魔力ゼロとして有名な俺
今回も閲覧いただきありがとうございます。
毎日寒くなってきました。
皆様風邪など引かぬように気を付けてください。
「ゼロ兄ちゃんおはよー!」
「おはよう。今日も元気だな。」
「よう、ゼロの兄ちゃん。串食ってくか?」
「おはようございます。一本頂いていきますわ。」
「おやゼロさんおはよう。この間は手伝ってくれて助かったよ。」
「おはようございます。また人手が必要な時は言ってください。」
俺が魔力無しである事が発覚し、その翌日にはあっという間にその事が広まった。
魔力測定をした際に、俺と受付嬢さん以外にも、周りには多くの冒険者がいた。
人の口に戸は立てられないって事だな。
おかげで俺はゼロの兄ちゃんとしてそれなりに有名になってしまった。
面倒だしそのままゼロって名乗ってる。
別に全身赤いとかセイバーとかは持ってない。
アーノルドさんは平謝りしてきたが、まぁそこは仕方ないことだしとやかく言う気は無い。
むしろ魔力無しだと開き直り、無理な討伐依頼やらそういった類は受けなくても良いともなったので問題ない。
魔力無しで戦ってられるか。
そこいらの犬猫にだって負ける自信があるわ。
俺は薬草採取やらをしたり、荷物持ちをしたりとにかく安全な依頼をこなした。
ギルド側も俺の事情は分かっているし、冒険者達もとやかく言うことはない。
最初は多少絡まれもしたが、アーノルドさんに引きずられていってからは大人しくなったようだ。
何があったかは聞くまい。
とはいえ、何があるかは分からん世の中だ。
護身術ぐらいは身に着けといて損はないだろうってことで、特に以来の無い日はギルド主催の訓練に参加するようにしている。
一応だが魔法部門も受けている。
魔法は使えないが、もし相手が使ってきた際に対処できなければいけないからだ。
その魔法がどの様な物か、知っているか知らないかでは雲泥の差だろう。
とりあえず俺はこの世界では弱い。
いやそれはもう弱い。
だって子供だって魔法使えるんだぞ。
そこら辺の子供が火球飛ばせるんだぞ、勝てる訳ないだろ。
幸い、今の稼ぎで毎日過ごす分には困っていない。
数日節約したり、依頼を多くこなせばそれなりに貯まる。
それでちょいと良い物食ったりするのが最近の楽しみだ。
「おーいゼロの兄ちゃん、次はアンタの番だぞ。」
「へいへい。」
俺は木剣を握りしめて先生である冒険者の元へ向かう。
さて、今日は後何発ぶち込まれるか。
木剣でも痛いんだよなぁ。
そして先生の木剣が見事に俺の横っ腹にぶち込まれ、俺は意識を失いつつ思った。
やっぱ少しはチートください。
実際に犬猫相手に勝てる人ってどのくらいいるんですかね。
大きさとかにもよると思いますが、例えばドーベルマンとか勝てる気しないんですけど。