フレイナの過去
『これは…まずい!』
『集めた星力が暴走を…?』
星力。それは地球から集めた力。
フレイナ達は地球から、星から生命力を純粋な力として集めることに成功していた。
『アハハハァ〜!これで…これで私の目的は達せられるぅ…!』
『どういう事!?もしかしてこの暴走はあなたの仕業なの!?』
『そうだぁ。私の仕業だよ。』
クロージュは語る。
『この星力によって新たな生命が生まれる…そしてその力を使ってこの星に新たなる力を満たすのが私の目標の第一段階だぁ…』
見ると、星力を集めているガラスの筒の中に生き物のようなものが現れているのが見える。
『あれは何…!?』
『こんな事…起こり得るのか…』
フレイナもクランゼファー博士も驚く。
『アハハハァ…星力から生まれた生物。名は…そうだな、ゼーギウスとでも名付けようか。』
ゼーギウスと名付けられた生物は星力の中で蠢いている。
『このゼーギウスを宇宙に打ち上げる。ゼーギウスにも、地球にもそれで力を授ける事ができるぅぅ…!この貴鬼竜九狼呪の願いの1つが成就されるぅぅ…!』
『力…?』
『何のことじゃ!』
『こういう事さぁ!』
ゼーギウスが光り輝きだす。
『させん!』
『クランゼファー博士!』
『邪魔させるかぁ!』
クランゼファー博士の胸を、クロージュの凶弾が貫く。
しかし、クロージュの手には銃らしき物は無い。
右手の指先から何らかの光を発し、それがクランゼファー博士の胸を貫いていた。
『博士!!』
フレイナが博士に駆け寄ると同時に、ゼーギウスが星力の光と共に空に打ち上がっていく。
天井をものともせず突き抜ける光。
やがてその光は宇宙へと上がっていき、それに付随するように沢山の光が地球へと降り注いだ。
クロージュの姿はどこにも無くなっていた。
――――――――――――
「その光が原因で、荒禍や星願が誕生する事となった。
私はその光を近くで沢山浴びたから、トゥインシュとして覚醒するのがとっても早かった。トゥインシュ第1号ってわけだね。」
「…そっか。そんな事が。
…今の話を聞いて、君の過去はよく分かった。」
ヤマトは言う。
「その研究が無ければ、荒禍が生まれる事も無かった。沢山の人が死ぬことも無かった。セツナも…」
「…」
「でも、」
「…?」
「君が懸命に、責任を果たそうとしている事も分かった。僕達を助けようと、傷だらけの体をおして戦おうとしている事は、前の戦いで良く分かったよ。」
「ヤマト君…」
「…半分。」
「えっ?」
「君の事を許せない気持ちは正直ある。でも、君は僕達を懸命に助けようとしてくれた。だから君を許したい気持ちもある。半々だ。それに…」
「それに?」
「今の僕には、力がある。フレイナとセツナがいなければ無かった力だ。でも僕には知識と経験が無い。君に教わりたい。この力の使い方を。セツナのくれたシュプリゼア。この力と名前に恥じないような生き方をしたい。」
ヤマトは、自分の気持ちを正直に打ち明け、フレイナへ助力を求めた。
「分かった。私が、私達が力になるよ。」
「私達…?」
「トゥインシュは私やヤマト君だけじゃないの。他に仲間もいるんだよ。こんな私に付いてきてくれる人がいるの。
そんな優しい彼らなら、きっと…君の力になってくれるよ。」
「そっか…。」
「まずは、その力について詳しく教えるよ。」
フレイナは星願と呼ばれる力について語り始めるのだった。