リゲメルマテリアの力
「あれは…!」
「そんな…確かに僕の毒で!」
そこに立っていたシュプリゼアを見て、信じられないというような表情になったイルマ。
「ヤマト!無事だったのかぁ!」
「大丈夫!?」
「うん、どうにかね。」
ヤマトの元へと駆け寄るアベルとイオルン。
「信じられない…どうして!?」
「…教えてあげるよ。僕がどうして死ななかったのか。」
ヤマトはイルマを見ながら言った。
「解煌して、内臓をリゲメルマテリアで鉄のように変換したんだ。」
「何?」
「鉄に毒は無意味でしょ?内臓をリゲメルマテリアで鉄に変え、毒が回らないうちに、生命力を燃料にして毒を焼き尽くしたんだ。
僕達トゥインシュはリゲメルマテリアを自在に操れる。その能力を活かして、鉄と化した体内の臓器を意識的に動かしたんだ。それで無理やり生命活動を続けた。」
「普通の人間にハ、意識的に臓器を動かす事は出来なイ。トゥインシュならではの方法だネ。」
「も〜!無茶して!」
そこへフレイナもやってきた。
「ごめん皆、心配かけて。」
「お前が無事ならそれで良いよぉ。もうっ心配かけてよぉ!」
「ホント良かっタ…」
「さぁ、後はあいつらを片付けるだけっ!」
ディワーブは4人に向かって襲いかかってきた。
さっきよりも凄い勢いだ。
「気をつけテ!あいつは体を再生すル!中々倒しきれなイ!」
「分かった。僕に任せてほしい。3人はあいつの注意を引いてくれないか。」
「おっ、何か考えがあるんだな。」
「うん。」
「ヤマト君、まさか流星奥義を…!」
「大丈夫、やってみせる。」
そう言うとヤマトは意識を集中させ、技の準備を始めた。
「よし、行くぞ!奴の注意を引くんだ!」
3人はディワーブへと向かっていく。
雷のような速さで翻弄するアベル。
弾丸を乱射し、動きを止めるイオルン
そして、掌から炎を出しダメージを与えるフレイナ。
三者三様でディワーブを翻弄していく。
ディワーブも爪や牙、尾を使い応戦するが、さすがに数で分が悪いのか苦戦しているようだ。
「ぐっ…」
ヤマトの体は悲鳴を上げていた。
練習で技が成功しないまま、実戦を迎えてしまった。
それに毒から無理やり立ち直ったばかりで本調子ではない。
(絶対に成功させる…!)
「うぉぉぉぉぉぉ!」
ヤマトの想いに応えるように、シュプリゼアの体から、新たな形となったリゲメルマテリアが。
それが巨大な掌のような砲身となり、シュプリゼアの右腕に装備される。
「あれは…!」
「ターゲット、ロックオン!」
砲身となった右腕を大きく振り回し、ディワーブを見据えるシュプリゼア。
左腕で右腕を支え、発射態勢に入った。
シュプリゼアの周りからも炎が噴き出す。
そして右腕から轟くような音が鳴り、掌の先にエネルギーが溜まっていくのが目視でも伝わる。
「XEA-STELLA!」
技の名前を叫んだ刹那、右腕から放たれた光がディワーブ目掛けて発射された。