文化祭①
文化祭!
世間ではGWですが、文化祭です!!
文化祭
それは、学校で1年に1度行われる3大イベントの内の一つである
校舎は既に文化祭用に装飾されており、時刻は08:50となっている
一般的で平均的で平凡な学校であるが、イベント毎の規模だけは無駄に大きく有名である
そのため、まだ開催はされていないが数名程は既に学校の前で並んでいた
09:00から開始であるが、まだ体育館に全生徒は集まっている
トラブルがあり遅れているのでなく、単純に毎年恒例なだけである
文化祭開催の挨拶は、08:50から行われる
時間的に押しているかと判断してしまうのは1年生だけである
やることは、校長であるダドマの挨拶のみ
その挨拶内容も
「よっし!これから文化祭開始だ!楽しんで来い!!」
以上
だが、無駄に長い話をされるよりも全然マシである
集合してから10秒で文化祭開催の挨拶が終了する
そして、文化祭が開催される
体育館から、一足先に飛び出したのは飛影とリタである
既に飛影とリタは着替えを終えている
飛影は、黒のスーツ姿で清潔感ある格好
リタは、メリア城で実際に使用している従者の服を着用していた
決して走れるような格好ではないが、二人して走っている
「リタ!」
「はい」
飛影がリタの名を呼び、ハンドサインを送る
二手に分かれた飛影とリタ
リタは真っ直ぐ、自分達の店である視聴覚室に向かう
飛影は、速度を上げて校門で待機していた椿と黒鋼と杏の方へと向かう
「開催されたからよろしく!」
『ラジャー!』
黒鋼は飛影と同様に黒のスーツ
椿と杏はリタと同様に従者の服を着用している
衣装に関しては、飛影がメリアに戻り無料でレンタルしてきたものである
実際に実用性があり採用されているデザインであくまでも従者として主人よりは目立たず、それでいて可愛らしいデザインとしている(飛影&クド作)
スーツにおいても、やはり従者のものを無料レンタルしてきている
かなり内装を弄り、まるで城のような内装(メリア城の一室を採用)の視聴覚室に飛影は入るとすぐに机で寝ていたシーレイをおんぶする
「よし!!戦争が始まるぞ!!お前ら戦闘準備だ!!!!」
「お任せください!!きゃっほーう!!!」
「腕がなりますね!!!」
「完璧にこなします」
テンションが最高潮
いつでも準備は万端である
そんな時、視聴覚室のドアが開く
「え…お前ら早くないか?」
普通に歩いてやってきた彗
格好はスーツ姿である
「遅い!!!戦争は既に始まっているんだぞ!!各位配置につけ!!!シーレイの確知によると09:02に4名+3名+2名+3名が入店予定だ!」
《炎舞・調理》
《風華・開始》
飛影は魔力を解放し、魔法を発動
誰にも見えないように封鎖しており、食材と食器と水が無造作においてあるスペース
そんな調理場に炎と風が出現する
シーレイのお陰で、いつ・何名・何を頼むかを知っている飛影
調理を開始する
そして09:02となり
シーレイの確知通り、ドアが開く
『ようこそ!魔王の城へ!!』
視聴覚室を使用した飛影達の店名"魔王の城"が開店する
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開店から3時間後、丁度12:00頃
魔王の城は現在40分待ちとなっている
黒鋼と椿と杏も既に接客に移っており、入れ替わりで看板を持ちながら校内を一周するだけの呼び込みを行っている
今は飛影の番である
調理は全て魔法の遠隔操作で行っているため、時間に合わせて料理を提供するだけであるので飛影が魔王の城にいなくても問題は無い
既に3時間で、料理の美味しさ・提供時間の短さ・なにより店員のレベルの高さは校内中で噂になっていた
(順調順調!…意外とアンジェレネがそつなくこなしていたのにはびっくりしたな…)
アホで馬鹿なアンジェレネの接客は多少、もたついていたが流石は神といったところだろうか
