決戦!トゥインシュVSヴォワル
「凄いや!お兄ちゃん達!」
「さぁ、ここから逃げるんだイルマ君。」
イルマに近づき避難を促すヤマト。
「うん!」
バイバイッ
一瞬、何が起こったか分からなかった。
目の前のイルマは笑顔のまま。
しかし、イルマの左手には刃物のようなものが。
その刃物は、ヤマトの腹部に深々と突き刺さっていた。
水色の靴に、点々と赤い色が混ざっていく。
「っ…!」
「あははははっ、油断したねお兄ちゃん♪」
「イルマ…君…?」
「ヤマト!」
フレイナとイオルンがヤマトへ駆け寄り、アベルはすかさずイルマへと攻撃を仕掛ける。
「おっとと!」
しかし、アベルの攻撃を楽々と避けるイルマ。
「イルマ君、どうしテ…!?」
「ヤマトお兄ちゃん以外はトゥインシュとして戦闘経験とか豊富そうだから、もしかしたら不意打ちでも避けられちゃうかも、と思って。
だからヤマトお兄ちゃんを狙ったんだ。」
「そういう事ジャなくテ…!どうしテ!?もしかして、最初カラ…?」
「ん?あぁ、そういう事?そうだよ。最初からトゥインシュは僕の獲物だった。」
「最初から、私達を狙ってたって訳。」
レイ達は、イルマの本性を知った。
邪悪な本性を。
「そう。だって邪魔なんだもーん。他の国や地域でも荒禍の破壊活動を邪魔しちゃってさ。それに荒禍を探してるみたいだったから、あえて姿を見せてみたの。邪魔される前に、お姉ちゃん達一網打尽にしようかな、って」
「だから彼の提案に乗って、そのトゥインシュをまずは排除しようとした訳、さぁ。」
奥から、もう1人男性が現れた。
信者を扇動していた男だ。
フードを脱いだ彼を見たレイの表情が強張った。
「あなた…っ、クロージュ!」
現れたのは、トゥインシュや荒禍が生まれる原因となった事件を発生させた張本人であるクロージュその人だった。
「挨拶は抜きだね。行け、ディワーブ。」
ディワーブは叫びながらヤマトに攻撃を仕掛けた。
何人かの信者を巻き込みながら。
その前にアベルが立ち塞がり、ヤマトを庇う。
「ぐっ…!」
「アベル!」
「…あいつとは会ったばかりだけど、一緒に飯を食った。」
「はぁ?急に何?」
「一緒に飯を食ったあいつを傷付け、イオルンを裏切った貴様に、ムカついたっつってるんだよねぇ!」
「アベル…」
フレイナはヤマトの傷をおさえながら語りかける。
「こんな傷なら、トゥインシュにとって問題は無い、大丈夫だよっ。」
「ヒグッ…カッ…ハッ…」
「ヤマト!?どうして…こんな傷じゃ大したこと無いはずなのに…」
「この刃物にはね、毒が塗ってあるんだよ〜?」
イルマは刃物をちらつかせながら語る。
「いくらトゥインシュが星のような命を持っててもぉ、この毒はかなりキツいと思うけどぉ?僕が発明したんだ〜っ。トゥインシュ殺しの毒っ。」
「このっ…!」
「2人とモ下がっテ!ここは僕達ガ!」
「あぁ、いくぞ!イオルン!」
「ごめん、お願い!」
ミコトはヤマトを連れこの場から離れる事にした。
「キスミー、ラブユー」
イオルンがそう言うと、2丁の銃がイオルンの両手に出現した。
「クロノトール」
アベルの手元には懐中時計のような物が。
「「解煌!」」
イオルンはキスミー、ラブユーと呼んだ2丁の銃を交差させた後両手を広げ、左足のつま先を地面へと触れさせる。
すると、水場でも無いのにつま先を触れさせた地面に波紋が。
その波紋が広がり、地面から存在しないはずの水が柱のように噴き出す。
その水に包まれると、イオルンの衣装が変化し、顔の上半分にはバイザーのような物がついた。
「ガン・ドゥ・サジッタ」
これが、イオルンの解煌した姿のようだ。
一方、アベルは手元の懐中時計を操作した。
すると、空に暗雲が立ち込め、雷がアベル目掛けて落ちた。
その雷を浴びたアベルも衣装が代わり、鎧のような物を身に着け、巨大なランスを装備していた。
「ゼヴォルト・ナイト!」
これがアベルの解煌した姿。
今ここに、解煌したトゥインシュが2人並び立った。