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キャラデータは女帝の夢を見る~女帝、恋愛も世界も征服する  作者: 百鬼清風
第二部 英雄と姫達
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第54話 美しいハーフエルフの入水~成人の儀

 アンジェリカとウルベルトがアルビオンの王城から逃げ出した後、ウェリオは母親のメアリーに連れられて足早に城を後にしていた。

 メアリーは馬車を走らせ、ウェリオをアルビオン・カテドラル聖マリア大聖堂に連れていこうとしていた。


「この母は、あなたが今回の件に故意に関わっていないと信じています。しかし、こうなった以上、あなたが、この国に留まるのは難しいでしょう。早く成人の儀を済ませ、別の国に逃げるのです」


 メアリーは、馬車の中でウェリオに言った。


「しかし、私は援軍を連れて、あの方の元に戻らねばなりません」


 ウェリオは、メアリーに訴える。


「あなた次第ですが、その事も叶うかもしれません。今は、成人の儀を急ぐのです」


 メアリーが言うと、ウェリオも頷いた。




 大聖堂の地下、洞窟となっている場所にメアリーとウェリオは、やってきた。


「アラド様、この子の成人の儀、急いでお願いしたいのです」


 そこに待つ司教の姿をした赤竜王の化身アラドに、メアリーは言った。


「使者より聞いていますわ。早速始めましょう」


 アラドは快諾する。


「さあ、全ての装備を外して、この泉に全身を沈めるのです」


 アラドが指さす先には、清く光る小さな泉があった。

 ウェリオは、言われた通りに全ての装備を外して泉に入っていく。

 彼女の美しい肢体が泉の中に沈み、冷たい水が露わになった肌を直接濡らす。

 やがて、彼女は光の世界へと分け入っていった。




「…!」


 ウェリオは、突然、目の前に現れた巨大な赤い竜に驚いて尻もちをついた。

 いつの間にか彼女は、太陽の光が降り注ぐ草原にいた。


「私は、真のアラド。イマジンの世界よりやってきた、赤竜王ア・ズライグ・ゴーッホです。よく着ましたね、運命の姫よ」


 赤い竜、真のアラドはウェリオに話しかける。


「あなたが、真のアラド?司教様ではなくて?」


 ウェリオは、驚いた顔で言った。


「あなたが先ほど見た女性は、私の分身。意識を共有する者の一人。この姿こそ、私の真の姿。あなたは、英雄と共に歩くのを運命づけられた姫。あなたも、私の分身を連れていくがいい」


 巨大な赤い竜が、ウェリオを指さす。

 ウェリオは、自分の中に赤竜王ア・ズライグ・ゴーッホの分身が、現魔として宿ったのを感じた。


「さらに、あなたのレベルキャップを95Lvまで開放します。これが、ハイエルフの貴族の成人全てに許された最高Lv。残りのレベルキャップを開放する方法は、あなた自身が探しなさい。」


 真のアラドが、そう言うと、ウェリオのレベルキャップが開放され、溜まっていた経験値で即座に95Lvになる。


「これほど経験値を持っていたなんて!ありがとうございます、サンシール様」


 ウェリオは、両手を胸に当てて感謝した。


「あら、私にも少しは感謝して欲しいものね」


 ウェリオには、真のアラドが、少し笑って言ったように思えた。


「…」


 ウェリオの顔が、真赤になる。


「あら、私にも手助けさせてほしいわね。この子に洗礼を与える権利の半分は、私にあるのだから」


 突然の声に、ウェリオが驚いて振り向くと、そこには赤竜王と同じくらい巨大な白い竜が彼女を見下ろしていた。


「私は、白竜王グウィバー。お前のレベルキャップを、さらに100Lvまで開放しよう。そして、私の分身も連れていくがいい」


 今度は、レベルアップはしなかったが、ウェリオは自分の中の限界が高くなったのと白竜王グウィバーが現魔として宿ったのを感じた。


「それは、いささか甘やかしというものだが…まあいい。さあ、早く戻って、新しい力で運命を切り開くがいい」


 真のアラドが、そう言うと、ウェリオの意識は草原から遠のいた。




「戻りましたかウェリオ」


 目を開くとメアリーが両目に涙を溜め、心配そうにウェリオを見ている。

 ウェリオは、全ての装備を着せられて洞窟に横たわっていた。


「私は、一体?」


 ウェリオは、不思議そうな顔をした。


「あなたは、1時間近く泉に潜ったままだったのです。成人の儀が、ここまで長時間かかる事は、ほとんどありません」


 メアリーは、言った。


「どうやら、レベルキャップが100Lvまで開放され、95Lvになった様です。さらにアラド様の、お力も」


 ウェリオは、メアリーとアラドに報告した。


「少しサービスしすぎちゃったかしら」


 アラドは、悪戯っぽく笑った。


「さあ、ウェリオ。急いで、街のポータルより、とある場所に向かうのです。その場所の王に、あなたの事を頼んであります。何の保証もありませんが、あなた次第で援軍の事も何とかなるかもしれません。」


 メアリーは、ウェリオに言う。


「分かりました。そこが、どこであれ、必ず目的を果たします!」


 ウェリオは、力強く言った。

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