ギルドマスターと魔力無しの俺
今回も閲覧いただきありがとうございます。
この街に来た当初のこと。
「俺がこの街のギルドマスター、アーノルドだ。」
「は、はぁ、よろしくお願いします。」
とりあえず職がなければ生きていけない。
そう思った俺はとりあえずこの街の冒険者ギルドに来た。
のだが、何故か今目の前にはギルドマスターを名乗る、筋骨隆々の男がいる。
正直その迫力だけで漏らしそうだ。
「で、早速本題なんだが、あんちゃん魔力が無いってのは本当か?」
「え、えぇ、なんかそうらしいです。」
ギルドに来て最初に適性などを見るために魔力測定の水晶とやらに触れた。
が、うんともすんとも反応なし。
受付嬢のお姉さんが困惑して奥に引っ込み、呼ばれた先にアーノルドさんがいた訳だが。
「あの、魔力無しってそんな珍しいんですか?」
「珍しいってもんじゃないな。少なくとも俺が生きてきてそんな奴は初めてだ。文献にチラっとそういう奴がいたって書いてあるが、それも眉唾もんだったぜ。」
そんなにか。
「そもそも、魔力ってのは本来切っても切れない存在のはずだ。この世のもんは産まれながらに多かれ少なかれ魔力を持ってるもんだ。血肉みたいなもんだと思ってもいい。」
「え?それって俺大丈夫なんですか?」
「こうして生きてるなら大丈夫だろう。が、今言ったようにあんちゃんは存在自体が珍獣レベルだ。いや伝説上の存在と言っても良いかもしれん。」
「でも俺特に強いとか、何かできるって訳じゃないですけど。」
「関係ない。魔力なしでも生きることができる存在。そんなもんいなかったんだからな。……あんちゃん、本当に人間か?」
アーノルドさんが怪訝そうにこちらを見る。
やめてください、視線で射殺されそうです。
「俺は人間ですよ。少なくとも俺はそう思っていますが。」
「ま、害をなさないなら別に良いさ。悪かったな、疑っちまって。」
「いえいえ、仕方ないことです。」
「今後面倒な事も起こるだろうが、その時は遠慮せずにギルドを頼れよ。」
「ありがとうございます。では、俺はこれで。」
一刻も早くこの部屋から出たい。
もう緊張で嫌な汗が止まらない。
とりあえず今日はもう仕事をする気にはならないなぁ。
はぁ、宿に戻って休むか。
幸い金はまだ数日は持ちそうだ。
俺は宿に戻って早々に布団に潜り込んだ。
明日から頑張ろう、うん。
ギルドマスターは某ター〇ネーターのあの方をイメージして貰えればと思います。