Sランクと俺のペアの始まり
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「ここら辺は魔道具に反応ありませんね。もう少し奥に行ってみますか。」
「……分かった。」
現在俺はSランク冒険者とペアでスタンピードの調査中。
……なのだが。
「索敵に反応ありです。お願いします。」
「……分かった。」
「お疲れ様です。怪我とかは。」
「……大丈夫。」
「前回の調査で反応があったのはこの辺ですね。とりあえず野営準備しときます。」
「……分かった。」
……う~む、アーノルドさんが言っていた通りだな。
アーノルドさん曰く、何を考えているのかが分かり辛い。
無口で最低限の話しかしないのでコミュニケーションが取り辛い。
身体もでかく威圧感も凄い。
おまけに全身真っ黒の鎧で表情も分からん。
ただし実力はSランクの中でも最強と言われるレベル。
全身鎧の冒険者はSランクに数名いる。
過去のSランクから受け継いでいるとかいう話もあるし、若い頃に受けた傷を隠したいとか色々ある。
で、この真っ黒な鎧のSランク冒険者。
その強さと黒から連想される事から、代表的な死神を始めとして何か物騒な通り名が色々ついてる。
本人は何と呼ばれようと特に気にしてないようだが。
と言うことで。
「マクロさん、俺は準備してますんで周囲の調査警戒をお願いします。」
「……分かった。」
全身が黒、真っ黒、まっくろ、マクロ。
うるせぇセンスないのは重々承知だが、ペアの相手に死神さんなんぞ言えるか。
まぁ実力は確かに問題ないしな。
問題ないどころか過剰だがな。
何で索敵の魔道具より先に反応してんだよ。
さっきは俺が一応反応ありって言ったけど、既に臨戦態勢だったろ。
問題の何考えてるか分からんってやつだが。
まだペアを組んで半日程度だが、ちょっと思うことがある。
「野営の準備ができました。先に昼飯食っちゃいますか?」
「……分かった。」
確かに最低限の会話はできる。
が、その際に若干俺から顔を背けている様に見える。
もしかしてだが、実は単なるコミュ障ってやつじゃないのか?
極度の人見知りが拗れた感じだろうか。
全身鎧は人と目線を合わせない様にするのにもうってつけだろう。
Sランクはその強さから、パーティに所属していても有事の際にはソロになる場合がある。
まぁ元からソロって奴が過半数らしいが。
ソロなら人と関わる事も少ないだろう。
俺は昼飯の準備をしながら適度に様子を伺う。
マクロさんは流石Sランク。
警戒を解いていないようだ、頼もしい。
……が、チラッチラッとこっちを気にしているようだ。
話しかけるべきか、しかし邪魔にならないだろうか、そもそも依頼任務中だし。
といった感じだろうか。
うん、やっぱこいつコミュ障だろ。
ま、世の中色々な人がいるし、冒険者は実力主義だ。
戦闘面とか諸々はお任せして、俺がその他カバーすれば良いでしょう。
俺がSランクの何をカバーできるかは知らんが。
ちゃっちゃと昼食を用意していく。
マクロさんから預かったマジックバッグはギルド所有の物より大容量だ。
ま、お手軽に食えるハンバーガーだ。
出発前に基本の準備はしていたので、後は焼いたりするだけで完成。
「ほい、マクロさん。お手軽で悪いですけど。おかわりもありますんで。」
「……ありがとう。」
マクロさんはハンバーガーを受け取り後ろを向いた。
食べるには兜を少しとはいえ開けないといけないからな。
見られるのは嫌なんだろう。
俺もハンバーガーに噛り付く。
流石Sランクが持っていた材料だ。
そこら辺の肉とは違うな。
一体いくらの肉だったのかは考えないことにしよう。
マクロさんはハンバーガーを5個平らげた。
あのでかい身体だし、まぁそのぐらい食うか。
「……美味しかった。」
「そりゃ良かったです。片付けたら調査再開しますか。」
「……分かった。」
うん、悪い人じゃないな。
Sランクだけあって、そのチートみたいな戦闘力は文句の付けようがないし。
俺の方である程度舵を取るようにすれば問題ないかな?
片付けをして野営地に結界の魔道具を設置。
正直マクロさんがいて襲ってくるモンスターがいるとは思えないけども。
さて、いよいよ調査といきますかな。




