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キャラデータは女帝の夢を見る~女帝、恋愛も世界も征服する  作者: 百鬼清風
第二部 英雄と姫達
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第78話 オーバーワープ(限界突破転移)

「ブラド様、前方75km地点で敵らしき高速移動物体を補足!おそらく戦艦クラスです」


 空中要塞シギショアラの艦橋。

 部下が、ブラドにカイザーブルクの接近を報告する。


「よし、僕のエピック呪文(スペル)の力を見せてやろう。我が要塞と敵艦の周囲に転移魔法、飛行魔法禁止、アンデット系強化効果の異界を発生させろ!」


 ブラドが、命令する。


「はっ!異界、スカーレットガーデンを発動いたします」


 部下の呪文詠唱者(スペルキャスター)系職の複数の者達が、シギショアラとカイザーブルクの間に巨大な異界を形成する。

 空に赤いバラの花びらが散り、ブラドを含めアンデット達が強化される。


 ブラド両目が赤く光、全身から赤黒いオーラを放ち始める。

 艦橋の大きなモニターに小さく映る、カイザーブルクを視認しながらエピック呪文発動の為の集中を開始した。

 


 シギショアラの前に、巨大な暗黒の球体が形成され始めた。




「敵空中要塞まで、75km。向こうにも発見されました。遮蔽(ステルス)この距離が限界です」


 カイザーブルクの艦橋で艦長オリアンドが、司令官であるルイーズに報告する。


遮蔽(ステルス)装置を解除。敵の攻撃を誘え。|オーバーワープ(限界突破転移)を準備」


 ルイーズが、オリアンドに指示を出す。


「ステルス解除!オーバーワープ準備!」


 オリアンドが、艦橋の部下たちに指示を出す。


「周囲で異界が発生。敵要塞付近で、エピック呪文(スペル)の発動準備を確認」


 オリアンドが、ルイーズに報告する。


「よし、敵要塞の後ろにオーバーワープだ!」


 ルイーズが、叫んだ。




「エピック呪文、鮮やかな赤の光線(ヴァーミリオンレイ)!!」


 ブラドの掛け声と共に、暗黒の球体から広範囲を焼き尽くす、太くて赤い光線がカイザーブルク目掛けて発射された。

 しかし、発動前にカイザーブルクは、姿を消した。

 光線はすり抜けて、空に消える。


「ブラド様、敵戦艦。後方25kmに出現!」


 部下が、カイザーブルクの転移を報告する。


「転移魔法は使えなかったはずだぞ!まさか、敵艦は飛行だけじゃなく転移も魔法無しで行えるのか?すぐに、防御魔法を発動しろ!ミサイルと対空砲火で反撃!」


 ブラドが、部下に指示する。




「おいらに任せてもらえれば、あの程度の魔法はカウンター出来たんですがね」


 カイザーブルクの艦橋にいたイストルが自分の席から立ち上がって言った。


「オーバーワープを使った戦術のテストだ。次は、奴等の行動を制限しろイストル!」


 ルイーズが、イストルに指示する。


「よっこいしょっと!」


 イストルはモニターで要塞を視認しながら、床に自分の長槍を突き刺した。




「うわっ!」


 ブラドが、思わず声を漏らす。

 彼の軍の全員が、ずっこけた。

 防御魔法の集中をしようとしていた、ほぼ全員が呪文の発動に失敗する。

 反撃も、ほとんどが、あさっての方向に飛んでいく。


「妨害スキルだ。発動している奴を妨害しろ!」


 ブラドが指示を出す。


「駄目です。おそらく敵艦の中からの発動です。視認出来なければピンポイントでの邪魔は出来ません!魔法防御があるので、内部への直接攻撃も出来ません」


 部下が、ブラドにピンポイントの妨害は不可能だと言った。


「何だそれ!?ハメだ!不具合だ!運営に強く抗議する!」


 ブラドは、地団駄を踏んで悔しがった。


「うわぁああ」


 そうこうしているうちに、再びブラド軍は、ずっこけた。


「あ、こちらも僕の華麗な範囲魔法で麻痺させれば!?」


 ブラドは、反撃方法を思いついたが、少し遅かった…。

 



「慣れない艦隊戦で相手は混乱しているな」


 ルイーズは、ほくそ笑んだ。


「分からん殺しは、戦いの基本です」


 カインは、言った。


「レーザー主砲、フォトン粒子弾頭ミサイル、出し惜しみなく発射しろ!」


 ルイーズが、号令を出す。

 カイザーブルクが至近距離から、シギショアラに全力攻撃を浴びせた。




「残り魔法防御ゼロになりました。要塞の防御が消失!」


 シギショアラの艦橋では、そこら中から火花が上がる。


「すぐに、魔法防御を回復させろ!」


 ブラドは、指示を出したが、内心思った。


『あー、これはもう駄目なやつ…』


 彼は、内心諦めた。


「ミスティックレア!シルバーキー!」


 彼は、インベントリから貴重なレアアイテムを取り出した。

 銀の小さな鍵を空中で捻るように動かした。

 目の前に、石造りのドアが出現する。

 これは、どんな条件下でも一人だけ脱出出来る特殊な効果を持ったアイテムだった。


「では、後の事は頼んだ!僕は、この貴重な経験を残す為に退散するよ」


 ブラドは、指でピースマークを作り目の上に重ね、舌をペロッと出した。

 彼がドアの中に飛び込むと、ドアは消えてしまった。


「そんな殺生な…」


 部下達は、顔を見合わせると、自分達も逃げ出そうと右往左往しはじめる。




「よし、ルノー!とっておきを見せてやれ!」

 

 ルイーズは。通信機のマイクを手に取ると叫んだ。


「さてさて、プロゲーマーとしての収入を8割つぎ込んだ、このキャラの力。やっと見せられますね」


 ルノーは、カイザーブルクの遥か上空、成層圏の更に上で通信を聞いた。


「来い、現魔鳳凰!麒麟!天馬!」


 ルノーの後ろに、大きな火の鳥、伝説の麒麟、翼を持った白い馬が現れる。


「神格転身!」


 ルノーの背中から、虹色のオーラが翼の様に噴き出した。


「ディバイン・絶滅攻撃(エナイレイティング・アタック)!!」


 炎に包まれたルノーは、シギショアラ目掛けて落下を開始する。

 それを3体の現魔が後押しする。

 炎の塊となった彼は、空中要塞に突っ込んでいった。


「全力後退!」


 カイザーブルクは、全力で後退する。


「塵になれええ!!」


 ルノーが、叫ぶ。

 シギショアラを貫通した彼は、地上のアンデット達も巻き込んで大爆発を起こした。

 要塞と随伴する空中巡洋艦は、完全に消滅、地上のブラド軍も3分の1が塵になった。

 残りの軍勢は、散り散りに撤退していく。


「神格転身」


 カイザーブルク艦橋にいたモーギスのローブが、白い布を金糸で飾ったものに変化し、虹色のオーラを放ち始める。


大規模魂封じ(マス・ソウルバインド)


 モーギスが、ディバインスぺルを発動すると、塵になった敵の魂が宝石になって、バラバラと地上に降り注いだ。


「一緒に塵になったルノーの魂を回収して復活させてやれ。デスペナルティを入れても、経験値は黒字だろう」


 ルイーズは、満足気に指示を出した。

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