虫のしつこさ
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「……本当に寝てやがるのか?」
配下の蟲にヴァージャの様子を探らせている蟲人。
「いや、Sランクだろ?そんなことあるか?本当に?」
蟲人は怪訝な面持ちである。
ヴァージャは何か反応する訳でもなく寝息を立てている。
「むぅ。仕方あるまい。」
蟲人は手で指示を出す。
それを合図に、虫達がゆっくりとヴァージャへと近付いていく。
ゆっくりとゆっくりと。
ぞわぞわと、ヴァージャの身体に近付いていく。
そして。
「……は?」
一瞬で虫達は切り刻まれた。
「何が起こった?」
「答える義理はありませんね。」
「!!!???」
どこからだ。
ヴァージャはそこにいる、では今の声は?
「虫は自然には不可欠な存在。できれば殺生はしたくなかったのですがね。」
「どこだ!どこにいやがる!」
「言ったでしょう、答える義理はありません。」
蟲人に襲い来る殺気。
生命の危機を感じたせいか、咄嗟に防御態勢を取る。
その瞬間に風の刃が蟲人を襲う。
「ぐうおおおおおぉぉぉぉぉ!!!???」
「ふむ、やはり外殻は堅いですか。話かけたのは失敗でしたかね。」
いつの間にかヴァージャは体制を起こし蟲人を静かに見つめている。
対して蟲人は致命傷とまではいかずとも、外殻に傷を付けられてしまった。
(遠距離戦は圧倒的に不利か。だがしかし。)
「近付かせる訳ないでしょう?」
「てめぇ!心でも読めるのかクソが!」
「答える訳がないでしょう?」
言うが早いが、ヴァージャは再度風の刃を蟲人に放つ。
だが蟲人も反応し回避する。
「何度も同じ手を食うか!」
「別に良いです、いずれスタミナ切れで当たるでしょう。」
「な……てめぇ。虫のしつこさ舐めてんじゃねぇぞ!」
「自分で言いますかそれ。」
ヴァージャは呆れつつも攻撃の手は緩めない。
それが更に蟲人の神経を逆撫でする。
「ハッ!余裕ぶっこいてられるのも今の内だ!」
「そうですか。いいから早く投降してください。無駄な殺生はしたくないんですよ。」
ヴァージャは欠伸をしつつ余裕の表情である。
「お前ら!遠慮なくやってしまえ!」
「何を?……む?」
ヴァージャの足元が動く。
そこにあったのは切り刻まれた虫の死骸。
「虫のしつこさ、舐めるなって言っただろうが!」
それを合図に、頭しか残っていないはずの虫達が、一斉にヴァージャへと襲い掛かるのだった。