小さなミスも逆に客にとっての受けが良い
本来なら順番的に飛影は16:00~17:00に呼び込みをする予定であったが、ダドマとギルギアが入店したため、全員の総意で飛影が呼び込みに行くことになった
(う~む、休憩も含めた呼び込みだからな~どこ行こうか…)
思考では悩んでいるようであるが、飛影の行き先は迷わずに秋野のいる教室へと向かっていた
「あきのーん!!元気かぁ!!!」
「…ようこそ先輩いらっしゃいです、あとあきのんは止めてください!」
秋野達のクラスはコスプレ喫茶である
秋野のコスプレはうさぎの耳をつけただけである
飛影の背中には寝ているシーレイがいるが、慣れてしまった秋野としてはあまり気にしない
「何か頼みますか?」
「あ~~~~ただ来ただけだしいいや」
「冷やかしですか!!先輩の所は順調ですか?」
秋野達のクラスのコスプレ喫茶は、予定よりもお客が来ておらず既に1位になることを諦めていた
「想定どおりだな」
「はぁ…先輩のところにお客さん取られまくりですよ…私そろそろ休憩なんでどっか一緒に回りません?」
(その台詞を彗に言えよ)
心の中で突っ込みを入れる完全に異性として意識されていない飛影
恐らくこれが彗であったなら、台詞はカミカミで何を言ってるのかわからないものになるか。緊張で何も喋ることができなくなるであろう
「…まぁいいぞ」
「あと、ミサンガ買いません?」
秋野達のクラスは、喫茶店とは別にミサンガを売っている
値段は50円以上からの言い値である
「ミサンガ?」
「これですよ。これは私が作ったんでちょっと形が歪になっていますが、手先が良い子のは綺麗にできていますよ」
秋野から見せられたものは、普通のミサンガであるが所々毛が飛び出ていてとても売れるようなものではないが、秋野に指差された先にあるミサンガは売り物として通用する形になっている
しかし、飛影の目は秋野が見せたミサンガしか捉えない
「…それ、もしかして一生懸命編んだ?」
「う…まぁ確かに形は歪ですけど、一生懸命編みましたよ!形は歪ですけど…」
「いくら?」
「100万です!」
一瞬の静寂
「…まぁ冗だ」
ただの冗談であった秋野
正直な話、無料で渡そうとも思っている
しかし、飛影は迷わず札束を秋野に渡してミサンガを受け取る
「へ?????」
「100万だな。うん、良い買い物をした!!」
はじめて見る札束に秋野はあわあわと慌て始めるが、飛影は気にせず右手にミサンガを着ける
「いやいやいや!受け取れないですよ!!これ原価1円もしませんよ!!!?」
「原価の問題じゃなくて価値の問題だよ…これ秋野の魔力が込められてるんだよね~、秋野の魔法の属性は集・固・弾だからその属性がついている。幸せを集める・悪いものを弾くとかそういう効果がついてるマジックアイテムになってるからな、マジックアイテムが100万は安い。良い買い物をした」
「…え~」
まだ納得ができない秋野
飛影は少し考えると、一万円札を取り出す
「秋野はこれを買うとしたらいくら払う?」
「一万円でしたら、普通に一万円ですかね」
「けど、この一万円札には俺の魔力が込められていて、15年間命の危機を守ってくれる効果がある。そしたらいくらで買う?」
考える秋野
目の前にいるのは、かなりアホであるが魔王である
魔法使いの王である飛影の魔力が込められており、15年間命の危機を守ってくれる効果がある一万円札
「……先輩の魔力でしたら1000万とかいくんじゃないですかね?」
逆に1000万で足りるかどうかというレベルである
「それと同じ」
「…まぁ納得しておきます。とりあえず回りましょうか?」
秋野は札束を集金係に渡すとうさぎの耳を外す
「俺は特に行くとこ考えてないから、秋野の行きたいところ行っていいぞ」
「了解です!!」
この100万が飛影のプランを崩しかねないものであると、飛影自身は気付いていなかった
今年のGWはあんまり連休感がありませんよね~