第60話 エルフ達の海上決戦
アルビオンに転移した、ウェリオ、吉江百合子、イストルの3人。
空中巡洋艦グレイオウルに合流し、そのままトゥールラへと向かった。
「ウェリオ、眼下にノドの空中巡洋艦2隻を発見!こちらは、まだ発見されていない」
グレイオウルの艦橋にいた3人。
船員の一人が、ウェリオに声を掛ける。
艦の形状からノドのものなのは明白だ。
トゥールラとアルビオンの間の海上に待機していたドゥエルブの部隊と遭遇したのだ。
「よし、遮蔽装置は、機能しているようだな!ここで奴等を撃破して、サンシール様を援護するぞ」
ウェリオが、船員達に攻撃開始を伝える。
「私達も出ましょう!」
彼女は、吉江とイストルに出撃を促がした。
「了解しました」
「おうよ!」
2人は、ウェリオと共に艦から急降下を開始した。
吉江とイストルは、赤茶色。
ウェリオは、白銀のSAに身を包んでいる。
吉江は大きな無反動砲を抱えていた。
それを急降下しながら、敵艦の1隻に向ける。
発射された弾頭が命中し、1隻から炎が上がる。
『なんて威力なの?』
ウェリオは、舌を巻く。
「何事だ!?」
艦橋にいた、全身の体毛が無い美しい森エルフ、ドゥエルブは急な攻撃に驚いた。
「ドゥエルブ様!味方艦が砲撃を受けました!艦橋に大ダメージ。艦のコントロールを失っております!」
部下が、ドゥエルブに報告する。
「ええい!遮蔽装置か?私が、迎撃に出る。今のうちに無事なSAを全て出すように味方艦に伝えよ!続け!!」
ドゥエルブは、足早に味方のSA部隊と共に発艦する。
「一番槍は貰ったぁあ!」
イストルが、炎を上げている敵艦の損傷部分に槍を構えて突入し、逆側に貫通して飛び出す。
敵艦は推力を失い、海面に激突して爆発した。
「白百合十字騎士団!吉江百合子!この首、欲しい者は向かって参れ!この機械化された体、伊達ではないぞ」
吉江は、発艦してきたSA部隊を、全身に埋め込まれた火器とフォトンブレードで撃ち落としていく。
「アーケイン・トルネード」
その時、水面から巨大な2つの竜巻が、大量の海水を巻き上げながら発生した。
「ぬわっ!」
吉江とウェリオは、その竜巻に巻き込まれて吹き飛ばされる。
発艦したドゥエルブが、呪文を発動したのだ。
巨大な翼竜の翼を持ったSAケツァルコアトルに身を包んだ彼女は、次の魔法の詠唱を開始する。
「ツナミ!」
ドゥエルブの声と共に、巨大な津波が吹き飛ばされた2人を追撃する。
「おーっと、そうはいかないぜぇ!ミスティックアイテム”魔法解除大全”発動!」
イストルは、インベントリから分厚い古びた装丁の本を取り出して開く。
すると、津波が掻き消え、海は凪ぎの状態になる。
「おのれ!」
ドゥエルブは、巨大な杖で、イストルに殴りかかった。
彼は、片手に構えた槍で受け止めるが、大きく後ろに後退させられる。
「はっはっは!!俺をここまでノックバックさせるとは、つぇえな嬢ちゃん!」
イストルは、嬉しそうに笑った。
「落ちろ!」
ドゥエルブは叫ぶと、更に一撃を加えようとイストルに殴りかかった。
「はっはっは、同じ攻撃は喰らわんぞ!」
イストルは、長槍で地面を突くような仕草をした。
すると、ドゥエルブとノドのSA部隊は全員、空中で転ぶような動作をして60分の5秒ほど停止した。
「今だ!」
体制を立て直した吉江がドゥエルブの胸部に切りつけて、胸の部分の装甲を吹き飛ばす。
「やああああ!大気の力!」
大気の力の呪文で大幅なバフ効果を発動させた、ウェリオは強力な剣の一撃をドゥエルブの装甲を失った胸部に打ちつけた。
「ああ…申し訳ありません姉様…」
ドゥエルブは、力なく落下していく。
その脳裏に、カインや姉、ルルワリリスと楽しくすごした時間が走馬灯として流れる。
互角の実力を持つ3人を前に、ついに倒されてしまった。
「魂の拘束!」
吉江が、倒されたドゥエルブの魂を素早く宝石に封印して復活を防ぐ。
残ったノド軍は、リーダーを失って次々逃げ去る。
彼等は、たった3人でノド軍を潰走せしめた。
「さあ、早くサンシール様の元へ!」
ウェリオ達は、引き続きサンシールの元へ急ぐ。
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