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災厄の生き様  作者: 火憐ちゃん
椿編
14/122

再会


アイステンペストに着いた飛影と椿


彼らは何をするのか、

銀色の世界


雪が降り積もっていたが何故か国を囲む門から雪は積もっていなかった


飛影達がいるのは正門


積もっていた雪がある境界から無くなっている


見分けかたは簡単で積もっているかいないか


「なんで雪が積もって無いんだろう?」


椿の疑問


飛影は積もっている場所から手を伸ばす


「結界」


挾間に強力な透明な結界が張られており、その結界が雪が積もるのを阻害していた


「…これは驚いた…子供二人でここまで来たのか!?」


正門には門番がいた


商人や護衛や親の姿は周囲に無い


アイステンペストまでの道のりは一番近い国からなら楽だが子供が来れるほどでは当然無い


雪山にあるこの国はただ登山するのとは勝手が違う


そしてなによりその軽装


雪山の装備は無く薄手のとてもじゃないが雪山に適しているとはお世辞にも言えない軽装


「それって凄いの?」


しかし飛影には苦ではないし、椿は飛影に背負われていたのでそれが凄いことだとは思わない


「凄いね…さっきも、君らより少し歳上の女の子が一人で来てたし、もしかして二人はトーナメント参加者かな?」


「トーナメントって?」


会話は全て椿に任せて飛影は結界の境界に手を伸ばしたり引っ込めたりして構造を確認していた


理由は暇だから


「男女の二人でチームを組んで戦うんだ、優勝者には賞金と副賞として貴重なナイフがもらえる…だから今は参加者と観戦者で人が賑わっているよ」


人が良いのか、子供にも親切な対応をする門番


貴重なナイフ


その言葉に飛影は惹かれた


「それに出る。どうすればいい」


「簡単だよ、中央広場に受付所があるからそこで力を見せて合格すればいい」


門番の言葉に飛影はにやりと笑い


門を潜り抜ける


「待ってよ飛影くん!!?」


椿もそれを追いかける


「二人とも基準値以上じゃなきゃ駄目なんだけど…って遅いか」


重要なことを伝える前に飛影達は行ってしまった


「雪が積もっていないね~」


国の中は結界の中のため雪は積もっていなかった


逆に春のように暖かい


雪と氷の国であるアイステンペストだが、住み続けるためには必要な措置なのであろう


「…」


飛影はそんな椿の感想には耳を貸さず、止まらず歩き続ける


門番の言う通り人が多く賑わっていた


男女が一緒にいるのが多く、参加者が多いことの証明でもあった


「あぶっ!!」


二人とも人混みに慣れておらず椿は人にぶつかりながら進むが、飛影はひょいひょいとぶつかることなく進む


そして中央広場にたどり着いた飛影


そこにも人が多く飛影は殺したくなる衝動にかられるが何とか我慢する


受付所に進もうとした飛影だが、あることに気付く


「…あいつは?」


椿がいなくなっていた


「っ」


これでは登録ができないと飛影は舌打ちする


ナイフのことしか頭になかったのが原因だ


椿を探そうと感覚を拡げようとした時


「あら?あらあら?」


聞いた覚えのある声が聞こえた


そして挨拶のように軽く殺気をぶつけられた飛影


