フレイナとヤマト
街の様子は酷いものだった。
瓦礫となった箇所が多く、沢山の人々が亡くなっていた。
ヤマトは赤髪の女性と、生き残った人達を助ける活動をしていた。
解煌しなくともある程度は力が使えるらしく、その力を使って瓦礫を退かしたりしていた。
「何だお前ら…」
「こんな瓦礫を、簡単に持ち上げられるなんて…」
「化物じゃないのか…?」
「怖いわ…」
この力を見たほとんどの人には恐れられた。
恐れる人がいるのも無理はない。
これは最早人間では無い力なのだから。
荒禍の被害にあった人達の遺体は、一箇所に集められ、後ほど火葬されることとなった。
…セツナの遺体もそこにはあった。
ある程度人助けを終えた後、ヤマトは赤髪の女性と話をした。
「私の名前はフレイナ。フレイナ・エルバーン。美少年、名前は?」
「僕はスメラギ・ヤマト。…エルバーン…?あの?」
「…そ。エルバーン皇家の、エルバーン。」
ヤマトは驚いた。
エルバーンとは、エルバーン国を治めている一族の名だったからだ。
「…っ、これは失礼を。」
「あぁいいよいいよ。敬語とか使わなくて。私破門されちゃったしさ。」
「破門…?」
「ある研究の失敗の責任を取ってね、破門になったんだ。皇家を追放されちゃった〜。」
フレイナは淡々と語る。
「私、ある科学者のお手伝いをしてたんだ。これは凄い発明だぞーって、その人は騒いでた。でも…」
フレイナは続ける。
「それが、荒禍を生み出す結果になるなんて、私もその人も思っていなかった。」
「皇都での実験が原因で荒禍が生まれたという事は、聞いたことがあるよ。その原因の手伝いをしていた…?」
「…そう。だから君の幼馴染が亡くなったのは、私のせいなの。」
フレイナの言葉を聞き動揺するヤマト。
「なら、その実験が無ければ…荒禍は…」
「…生まれなかった。同時に、私達が持つ人知を超えた力である星願の力も無かったでしょうね。」
ヤマトは動揺する心を抑えこみ、フレイナの話を聞こうとしていた。
「…話を続けて。さっきの話で全部じゃないでしょ?その話をもう少し詳しく聞きたいな。」
「…分かった。」
フレイナは過去の話を続ける。
「科学者の名前はクランゼファー博士。とても尊敬できる人だった。彼と私は人の革新の為に研究を続けていたの。そんなある日…」
「ある日?」
「研究を手伝いたいと申し出るある科学者が現れた。彼はキキリュウ・クロージュと名乗ったの。クロージュは今までの科学や魔術では想像がつかないような技術を開発していて、クランゼファー博士も私も驚いたわ。」
『是非研究を手伝わせてください。』
『これは凄い研究じゃ…人類の革新のために是非協力してくれ!』
「そして、あの日。全てが始まってしまったの。」