第3話 魔法で作ろう!
先日は、部屋にある姿見の前で眠ってしまい、気が付くとベッドの上に戻されていた。
まあ、生後半年ともなればハイハイでの移動も認められる年頃だろうし、不審に思われる事も無いだろう。
今日はというと、奥の院と呼ばれていた人達が部屋に来て、私を取り囲んで談笑していた。
「あらあら、ボリスとセレイナに似て美人さんねぇ」
「髪は奇麗な土の属性が出ているけれど、この瞳の色は、たしかに雷や風ではないわね」
「この極光色は特異な魔法を使う者が多かったな。今でも聖地であれば何人か居るのではないか?」
「同じでは無いけど、似た様な色の子は居たわねぇ」
どうやら奥の院と呼ばれていた人達は全員がエルフらしい。
全員が全員、身体つきが細く、耳が横に長く、美形な顔立ちをしている。
種族的な容姿にも驚きだけど、髪が真っ赤だったりエメラルド色だったり、紫色や黄色などカラフルな瞳の色をしているのが目を引く。
ヘアカラーでも、ここまで奇麗に色を出すのって、かなり大変なんだけど。
やっぱり、これがこの世界の人達の地毛や瞳の色なのかしら……?
「それで、この瞳の属性色が目に異常を与えているかって相談だったわね?」
「ええ」
「こうして、私達の事を興味深そうに見てるんだし、問題は無いと思うわ」
ルインと一際豪華な服装のエルフさんとが今回の訪問の目的を話している。
なんか、見比べてみると、他のエルフの人達の耳と比べるとルインの方が短い感じがする。
もしかして、ルインはハーフエルフとか別の種族だったりするのかしら?
「では、問題は別に?」
「そうね。恐らく、この子は五感より先に、魔力を感じる事を覚えたのが原因ではないかしら」
「魔力感知を、先に? まだ精神も未発達な状態で可能なんですか?」
「可能か不可能かで言えば、この子が証明しているわ」
そう言い、偉い人っぽいエルフさんは私の頭を優しく撫でた。
「本当に奇跡みたいな物ね。元々、私は……ティアル姫が無事に生まれる事は無いと思っていたのよ。リカルド王子の時もギリギリではあったけれど、今のボリスとセレイナは子を設けるには力が強くなり過ぎていたし」
「それは私も懸念していました。ですが、姫様は生まれて二日程で容態も安定なされましたので、王子の時より問題は無い物と……」
ふーむ……
思い返せば、あの転生したての時は、かなり苦しかったけど。
やっぱり、あれは普通の事ではなかったのかな?
「生まれた時の状態も聞いてはいたけど、今は淀みなく魔力を制御しているみたいだし。溢れ出る魔力を本能的に危険と察して、それを抑え込んだのでしょうね」
「でも、それが目の状態と何か関係があるのですか?」
「ドワーフ達に伝わる魔力感知の修行法の一つなのだけれど、光の一切届かない坑道で、目に頼らずに生活できるまで、そこに籠るっていう物があるのよ。それを成し遂げた者は目を使わなくても目以上の物が感じ取れるようになるそうよ」
「たしかに、姫様は目を閉じている時でも何かを見ているかの様に笑ったり、妙な声を上げる事が多いですが……それと同じ事を姫様が?」
「恐らくね。五感よりも先に魔力を感じる事を覚えなきゃいけない状況が、そうさせたのでしょう」
え……?
そんな事、さっぱり出来ないんですけど……?
まあ、別に勘違いされてるだけならいいか。
「なるほど……姫様のお体に問題が無いのでしたら私としても一安心ですが。魔法に関しての教育が私に務まるかどうか……」
「髪から見ても第一属性は土なのだし、問題は無いのではなくて? 瞳の第二属性、極光色の方は姫自身に模索させるしかないわね。教えられる者は神様くらいのものよ」
「神ですか? となると、教会に巫女への取次ぎを……いえ、たしか今は不在でしたか?」
「私も、そう聞いているわ。どちらにしろ、教会や他への相談は、ティアル姫がもう少し大きくなってからにしておきなさいな」
「やはり、公にするのは不味いですか……」
ん……?