ザワ…


と心が震えたことを実感した飛影


「!!?」


すぐに振り返る


そこには飛影と初めて共闘した飛影よりも強い化物の少女


盗賊の静紅がいた


「…また、会ったわね」


ニコニコと微笑んでいる姿は変わらない


身長が伸びて140センチ程

外見も年相応の9歳程の姿をしていた


「また、会ったな、殺し会う…か?」


開口一番の言葉


「止めとくわ…それより貴方、名前はできた?」


災厄の子が飛影になった理由


それを作った静紅


「…飛影」


「できたのね!!良い名前だわ…それじゃ飛影君、また契約しない?…契約内容はこの大会に一緒に参加して優勝すること」


静紅も丁度ペアがいなかったのだ


もともと静紅は共闘すると被害が味方まで及び殺してしまうため優勝した者を殺そうかと考えていたところである


「いいぞ…宝はどうする?」


「ここの賞品デスパラシリーズなのよ…だから魔剣の一刀あげるわ」


賞品のナイフは静紅が収集しているデスパラシリーズのナイフである


静紅としても譲る気は無い


「魔剣の一刀?」


「飛影君が持っているその刀…」


静紅が指差すのは飛影の腰に差してある黒く黒い刀


「それが魔剣…十全の魔剣、少しだけ調べたのよ?…とりあえず損はしないことは確実だけど、これ以上の情報は有料よ?」


飛影は魔剣を見る


静紅の言葉から想像ついたのは、この刀があと九振りあるということと


この刀が強くなること


飛影が普通に使っていて刃こぼれもしない

切れ味が落ちない刀


飛影が試しに他の武器を使った時には飛影の力に耐えきれず武器が破壊された


この刀だけが飛影が扱える唯一の刀


「…」


飛影はポケットからてきとうに宝を探して静紅へ放る


「ふふ…ありがとぶ!!?」


華麗にキャッチしたとこまでは完璧だったが、脚がもつれてその場で転ぶ


「…」


「…飛影君の投げた場所が悪いのよ!!」


黙ってみていた飛影のせいにする静紅


アホな所は変わっていない


「それでいいか?」


飛影はそれをスルー


「うぅ……これライルね…まぁいいわよ」


飛影が渡したのはガラスの玉である


それは魔法の道具の一つで


効果は魔力を込めると光る


ただそれだけであるが、天井や壁にくっつけることができて壊れるまで再利用可能


また、魔力を込める量によって光量が変化するのも特徴である


使い方次第では目眩ましにもなるライルである


「ただあとこれ9個ね」


ニッコリと微笑む静紅


ライルの使用法は基本的に洞窟などでの道標である


一個だけでは意味があまり無い


「…」


飛影は頷いて残り九個を渡す


ポケットの中に500以上あるため気にしないのである


「魔剣っていうのは、全容はわからないのだけど…絶対強者級が作った剣で、十全の剣と呼ばれてるわ…一刀一刀に能力があって十刀全部集めると強力な剣になるらしいわ…飛影君の持っているのは恐らく熱性の剣。とにかく刀が変形しないように熱に強いの…私が持っているのは硬性の剣。とにかく固いの…それで残りの八刀は[斬性][融性][伸性][変性][人性][知性][耐性][魔性]各其々長所があるみたい…私が知っているのはこのぐらい…今特に目的がないのなら集めてみるのもいいかもしれないわね」


