蟲人の勝利は
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「……カ……ハッ。」
蟲人はヴァージャの腹から腕を抜く。
血を吐き地に倒れるヴァージャを見つめ。
「はぁ、俺の……勝ちだ!」
蟲人は勝利を噛みしめるように腕を天に掲げる。
「勝った!俺がSランクに勝ったんだ!」
「おめでとうございます。」
「あぁ、やっ……た?」
蟲人は一瞬意味が分からない表情になり、その直後に我に返る。
「な、おま!?」
「勝ったというその時が一番油断が生まれる物です。あなたが倒した相手をよく見ることですね。」
「は?俺は確かに。」
蟲人は慌てて、ヴァージャが倒れているであろう方向に振り向く。
しかしそこにあったのは。
「……人型の、草?」
「余所見するとは余裕ですね。」
「おま!?」
「終わりです。」
蟲人は慌てて防御を取る。
「……あ?」
しかしその身体は動かない。
「無駄ですよ。」
一言だけ。
それだけ発して容赦なく風刃が蟲人を襲う。
「あなたが戦闘に置いては頭が回る様で良かったです。ストームに突っ込んできてくれて助かりましたよ。」
「な…ん。」
「おかげでバレずに仕込めましたよ。」
「…畜…生が。」
苦々しく言い放ち倒れ込む蟲人。
「拘束しておきましょうか。」
ヴァージャは蟲人を光る縄で拘束する。
「魔法を使う身として薬に頼るのは癪ですが、まぁたまにはこういったのも役立ちますね。」
ヴァージャは懐から瓶を取り出す。
瓶の中には、怪しい光を放つ薬。
「幻覚剤。まぁ蟲には効果覿面でしたね。後は間接に麻痺毒を仕込めば終わりです。」
瓶を懐に戻す。
「ま、今回は感謝しておきますよ。おかげで魔力消費が少なくて済みました。」
面倒ながらも頼りになる同僚の顔を思い浮かべて、ヴァージャは苦笑いを浮かべる。
「さて、後は適当に休んで、彼を連れ帰りますかね。」
ヴァージャは欠伸をしながら横になり、すぅすぅと寝息を立て始めた。