「面倒な輩が寄って来るだけよ。普段は目を閉じているのなら大丈夫でしょうけど、できれば、瞳に関して知る者は3回目の節目の生誕祭を迎えるまで、あなた達と王族内で止めておきなさい」
「そう……ですね。王へも、そう伝えておきます」
つまりは、私に目を閉じて生活しろと……?
魔力感知?
それで物を見られる様になれとおっしゃってる?
「それにしても、こうしてティアル姫の元気な姿が見られてよかったわ。容態が長引けば、次代の事も考えて、この子の事は諦めるしかなかったから……そうならなくて本当に良かった」
「王と王妃も急いではいるのですが……」
「そうね……最悪、私達も共に動く事になるわ。できれば、この子達に未来を残してあげたいもの」
今度は何の話?
二人だけでなく、他のエルフさん達も深刻そうな表情を浮かべているけど……
私や今世の家族に、何か問題が迫っているの?
私自身が生まれた事にも何かあるみたいだし……
うーん……
私の事を案じてくれているのは感じるけど、関係性がさっぱりなので、話の内容についていけない。
その後、奥の院のエルフさん達は、二言三言ルインと言葉を交わすと帰って行った。
それにしても、こうして、まざまざと人間とは外見が異なる人達を見せられると、本当に違う世界に来てしまったのだと実感が湧く。
それと同時に上手くやって行けるのかという不安が増した1日だった。
とりあえず、目の代わりに魔力を感じて物を見るっていう方法を練習しとこ……
●
何故だか、私の瞳の色をひけらかすと面倒になるという事を知り。
それからというもの、目に頼らず物を見るという練習を始めてから早半年。
私は1歳の誕生日を迎えた。
魔力感知による疑似視覚に関しては、ほぼマスターしたと言ってもいい。
最初の頃は、見たい物にピントや波長を合わせるのに難儀した。
けど、最近では近くの物だけでなく家具の中身なども薄っすらと透視できる様にまでなった。
まだ色や紙に書かれた文字などの判別は難しいけど、目よりも見える視界は広く、目に見えない魔力なんかも色々と見えて便利だ。
そして、こうして特殊な視界を手に入れた事で気が付いた事が一つある。
この世界の文明はそれなりに高い。
部屋の照明や温度を管理する空調、お風呂などの給湯設備、そういった生活環境を整える設備がちゃんと存在するし。
しかも、それらは電気では無く魔力で動作していた。
文化的な部分も、紙製の本も普通に流通してるし、服飾に関しても悪くはない。
さすがに電子機器の様な物は無いけど、総合的に生活の質が下がるといった事は無さそうだ。
ま、それは良いとして。
ある程度は自由に動き回っても怪しまれない年頃にもなったので、部屋の外へ探検に行きたいのだけど。
それが、なかなか成功しないのが最近の悩みである。
私が元気に育ったおかげか、ルインが日に1~2時間ほど部屋を空ける様になり、その時間帯が狙い目だ。
でも、部屋の構造が問題なのよねぇ……
ドアを開けても、メイドさんが常駐する待機部屋みたいな所に繋がっていて、脱走しても直ぐに確保されてしまうのだ。
「うー……」
「はーい、姫様。お部屋で遊びましょうねー」
で、現在、脱走の現行犯で捕まり、部屋の中に戻されている最中である。
「そとー」
「お外はダメですよー。とは言っても、どうしたものかしら? 玩具やお人形には興味を示さないってルインさんも悩んでたし……」
そりゃ、ぬいぐるみとか積み木を渡されましても……
せめて対象年齢8才以上くらいのプラモか、合体変形する玩具を持ってきてほしい。
それなら部屋の中に籠って、1週間くらい遊び転げるのもやぶさかではない。
「うーん……それじゃあ、こういうのはどうかしら?」
私を部屋に連れ戻した青色の髪のメイドさんはそう言うと『水よ……』と唱え、私の目の前にいくつもの水の玉を作り出し、様々な動物を作り出した。
そして、水で作られた動物達は、私を中心にメリーゴーランドの様に回り始めた。
「お……おぉー!?」
これが魔法!?
