でも三人は規格外なのである
「飛影じゃ勝てないから私が手伝うよ」
もともと、一人だったら戦うつもりはなく、飛影に任せるつもりだったカガリ
神の少女に余命が三日と宣言され、そして明日は世界を壊すモノが現れる日
それがどう意味するかを充分に理解しているカガリ
そして神の予言が外れるとも思っていない
生き延びたいのであれば戦わなければ良い
しかしカガリはそれをしない
自分の命である
惜しいと思うのは当然だが、カガリは心穏やかであった
世界を壊すモノの出現ポイントは毎回同じで魔王のすぐ近く
カガリはクリエの羽根を風に飛ばし世界中に張り巡らせている
そのため、飛影が魔王とも知ることができたし念のため世界を壊すモノが現れて飛影が死んでもすぐに駆けつけれるように準備はしていた
精度はそこまで良くはなく、飛影のことも反則級だと知ることができなかったが…
そして実際に飛影と会って話して実力を知り
絶対に勝てないと判断ができた
だからこそ手伝う
何故か会って間もないが死なせたくないと思えたのだ
「…それは心強いな」
果汁を飲み干す飛影
飛影の本心からの言葉
飛影としてもカガリは信頼できる人物になっている
「はは」
ハニカミながら笑うカガリも果汁を飲み干し立ち上がる
「それじゃ修業だぁ!!」
「待ちかねた」
「今日は魔法の修業ね」
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時は遡り飛影がカガリと戦っているとき
椿はまだイニシアチブ国にいた
いや正確には飛影が見つからなかったので、勘を頼りに近くにある森に入ろうと国を出ようとした瞬間に地震が起こったのだ
「うわ!!?」
一瞬だけの大きな地震
慌てて近くにあった家の柱を掴み転ばないようにする
(なんか…懐かしい感じがしたけど…)
一瞬だけの大きな地震であったため椿はこの感覚を思い出そうとしながら、門へと向かう
「嬢ちゃんあぶねぇぞ!!?」
思考に没頭していた椿
男の焦ったような声で立ち止まる
男の声は正面から聞こえてきた
ぶつかりそうだったかと思いながら椿は男を見る
鎧を着ているため、門番の人かと思いながらもその距離に疑問が沸いた椿
門番と椿との距離は15メートルほど
ぶつかるような距離ではない
「嬢ちゃん下だ下!!」
門番は下を指差す
椿はようやく地面を見た
「ひ…うわわわわ!!?」
そこには地面が無かった
15メートルほどの地割れ
底は見えない
危うく椿は地割れに落ちるところであった
慌てて二歩下がる椿
「なにこれ!!?」
「さっきの地震らしい!!暫くここから出られそうにないから宿を取っておいたほうがいい!!」
門番の人は逆に国へ帰れない
国にいるものは出ることができない
国を囲む門が戦争をしていたため、封鎖していて一つだけしか開放していなかったのが仇となった
飛影が城の者を皆殺しにしたため指揮系統もメチャクチャで残りの門が開放されるのを待つしかない
「ありがとうオジサン!!」
椿は命の恩人に礼を言い国へと戻る
(…渡れないかな~あれは…オジサンは宿にって言ってたけど…戦争のストレスに城の騒動に、封鎖された国…嫌な感じがする。シュガーさんに習った通りなら暴動が起きやすいから安全な場所の確保と…ナイフくらいの武器は欲しいかな)
再び思考に没頭する椿
もう昔と違い何もできない少女ではない
お金は旅立つようにと、王様のへそくりが少し鞄に入っていたのと、飛影からもらった金が残っているため心配はなかった
椿の足は武器屋へと向かう
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そして舞台はまた変わる
人間界である
なんの変てつもない木造の一軒家にダドマとギルギアはいた
ダドマは寝転んで煎餅を
ギルギアはお茶を啜っている
「あ~そういえば明日が出現日だっけか?」
「む?…なんのことじゃ?」
「ほら…あの変なやつ」
「あぁ…あの変なやつじゃな…弱いくせに500年に一回欠かさずくるからのう…」
世界を壊すモノに対しての二人の認識はその程度のものである
「今回頼んだ」
「我か?面倒じゃが…まぁ良い」
溜め息を吐きながらお茶を注ぐ
「む…茶柱じゃ」
「ラッキーだな、明日は俺魔界行ってくるわ」
《方舟》
テーブルの上に置いてある煎餅を起き上がるのが面倒のため、魔法を使用して持ってくる
「なぜじゃ?」
「あのガキにゃまだ無理だろ」
まだ無理
それはダドマは飛影のことを認めている証拠である
「心配ないじゃろ…あっちにはカガリがおるしの」
「あいつ弱いから無理だろ」
ギルギアとダドマの意見が割れる
それは珍しいことである
ギルギアはカガリのことを高く評価している
8000歳という若さであの実力と、魔力操作は並外れたことではないとの考えである
逆にダドマは実力しか見ていないため、自分よりも弱い。で思考は終了だ
「んじゃああのガキが死にそうだったら助ける感じにするわ」
世界を壊すモノが現れるのは魔王の近くである
カガリが間に合う保証もない
ダドマは明日は世界を壊すモノが現れた瞬間に魔界に行こうと決めてそのまま眠る
「我も観戦したいのう…瞬殺して迎えに来てもらうことにしようかの」
緊張感がまるでない二人
それが今の人間界と魔界の実力差である
見ていただきありがとうございます。
多分この章はあと1~2話で終わります