洞窟のオアシス
今回も閲覧いただきありがとうございます。
「しっかし、やっぱこんな狭い所気が滅入るぜぇ。」
洞窟内を進むセレスト。
本来の彼は、こういった狭い空間は大の苦手である。
大空を飛ぶ彼は、基本的に平原などの広い空間を好む。
その広い空間を存分に生かした戦法が基本である。
ギルドも、そして他のSランク達もその事は重々承知しているため、セレストに回す任務は必然的に偏りが出てくる。
その様な一種の我儘も、彼がSランクであるからだ。
自由な彼は、戦う場所によってはSランク最強の呼び声も高い。
そう、戦う場所によっては……彼は最弱にもなり得てしまう。
「はぁ、どこまで続くんだこの洞窟は。」
洞窟内は人が通る分には十分な広さがある。
しかしセレストにとっては狭すぎる。
「空気の流れ的にはこっちで合ってるはずだが。」
常に空気の流れを読み取り空を駆けるセレスト。
洞窟内でも僅かな流れを感じ取り、出口へ着実に歩を進める。
そして辿り着いた先は。
「なんだここは……洞窟の中に、オアシス?」
今までとは違う空間。
その中心にオアシスと形容して差し支えない湖。
その周りにも、壁にも豊かな植物。
心なしか、この空間は今までよりも明るい。
「一体どうなってんだ。こんな場所は報告にも上がっていなかったはず。本当に……ここは一体どこなんだ。」
混乱するセレスト。
この様な不可思議な洞窟はまず間違いなくギルドへの報告対象だ。
報告が上がっていない理由は2つが考えられる。
それは単純に、今まで見つかっていない場所であるということ。
そしてもう1つは。
「見つけた奴が報告に戻る事ができなかった場合。」
冒険者は死と隣り合わせである。
新天地ではその可能性が更に高まる。
しかし名声に目が眩み、実力以上を求めて戻らなかった者達は数えきれない。
セレストは思考を巡らせる。
このままこのオアシス地帯を抜けていくか。
それとも元来た道を戻り別を探すか。
この選択が自らの運命を分ける。
セレストは今までの経験からそれを明確に感じ取っていた。