こうして魔法を実演されたのは初めてだ。
ほー、へー……こうやってやるのか。
「もっと! もっと!」
「もっとですか? それじゃ、弟達に好評だったあれを。えーっと、絵本は……これが良いかな? むかしむかし、神様は大きな大きな木を植えました――」
この絵本は、たしか『大きな木と大きな人』という絵本だったかな?
前にルインも読んでくれた気がする。
神様が居なくなった後に、残された大きな木を巡って人々が争い始め。
その後、魔物が現れ、人々が大きな木の近くから散り散りに逃げ惑う事になり。
最後に大きな人が現れ、魔物を倒して人々を救ったというお話だ。
この国では桃太郎的にポピュラーな昔話らしく、部屋の本棚には別バージョンの絵本や小説が複数置いてあった。
青髪メイドさんは、私に絵本内容を読み聞かせながら、場面に合わせて登場人物や大きな人と魔物との戦いを水で象って見せてくれた。
「――こうして大きな人は、助けた人達と共に大きな国を作り幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」
「おおー!」
パチパチパチ!
彼女が、どの程度の魔法の腕前なのかは分からないけど、その制御は緻密だ。
使われている魔力量は多くは無いけど、手から細く伸ばされた魔力は、生み出した水の造形物を千差万別に変化させ、キラキラと輝く幻想的な世界を作り上げていた。
「もっと!もっと!もっと!」
「もっとですか? えーっと他の絵本はぁ……あ! ルインさん、おかえりなさい」
もう一度、水を生み出すところから見せて欲しい。と思い、せがんでいると、ちょうどルインが帰ってきた。
「……ミア、あなた何をしているの?」
「え? 姫様のお相手をですが……」
「……とりあえず、こちらへいらっしゃい」
ルインは、そう言うと彼女を部屋の外へと連れ出してしまった。
なんだろ?
青髪のメイドさん、ミアさん?
彼女に相手をしてもらうのは不味かったのだろうか?
よくわからんけど、とりあえず、私にも魔法が使えないか試してみよっと!
詠唱に関しては必要なのかな?
彼女は『水よ……』とだけ唱えていたけど、その後の魔法制御はイメージのみで行っていた様だった。
それに詠唱時の時の声も奇妙というか……二重に聞こえた感じがしたけど、詠唱をするには何か特別な方法が?
まだ、まともな発音も難しいし、詠唱も難しいかかも。
どんな魔法を試してみようか……
たしか、私の属性は土だとかなんとか言われていた気がするし、土か粘土みたいな物が出せないか試していこう。
「つちよー!」
手を前にかざして、土よと唱え、あの水魔法を真似てみる。
すると、土っぽい何かが中空に生み出され、ボトッと床に落ちた。
思ったより簡単にできちゃったわね。
触って見た感じ、普通に土っぽい感触と色だけど、地面を掘り起こした時の様な匂いとかはしない。
もう少し色々と試してみようかな――
――なるほどね。
生み出したい物と、作り出したい形とを、明確にイメージする事が重要っぽい。
頭に浮かべる形が鮮明であればあるほど、生み出す物の精度は増す。
生み出したい物の素材も、粘土みたいな物から石の様な素材まで変化が付けられる。
これは――ガレージキットが簡単に作れる!?
それを閃いた私は、向こうの世界で死ぬ前に作った数々の立体物と、山積みとなっていた箱を思い浮かべた。
何から作ろう……
鉄板としては宇宙戦士グンダムの初代主人公機が良いだろうか?
