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解煌!その名はシュプリゼア

「何?この光…」

ヤマトとセツナ。2人を包んでいく光。

そして、2人の胸からも、それぞれ光が飛び出した。


「あれは…!?」

その光は、地面へと突き刺さった剣へ吸い込まれていく。

それを見た荒禍は、何かを感じ取ったのか傷だらけの女性を放ってヤマトとセツナの元へと向かおうとする。


「邪魔はさせない!」

瞬間、赤髪の女性が荒禍の前に立ちふさがる。

痛みに苦しみながらも、素手と炎で荒禍を足止めする彼女。


地面へと突き刺さった剣は2人から現れた光を受けると、形を変える。

まるで炎のようになっていく。

その炎のようなものが、ヤマトの体へと吸収されていった。

周りの炎も、まるでそれを祝福するかのように燃えている。

先程までは炎が襲ってきていたが、今は違う。

付き従うように、ヤマトの周りを炎が囲んでいる。


赤髪の女性が叫ぶ。

「今のあなたには、力がある!それを発揮させるための動きを!言葉を!」


それを聞いたヤマトは

『何故だろう…僕はそれを知っている…。』

そう考えながら、顔の右側に腕を☓字にして構え、そのまま前に突き出す。

すると…


光と炎に覆われて、紋章のような物体が現れた。

それを掴み、物体に刻まれた紋章上部を押し込むと、紋章が変形。

さらに紋章下部の鍵のような部分を回すと、紋章が展開。

中央に円が光り輝く。


解煌かいこう!」


そう叫び、紋章持ち手の引き金を引くと、紋章は光の粒子と炎となりヤマトの体に纏わりついていく。

先程とは違う。苦しみはない。

暖かい。


『お願い、ヤマトを守って…!』

そう願うセツナからも、さらに光がヤマトへと流れ込んでいく。


炎と光が消えると、そこには異形が立っていた。

頭部には大きな円状の兜のような物がある。

「ヤマト…?」

ヤマトは、異形へと姿を変えていた。

ヤマトは目にも止まらぬ速さで荒禍に突っ込み、拳を繰り出す。

その拳はいとも簡単に荒禍を吹き飛ばした。


「えっ凄っ…」

「これが僕…?凄い…。」

セツナの方を向き、ヤマトは

「セツナ、ここから離れるんだ。」

「ごめん、ヤマト。腰抜けちゃった…」

「えっ…あっ…」


ヤマトが振り向くと、荒禍はまだやられてはおらず、こちらを睨みながら立ち上がっていた。

「…なら、そのまま奴を引き離して倒すよ。」

「ヤマト、頑張って。私、っ…あなたの事、見てるから…」

紫色の瞳で、異形と化したヤマトを見つめるセツナ。

「うん!」

そう言うと、ヤマトは荒禍へと再び立ち向かう。


身体能力が、今までとは段違いに強くなっていることをヤマトは感じている。

攻撃は確実に荒禍を捉え、凌駕していく。

荒禍は怒り狂い、ヤマトへと向かって攻撃を繰り返すが、全て防がれていく。


「僕は絶対に負けない…!」

ヤマトの怒りは、荒禍の怒りよりも澄み渡り、拳に、脚に宿る。

その力が、荒禍に負ける道理は無かった。


「これでトドメだ!僕らの前から消え去るが良い!」

背中から炎を噴射し、ヤマトは空高く舞い上がる。

そのまま荒禍へ向かって一直線に落ちてくる。


「はぁぁぁぁぁ!」


繰り出された蹴りは、荒禍を粉々に粉砕。

荒禍は爆発四散した。

「やった!」

赤髪の女性が歓喜する。


「ヤマト、見てたよ。私ちゃんと…っ」

ヤマトがセツナの方を見た瞬間、セツナがその場で倒れた。

「セツナ!」

力を解除したヤマトと赤髪の女性が、セツナの元へと駆け寄る。


「どうしたのセツナ…?大丈夫!?」

ゆっくりとセツナが目を開く。しかしその表情はかなり苦しそうだ。

「ごめんね、ヤマト。私ちょっと…ダメみたい。」

弱々しく微笑むセツナ。

「そんな…どうして!?」

「…多分」

赤髪の女性が口を開く。


「その子はあなたに力を全て与えたのよ。自分自身に目覚めた力を、生命力ごと。だから、君はあれ程の力を…」

「なら、僕のせいで…」

「違うよ?ヤマト。」


セツナが口を開く。

「私、あの子も、その人も。ヤマトも守りたかった。だから…」

「私、お医者さん探してみる!」

赤髪の女性が医者を探しに走っていく。


「…シュプリゼア」

「えっ?」

「ヤマトの、さっきの力の名前。付けてみたんだ。私からの最後の…贈り物…」

「セツナ…!」

「あまり…無理しないでね?ヤマト…。あなたのこれからに、沢山の幸せがあることを、い、のっ…」

「っ…!」

セツナの目には、最早光は宿っていなかった。

「…諦めない…絶対!」

ヤマトは自分が持っている知識を全て動員し、救命措置を試みる。


何度も。何度も。何度も。


そうしているうち、先程の赤髪の女性がどうにか医者を見つけてきたらしく、戻ってきた。


しかしその医者の救命措置も虚しく、セツナが息を吹き返す事は無かった。

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