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キャラデータは女帝の夢を見る~女帝、恋愛も世界も征服する  作者: 百鬼清風
第二部 英雄と姫達
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第51話 トゥールラ攻防戦~開戦

「大変です!ノドの国の使者が着ています!町の外には、数千のノド軍が。お助け下さい!」


 トゥールラの領主の家に滞在していたサンシール一行。

 その元に、領主が怯えた表情でやってきた。


「領主殿、我々は間借りしているだけの立場だ。使者に応えるのは領主の義務だと思うが…」


 モーギスは、言った。


「いいえ、奴等は、あなた方を出せと。それに、この街を守る傭兵団は全て逃げ出し、ボイオカッセ王は、軍勢をまったく送ってくれていないのです。ここは、あなた方に、おすがりするしかありません」


 領主は、涙ながらに言った。


「このような交通の要衝を守らないとは、ボイオカッセ王は何を考えている?」


 モーギスの表情が険しくなる。


「王は、自らの身を守る為に、全ての軍勢を王城に集めているそうです。我々の事など見捨てておいでなのでしょう。ここは、力をお貸し下さい」


 領主は、訴えた。


「もういいモーギス。俺達がいる事で迷惑がかかっているなら出ていくしかないだろう。この街の者に危害が及ぶのは避けないと」


 サンシールは、立ち上がった。


「仕方ないですね」


 モーギスも、立ち上がった。

 ベルタとアヤも、それに続く。




「ノドの国の使者とお見受けする。騎士サンシール、話を伺いましょう!」


 町はずれの丘の上。

 サンシール達は、白い儀礼用スーツと白銀のマントを身に付けて、ノドの国の使者たちの前に立った。


 ノドの国の使者は、ローブを羽織った黒い影の様な存在達だった。

 実態が無い死霊系のモンスターが4体、サンシール達の前にいる。


「最高位の死霊系モンスターのスペクターです」


 モーギスが、サンシールに言った。


「ノドに刃向かいし愚かな人間共、お前達に最大限の苦痛を与えてから殺してやる。防御は不可能。ただただ感謝しながら死ぬがいい…。街の者も同罪、全て根絶やしにする。交渉の余地は無い。せめて、おとなしく魂と全ての財を差し出すのだ」


 スペクター達の先頭にいた者が、挑発的な事を並び立てた。


「モーギス!彼らに礼儀は通した。後は、彼らをいるべき場所に丁重にお送りしてくれ」


 サンシールは、踵を返して街に向かって歩き出した。


「地獄送り(ダムネーション)!」


 モーギスが、エピック呪文を発動させると、地面に大穴が開き、中から多数の黒い影の手が伸びてきた。

 その手は、スペクター達を穴に引きずり込む。


「おのれ、カイン様の仇め。この様な事をしても無駄だ。数十万のノドの大軍が、必ずお前達を倒すだろう!」


 スペクターは、引きずり込まれる寸前、サンシール達に言った。

 そのまま全員、消え失せた。


「使者の命は取らない。ただし、お前達が地獄から脱出出来るかは知らんがな。まあ、そこが、お前達の本来いる場所だ。支障はあるまい」


 モーギスは、そう言い捨てるとサンシールに続いた。




サンシールは領主に頼み、トゥールラの中心にある広場に街に残った人々を集めた。

人々は、迫るノドの大軍に怯え切っていた。

彼は、集まった民衆の前で天に向かって剣の一撃を放つ。

薄暗く雲のかかっていた空、雲を切り裂いて太陽の光が人々の上に降り注ぐ。 


「聞いてくれ街の人々よ!」


 サンシールは演説する。


「奴等の狙いは、俺達だ。俺達は、ここを出て奴等を迎撃する!俺達は、一人一人が、あのカイン王と互角以上の力を持っている!しかし、少人数だ。打ち漏らせば街に被害が出るかもしれない。お前達にも立ち上がって街を守ってもらいたい!」


 サンシールは、そう言った。

 街の人々は、ざわざわしている。


「我々の中で、最も守りに強い神官を一人、置いていく。来るのは打ち漏らした雑魚だけだ!勇気を持って戦えば必ず勝てる!」


 サンシールは、ベルタを前に押し出した。


「最強美少女神官のベルタちゃんが、必ずみんなを守るからね!」


 ベルタは、まんざらでもない顔で、ポーズを決めた。


「みんなは、平和的な人間だろう。戦いを好むわけじゃない。しかし、ノドの連中は自分達の正義を押し付け、命を奪いにくる。奴等は、みんなが防御出来ないと思っている。共に戦おう!みんなは、自らの権利と命の為に戦う戦士だ!やつらには使命も正義も無い!正義を持って戦う俺達は、必ず勝つ!」


 サンシールは、激を飛ばした。

 その言葉は作り物ではなく、自らの気持ちを不器用に伝えただけだ。

 街の人々は、まだ全員がサンシール達を信用しているわけではないが、何人かは同調し「俺達も戦うぞ!」と叫んでいた。


 その、どよめきは次第に大きくなり、やがて街の人々の総意が街の防衛へと向かっていった。


 ベルタを残し、サンシール一行は飛行魔法でノドの軍のいる方角へ飛び去った。







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