俺のじゃないマジックバッグ
今回も閲覧いただきありがとうございます。
本日で2023年も終わりですね。
皆様良いお年をお迎えください。
アイテムボックス。
魔法の一種だが物凄く難易度が高い。
異空間を作り出しそこに物を出し入れできて、更にレベルが上がると中の時間が止まったり。
生物を収納できる……という奴もかつてはいたらしい。
魔法ではなく、アイテム袋とかマジックバッグとか、そういった類の道具もある。
基本的にダンジョンでしか入手できないレア品だ。
収納量の大小や、入れた物の時間が止まるかどうかっていうのでまた価値は変わる。
が、最低ランクの物でも入手出来たら使って良し、売って良し。
その後の人生安泰だ。
レア品ではあるが、ダンジョンの前半地帯でも年に1回ぐらいは出るらしい。
で、俺は今荷物持ちとして他のパーティに同行中。
貴重なアイテムバッグを預かっている身だ。
勿論俺のではなく、このパーティ「グッドラック」の物だ。
なんと1ヶ月程前にマジックバッグを見事に引き当てた。
新進気鋭の正に幸運のパーティだ。
その前からちょくちょく付き合いがあり、今でも時折荷物持ちとして同行している。
何で俺がマジックバッグを持っているかっていうと、まずこのマジックバッグの形状だが。
ショルダーバッグというのだろうか。
その小さい版な感じだが、肩から掛ける事になる。
便利ではあるが、戦闘においては邪魔だ。
そのため、俺の様な荷物持ち、カッコよく言えばポーターという役割が必要になってくる訳だ。
ただし貴重なマジックバッグ。
信用できない奴に預けて持ち逃げなんてされたら目も当てられない。
以前からの付き合いでそれなりに信頼関係を築いていたとは思うが、それだけではなく俺は様々な条件に合致した。
まず、俺は魔力ゼロかつ、戦闘能力が無い。
自衛ぐらいは何とかできるレベルだ。
戦闘のどさくさに紛れて逃げようにも、魔力による身体強化もできない。
あっという間にモンスターに、そのモンスターから逃げたとしてもパーティに追いつかれて終わるだろう。
そして俺が有名人だってことだ。
今の街に、魔力ゼロの俺の事を知らない人はほぼいない。
つまり逃げ場所なんてないのだ。
戦闘力の無い俺が、信頼を失って街から追い出されたら野垂れ死ぬのは目に見えている。
そんなリスクを犯す気はないし、グッドラックの面々も口には出さないがその事を承知している。
「こういう時は魔力ゼロで良かったな……なんか虚しい気はするが。」
俺は物陰に隠れながらそんな事を考える。
絶賛モンスターと戦闘中のグッドラックの面々を眺めている。
隠れているとはいえ、警戒はしておかないとな。
お、ラスト1匹が終わったようだ。
今日は街に戻るには遅いし、ここらで野営かね。
拠点に飯作りも大事なポーターの役目。
報酬のおこぼれも貰うんだし、しっかり働きましょうかね。
俺は預かっているマジックバッグから色々と取り出して野営の準備に取り掛かる。
……あ~、料理チートとか欲しいな。
パーティ「グッドラック」、由来はその通りの意味です。
男3名の中堅パーティ、次回以降で詳しく紹介したい所です。