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生まれてはならない命

「これで、あなた方とお話ができますね。」

ガグメデはトゥインシュ達を見て、そう言った。

「改めまして、私はガグメデ。よろしくお願いします。」

「う、うん、よろしく…」

ヤマト達は混乱しながらも、話を聞くことにした。

「私は荒禍です。ジャキュラムはこの国の人々や、他の動植物など、あらゆる生命を虫のような荒禍「メギル」と混ぜ合わせて、私を生み出しました。」

「そうだ!貴様を産むために私の娘は犠牲になった!」

フォウルが叫ぶ。

無理もない、娘も犠牲になったのだから。


「…あなたの大事な人も、私を生み出す栄養にされたのですね。」

「率直に聞くんだけど、君の目的は何?」

エギスタがガグメデに問う。

「強いて言うなら、罪滅ぼし、でしょうか。」

「罪滅ぼし?」

「生まれるために多数の命を犠牲にした罪滅ぼしです。私にはほんの少しだけ、混ぜ合わされた人々の記憶があります。ジャキュラムに囚われ、無念の死を遂げた人達の記憶が。だからこそ、罪の意識を感じています。」

「記憶が?」

「冥海提督達は、混ぜ合わせる人間をランダムに選んだ。それが皆、いい人たちだった。だからこんな私に育ってしまったのかもしれません。」


混ぜ合わされる人間によっては、話など通じない相手になっていたと言うことだろうか。


「私は本当は、生まれてはならない命なのかもしれません。しかし、この世に生を受けた以上」

少し声を震わせながら語るガグメデ。


「私は、死にたくありません。生きていたいです。」


「!?」

アネモーシュ軍やトゥインシュ達はその発言に驚いた。

「ふっ…!」

フォウルが口を開く。

「ふざけるな!貴様を産むために犠牲になった人間達は!生きる事を望んでいたにも関わらず命を奪われたのだ!イラーシュも…!その命を利用して生まれた貴様が生きていたいだと…!ふざけるな、ふざけるな!!」

フォウルの怒りはもっともだとヤマトは思った。しかし同時に。

『確かに生まれてはならない命なのかもしれない。彼女の願いは傲慢に聞こえる。しかし、生まれたばかりで己の手では罪を犯していない命を奪う権利が、僕らにあるのか。でも…』

ヤマトには迷いがあった。


目の前のガグメデの命をどうするか。迷っていたのだ。


戦うか、見逃すか。


「あなた達の怒りはもっともだと思います。しかし私は生きていたい。それを邪魔するならば、あなた方とも戦います。しかし」

続けてガグメデは口にする。

「私はあなた方とは戦いたくない。私もジャキュラムと、荒禍と戦います。だから、私の生を許してはくれませんか…?」

言い終わると同時に、フォウルがガグメデに対して発砲した。

ガグメデはいとも容易くその弾を左手の人差し指と中指の間で受け止めた。

「そんな話が信用できるか!貴様も他の荒禍と同じだ!他の人間達を襲うに決まっている!」


そう言って、フォウルは手元の槍と銃を手に、ガグメデにさらに向かって行った。

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