リアル路線ロボット物の金字塔ともいえる初代グンダムの立体物は数多くあるし。
シンプルながらも、デザイナーによってアレンジが加えられた魅力的な物が多い。
私もプラモやフィギュアを含め、色々と触ってきたし、あの複雑すぎない形が最初に作る物としては最適な気がする。
そう考えた私は、イメージを補強するため、視界の隅に『ロボ物見放題』を呼び出した。
そして、小窓表示で宇宙戦士グンダムを流しつつ、あの象徴的な頭部パーツを作り始めたのだった。
●
土魔法でガレキを作り始めて数週間。
「また増えたな……」
「そうですね……」
今日は、ボリスパパンとセレイナママンが、二人揃って私の様子を見に来ていた。
毎日、どちらか一人は顔を出しに来るのだけど、二人揃ってというのは月に1回あるかどうかの頻度なので珍しい。
二人は、部屋中に飾られている私のロボットのガレージキットコレクションを興味深そうに眺めて、少し呆れ顔をしてる。
土魔法の楽しさに夢中になり作りまくってしまったけど、さすがに作りすぎたか?
飾る場所も手狭になり、ルインが棚を新調して増やしてくれたばかりだけど、それももう埋まりつつある。
そろそろコレクション部屋が欲しいとこよね。
「どれも精巧に出来ているが……ティアルの作り出しているこれは、騎士の姿を真似た土人形であろう? どこで見たのだ?」
「窓から見えた兵の姿を真似たのかしら? にしても、鎧や武器の意匠が違う気がするけれど……これも子供の持つ自由な発想からなのかしらねぇ」
あー……たしかに、アニメのロボットって全身鎧を身に着けた騎士に似てる物が多いかも?
実際に騎士や武士の鎧をモチーフにしてデザインした物もあるって聞くし。
「しかし、魔法を使い始めたと聞いた時はリカルドの時の様な事が起きるのでは心配したが、この様子なら杞憂であったか」
「あの時は城の一部が崩壊して大変だったわねぇ」
リカルドとは私の兄らしいのだが、まだ会った事はない。
城の一部を崩壊って、お兄さん、何をやらかしたん?
「同じ轍を踏まぬよう、姫様の前での魔法使用は控えてたのですが。私が不在の時に部屋付きの者が見せてしまい、申し訳ございませんでした」
「いや、あれは不慮の事故の様な物だ。責めはせぬ。時期が悪かったとは言え、お主と近衛に色々と負担させすぎたのが遠因であろうしな」
「逆に上手く行った一例として、今後に役立つはずよ。ルイン、後でティアルが魔法を発動した状況の前後を記して報告を頼めるかしら?」
「かしこまりました」
ルインがそう言うと、ボリスパパンとセレイナママンは私の元気な姿に満足したのか帰って行った。
どうにも、私に魔法を見せるのは不味かったらしく、先日、魔法を見せてくれた青髪のメイドさんも、ルインが戻ってきた時にこっぴどく叱られていた。
生まれながらに魔力が高い子供が、自我が希薄な内に魔法を発動させると、事故が起こる事があるとかで、私の場合もその危険性が高かったとか。
たしかに、何も考えない子供が火魔法なんて使ったら火事とかになりかねないし、日本でも幼児がライターを弄って火事が起きたとかで、そういった雑貨の構造が見直されてたりしてたわね。
魔法がある世界は、魔法がある世界なりに、別の問題が色々とあるらしい。
そんな事より、ここはどうしたものかしら……
最近は動かして遊べる物の作成に勤しんでいるのだが、どうにも上手く行かない。
さすがに素材が石とはいえ、細かなパーツの耐久度が悪い。
特に、可動部分が。
プラスチックやレジンより頑丈かと思ってたけど、逆に素材が固すぎるというか、粘りが無い所為か、簡単にポキッといってしまう。
ガレージキットの様な動かさずに飾るだけの物なら問題無かったけど、プラモみたいな動かして遊べる物の素材には適してないのよねぇ……
土魔法で簡単に修理できるとは言え、遊んでる最中に壊れるのは気分が凹むし。
全体的に大きく作れば大丈夫かもしれないけど、この小さなお手々で遊ぶには不向きになるし……
せめて、金属パーツで作れれば――作れないのかしら?
考えてみれば試したこと無かったわ。
物は試しと、金属が生み出せないか試してみると、思ったより簡単に鉄らしき金属が生成できた。
土や石より生み出すのに必要な魔力量が倍増するし、生成後の成形段階でも多めに魔力を消費するけど、それ以外はそれほど難しくはなかった。
ふーむ……?
