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ヴォワルの本拠地へ

夜。

ここヴォワルの集う場では、悪しき神に祈りが捧げられていた。

「祈れぇえ!信者達よぉぉ!」

信者を扇動している者の後ろには、荒禍が鎮座している。


アァ… アァ… アァ…


そんな中、祈りには参加していない人達もいた。

ヴォワルに連れてこられた人達だ。

彼らは恐怖していた。これから自分達はどうなるのだろう。

その中にはイルマもいた。


ドォン


ふと、アジトの扉が開かれ、女の子を連れた信者の1人が現れた。

「アジトの前をうろついていた、怪しい女を捕らえました。」

「噂のトゥインシュか?」

「いえ、情報とは見た目が違います。」

「チッ、まぁいい。こいつも生贄に加えよう。」


ドサッ、と乱暴に床に叩きつけられる包帯の女性。

「痛っ…」

イルマが女性に近づく。

「大丈夫?お姉ちゃん!」

「うん、ありがとう。」


イレギュラーはあったものの、ヴォワルの信者達は引き続き祈りを捧げ始めた。

「お姉ちゃん怖い?大丈夫だよ、何かあったら、僕守ってみせるから。」

「ふふふ、小さいのに勇気があるんだね。ありがとう坊や。」

「俺達、これからどうなっちまうんだ…?」

「生贄とか言ってたわよ…嫌よそんなの…!」

捕まった人達がヒソヒソと不安を話している。


「今宵集まった同胞達よ!ディワーブ様は血を欲しておられる!純粋な血を!人間の血を!」

信者のリーダーらしき人間が前に出て話し始めた。

荒禍の名はディワーブらしい。

「今回集まった生贄の血をディワーブ様に捧げ、我々は新たなる地平へと導かれるのだ!同胞達よ!喜べ!」


アァ… アァ… アァ…

覇気の無い、うめき声が信者達から発せられる。


「君、さっきはありがとうね?励ましてくれて。」

「えっ?」

イルマにお礼を言う女性。

「私も、勇気を出さなくっちゃ。」

そう言うと、スッと女性は立ち上がり

「生贄なんて嫌です!ここにいる人達を家に返してください!」

「何…?」

声を高らかにして言う女性。

それを見て慌てふためくイルマ。

「あっ…危ないよ…!」

「貴様!ディワーブ様への生贄の分際で!」

信者の1人が女性へと詰め寄る。

そして…


バシィン


女性の頬を叩いた。

「…そんな事されても怖くありません。皆を解放してください。」

「貴様ぁ…!」

ふと、女性の目が生贄と称される人々を見る。

彼らは一箇所に固まっていた。

(よし、この位置なら…)

その途端、女性の体から炎のような何かが噴き出した。

「何だ!?あれは!」

「アァ…!?」

驚くヴォワル達。

その瞬間。


ドゴォォォン


大きな音とともに、生贄達の近くの壁が破壊され、男性がゴロゴロ転がってきた。

「痛ってぇ…」

「ちょっとアベル!転ばないでよっ!かっこよく登場出来ない!それに捕まった人達に何かあったらどうするの!」

「転んだんだから仕方ないだろ!そう、仕方ないの。」

「皆大丈夫!?早くここから逃げテ逃げテ!」


乗り込んできたのはトゥインシュの3人だった。

「お兄ちゃん達!」

「良かった、無事(?)に乗り込めて。生命力での合図が上手くいったね。」

「えっ…?」


「ん゛ん゛っ…ふぅ。ごめんねイルマ君。騙したみたいになって。いきなり乗り込むよりも、まずは内部に潜入して、状況を見て捕まった人達を助けようと思ったんだ。」

女性の声が少し低くなり、そして服を脱いだ。

すると…

そこにはイルマの良く知っている姿が。


「ヤマトお兄ちゃん!」

「はははっ、結構ノリノリで変装しちゃったな。さぁイルマ君。ここから逃げて。」

「でも…」

「後は、僕達に任せて。」

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