星願(トゥインシュ)
「まず、トゥインシュの力について説明するね。トゥインシュは、星のような命を持った人の事を言うの。」
フレイナは説明を始めた。
「つまり、人間よりもとっても長生きってわけ。肉体も強化されてるから、人間よりも頑丈。」
「星のような命…」
「んで、その1人が持つには余りある命をエネルギーにして、レグメルという物質を使って戦う。それがトゥインシュ。」
「ほうほう」
「あと、トゥインシュは生命力を感知することもできるよ。距離によって感知できないこともあるけど。」
「なるほど…」
「レグメルは、想像力で形を変化させることができるの。」
「変化?」
「そう、想像力で形を変化させ、物質にすることもできる。私達は生命力と想像力、この2つで戦ってるの」
トゥインシュの武器は生命力と想像力。
この2つだという。
「それとね、私達がトゥインシュの力を100%発揮するには、解煌っていうものをする必要がある。解煌すると見た目が変わるだけじゃなく、戦闘力もアップする。
解煌には、特定の行動が必要なのだー。」
「特定の行動?」
「そう。特定の動きをしたり、言葉を言ったり。君みたいに動きとアイテムが必要だったり。」
言われてみれば、ヤマトは腕を☓字にして前に突き出し、紋章のようなアイテムを出現させて、そのアイテムを操作する事で解煌していた。
「結構面倒なんだね…」
「まぁ、私はこの手間を、力が暴走しないような安全装置的な意味合いがあると思ってる。」
確かに特定の行動をしてやっと力が発揮できた方が、ふとした時に唐突に力が発揮されてしまうよりはましだと、ヤマトは思った。
「あ、そうだ。あの紋章みたいなの、名前付けてみたら?」
フレイナにそう言われ、ヤマトは紋章を出現させた。
「うーん……シュプリームブレム。このアイテムの名前はシュプリームブレムだ!」
「いいんじゃない?」
シュプリームブレム。シュプリームとエンブレムを掛け合わせた造語だ。
「そのアイテムもそうだけど、レグメルでできた武器とかアイテムは、一定の距離があれば自由に心の中と外に出し入れできるよ。前の戦いでは、剣は結構離れてたから私は出来なかったけれど。」
「そういえば、フレイナの剣、僕の中に入ったままだ…」
「あぁ、気にしなくていいよ。その力も含めて、今は君のものだ。それに、剣はまた作り出すよ。ちょっと時間かかるけど。」
「…そっか。」
「…?どうしたの?急に浮かない顔して。剣の事なら心配いらないって…」
「違うんだ。僕は、この力を持っていていいのかってふと思って…」
ヤマトは語る。
「セツナから託された力だから、この力に恥じない事をしたい。でも、セツナより勇気の無い僕より、この力に相応しい人がいたんじゃないか。そう思うと…」
「大丈夫だよ。」
フレイナはヤマトを見つめて答える。
「君は勇気があるよ。勇敢に荒禍に立ち向かった事。私の剣を届けようと走り出した事。私は知ってる。きっとセツナちゃんだって…。だから、頑張ろ!」
フレイナの励ましに、思わず涙が出そうになるヤマト。暖かい言葉が、嬉しかった。
「…ありがとう。」