「…そうする」


素直に頷く飛影


話を聞いていると興味が沸いてきたのだ


「それじゃあ報酬にも満足してもらったなら…参加しましょ」


静紅は微笑みながら飛影の手をとって受付所まで歩く


受付所は数が多いためか少しおざなりになっており、登録用紙の紙が置いてあり書けたら所定の場所で実力を測ることになっていた


「おい…俺文字書けないぞ」


口頭ですむと思っていた飛影


「ふふふ…私がわかるから大丈夫よ」


誇らしげに自慢する静紅


お姉さんアピールができると内心は歓喜であった


「…」


静紅と一緒に参加できることは飛影にとって利点しかない


椿と一緒の場合は二人とも文字がわからずに、参加すらできなかったのだ


ちなみにであるが今の飛影に椿を探しに行くという選択肢は存在していない


「え~と書くので必須は…名前と年齢と性別で…あら?必須ではないけれど称号とか通り名もあるみたい…」


静紅は人通り上から下まで読む


全体的には参加者の情報と

怪我しても自己責任です。という誓約書であった


鼻歌混じりに静紅は必須の箇所を記述していく


「名前は~飛影君だから飛影、年齢は…?」


さっそく躓いた静紅


飛影の年齢がわからない


外見的には大体はわかるのだが正確な年齢は把握していなかった


クルリと振り返り後ろにいた飛影に訊ねた


「7年生きてる」


返答はすぐにもらえて静紅は七歳と記述して続きにかかる


「性別は男で…称号は魔王…と」


飛影の分の欄が埋め終わる


称号にわざわざ魔王と書いたのは飛影のためである


静紅の耳にもジソフ滅亡の情報は入っていて、やったのは災厄の子としか流れておらず魔王という言葉を聞いていなかった


静紅が化物と呼ばれたくないように、静紅は飛影のことも災厄と呼ばせたくないのだ


だから魔王として周知させることも目的にあった


「次は~静紅、九歳、女の子…ふふ…できたわ~」


バッと書き終わったのを飛影に見せる静紅


飛影にとってなんて書いてあれるからわからないが埋まっているのを見て頷いた


そして一陣の風が吹く


「あ…」


紙が静紅の手から離れて空を舞う


「馬鹿だろお前」


「ひどい!!」


飛影は少し屈んで、目標に向けて跳ぶ


難なくキャッチした飛影は着地して静紅に突き出す


「あらあら…さすがね」


静紅が受け取ろうとして


「…」


飛影は受け取られる前に手を引っ込める


「あら?」


「お前、またなんかやらかすから俺が持っておく」


飛影のその予想は正しい


所定の場所まで100メートルも無いが静紅なら二回は確実に何かをやらかす


「わ…私はそんなドジじゃ無いわよぉ!!」


移動が終わる


係員に紙を渡して案内されたのは大きなテントであった


中にいた係員は女性で不合格になった選手が暴れるのを抑えるため、実力があるものが選ばれる


「…こちらの水晶に触れてください、魔力を数値化します。5000以上で合格で本選に進めます」


営業スマイルを浮かべる係員


飛影と静紅が子供でも態度は他の選手と変わらない


むしろ他の選手よりも態度は良い


理由は簡単だ


飛影と静紅


魔力を抑えているが、垂れ流しの魔力だけで係員に圧迫感を与えている


まるで心臓を握られている感覚である


「触ればいいのよね…」


静紅は特に魔力を解放することなく水晶に触れる


魔力を数値化する水晶は解放されている魔力を測ることができる


つまり、普段静紅や飛影が垂れ流している魔力が数値化される


値は三万


「!!?」


「次は飛影君よ」


「ん」


予想していたとはいえあまりにもふざけている結果に思考が停止してしまった係員


その間に飛影は水晶に触れる


結果は当然二万六千


静紅には劣るものの充分すぎる記録である


すでに合格しているものの中では三万を超える者も珍しくない


しかし全魔力を解放して三万を超える


越えたものはどこか誇らしげな表情であるが


飛影や静紅は一切解放しておらずまるで当然のような反応である


「それじゃあ合格ね…詳細は?」


「あ…はい、本選は三日後の昼の一時からスタートになります。こちらがルールブックになりますのでご確認下さい」


係員は戸惑いながらも飛影と静紅に薄いパンフレットを渡す


「ありがと~」


終始笑顔の静紅と終始仏頂面な飛影はテントから出る


「飛影君、宿は?」


「いらない…本がいっぱいあるところに行く。文字を理解する」


「それじゃあ図書館ね」


一度来たことがある静紅


見せどころが来たと張り切って案内を開始して


辿り着いたのは一時間後であった


図書館の位置は目と鼻の先で五分もかかるはずはなかったのだが一時間かかった


「ここが図書館で本がいっぱいあるわ…まぁ本選が三日後だから三日後に合流で良いわよね?」


「いいぞ」


見渡す限り本という状況でも飛影は特に表情を変えることはない


てきとうな席に座る飛影


「とりあえず文字を覚えるならこれね…それじゃあ三日後に会いましょ」


静紅は飛影に辞書を渡すと図書館から出ていった


飛影も静紅も魔力探知を使えるため場所を決める必要はない


(始めるか…)


飛影は三日間全て本を読んでいた


閉館になったら一度外に出て再び侵入して


開館になったら一度外に出て侵入してを繰り返し


三日後には図書館の本全てが無くなっているという事件が発生したが犯人は見つからなかった



本を盗んだのは当然飛影です


コートのポケットにせっせと入れていました


次話は椿です

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