もしかして他の金属類も行ける?
銅は……鉄と大差ない。
銀は……銀っぽいのが出来たけど、鉄や銅の倍近くの魔力が必要みたいだ。
さらに魔力が必要だけど、金っぽいのも作れちゃった……
……この世界の貴金属相場は崩壊してそうね。
銀や金くらいまでになると消費魔力が多いけど、それでもこんなに簡単に作れちゃうんじゃ無価値にも等しい気がする。
まあ、これが本当に金や銀ならだけど。
見た目や重さ、質感ともに、それっぽい感じはするけど、科学的に調べる方法でもないと判別は難しいか。
でも、これで、可動部や関節の問題だけでなく、サフ状態だったガレキに、少し彩も付けられるわ!
さすがに幼児が塗装用の塗料を欲しがるのはおかしいかと我慢してたけど、今まで塗装が出来ないのが不満だったのだ。
トリコロールとまではいかないけど、金色の装甲を持つ機体や、可動部から覗くシリンダーやらをメタリックに仕上げられる!
「おぉー!!」
「あら? これは……サイコロ? では無いみたいだけれど、誰が持ち込んだのかしら?」
私が喜んでいたら、後ろからルインが覗き込んできて、脇に置いておいた鉄のキューブを摘まみ上げた。
そして、首をかしげてから部屋の外の小部屋に向かい、他のメイドさん達の所へと行った。
「誰か、これを姫様の部屋に落としましたか?」
「いいえ? 私は知りませんが、あなたは?」
「私も……何ですかそれ? サイコロですか?」
などと、小部屋からの会話が聞こえて来る。
おんや……?
この反応はマズイ……か?
私が生成した物だと気がついてない?
金銀銅のは私が手に握りしめていたからバレてないけど……
もしかして魔法での金属生成は一般的ではない?
「まったく、こんな姫様が口に入れたら危ない物を誰が……姫様の作った物だけでも気を付けないといけないのに」
私が魔法で色々作り始めた頃から、頻繁に部屋の掃除とか整理をしてくれているのは、そういう理由があったのか。
でも、どうしよう?
目の前で生成して見せてみたい気もするけど、これは暫くは隠した方が良いかな?
ただでさえ色々と気を使わせてるみたいだし……
となると、この金銀銅のを何処かに隠さないと。
うーん……
あの神様に異次元収納ってのも強請っておけばよかったわねぇ……
いや、でも……異次元収納『魔法』ってパンフには書いてあった気がするし、もしかして魔法で再現できるのかしら?
今までの経験で、イメージと使用する魔力量が釣り合えば、魔法で思い描く物は再現できる事は実感している。
収納魔法を試すにしても、問題はイメージの方よね。
異次元ねぇ……
頭に浮かぶのは魔法陣から出し入れしてたり、お腹のポケットとかのだけど、出入り口と収納先の空間はどうしたものか。
とりあえず、4次元フレームキューブの様に、空間を内側に巻き込む様に折り畳む感じでイメージしてみるか。
お……?
思ったより、簡単に出来そう……?
出来そうだけど、これは……
魔力感知の方で見ると収納魔法の入り口がはっきりと見えるけど、肉眼の方で見ると何もない様に見える。
試しに、作った銅の欠片を入れてみる。
すると、消える様に内部に入っていった。
そこまでは良いのだけれど、金と銀の欠片も入れてみると、入れた分だけ収納魔法の消費魔力が微増している。
しかも、中に物を入れている間は、ずっと魔力を消費している感じがする。
うーん。
使い勝手は良いけど、収納している物が多くなればなるほど消費魔力も多くなって、維持管理も大変になりそうだ。
それに、まだなった事は無いけど、私が魔力切れを起こした時にどうなるのか?
中身を全てぶちまけるか、収納している空間が消滅して、入れてあった物も消えるのか、その辺りも分からない。
まあ、それは追々試していけば良いか。
そんな事より、今は金属パーツで関節や細かな可動部を補強するのが先よね!
ルイン達にバレない様に、先ずは外側からは見えない関節部の補強からやっていこっと!