第45話 トゥールラ攻略作戦会議
ノドの城の大広間に、ワーキン、ガンスミス、イラドの3人。
そして、緑の髪に白い肌の森エルフの姉妹が呼び出されていた。
5人は、モリガン女王の前に膝まづいている。
「おひさしぶりでございます、モリガン様」
二人の森エルフの姉妹は、同時にモリガン王に挨拶した。
「北の森より参りました。前王の側室アールブ、ノド魔獣軍団長、参上いたしました」
一人は腰より下までの長い髪をしており、白い布を巻きつけただけの露出度の高いロングドレスを着ている。
胸や尻が大きく発達しており、見た目は、とてもセクシーな20代中盤の女性だ。
何ともフェミニンは雰囲気を醸し出している。
「その妹、同じく前王の側室ドゥエルブ、ノド魔獣軍副団長、参上いたしました」
もう一人は全身の毛が無く、スキンヘッドだが、その容姿はとても美しい。
姉と違ってスレンダーで精悍なイメージだ。
同じく布を巻きつけただけの露出度の高い姿だが、その布は尻をやっと隠すくらいに短い。
女性らしさは姉に劣るが、何ともいえない妖艶さだ。
見た目の年齢は、姉と同じくらいに見える。
「よく参った。最初に確認する。カインは、お前達の夫ではあるが、たとえ戻ってきたとしても私をノドの王として指示するか?」
モリガンは、姉妹に問いかけた。
「我等は創造主アンジェリカ様の命を最も指示いたします。アンジェリカ様がモリガン様を王と認めている以上、それ以外の選択肢はございません」
アールブが、答える。
「同じく、創造主リカルド様の命を指示いたします」
ドゥエルブが、姉に同意する。
「ならばよし、それでは、お前達に夫の雪辱戦の機会を与えよう。現在、カインを討った賊の一味をアンジェリカが追跡中だ。奴等は、トゥールラに向かっている。戦力を整え、かの地で迎撃せよ」
モリガンは、二人にサンシール達を討つ事を命じる。
「はっ!」
姉妹は同時に返事をする。
「それに際して、イラドの率いていた暗黒兵団と城の守護のアンデット部隊を全て与える。合わせて20万以上の兵力だ。全て使いつぶして構わん。それに合わせて空中巡洋艦8隻、SA装備を90機、榴弾砲1000門を与える。必ず奴等の全ての情報を引き出せ」
モリガンが、言った。
「情報を引き出すという事は、勝たなくてもよろしいので?」
アールブが、モリガンに聞く。
「そうだ。お前達の魔獣軍団も含め、いくら消耗しても構わない。出来るだけ、奴等の戦力を丸裸にするのだ。勝つ必要は無い」
モリガンは、言った。
『カイン様直属の部下を始末するのが目的か?しかし、暗黒兵団と城のアンデット部隊を全てという事は、カイン様が直接作った戦力を、ほぼ100%投入するという意味だ。その戦力で倒せぬ相手などいない。魔獣軍団と合わせれば、40万近い戦力。森の側室達ほどの者達なら、必ず勝利するはず』
ワーキンは、心の中で呟いた。
「言っておくが、お前達が直接戦う事は禁じる。後方支援に留め、必ず生きて帰れ。そうでなければ、アンジェリカに合わせる顔が無い」
モリガンは、姉妹の直接戦闘を禁じた。
「はっ、ありがたき幸せ。この戦力を持ってすれば、直接戦わずとも目的を果たせるでしょう」
アールブが、答える。
「ふふふ、この大軍団が動けば、ボイオカッセ軍も動くしかあるまい。奴等は全員倒してしまって構わんぞ。道中の住民も一人残らず血祭りにあげよ」
モリガンは、笑いながら姉妹に命じた。
「はっ!」
姉妹同時に、答えた。
「さて、ガンスミス。報告のあったイラドとSAの調整は進んでいるのか?」
モリガンは、視線をガンスミスに移す。
「はっ、勿論でございます。SAとイラドの肉体となっている鎧への直接の改造によって、その能力は数段向上しております。そして、その能力を試す為、イラド一騎でのボイオカッセ城攻略を提案いたします」
ガンスミスは、モリガンに提案した。
「ふっ、失敗続きのイラドに武功を上げるチャンスを与えようというのか?これだけの陽動作戦を仕掛けるのだ。失敗は許されんぞ」
モリガンは、ガンスミスとイラドに問う。
「新しく開発した遮蔽能力と火力を持ってすれば、可能でございます」
ガンスミスは、余裕の表情で言った。
「我が首に掛けて必ず成功させます。なにとぞ、雪辱の機会を」
イラドが、モリガンに願い出る。
「よかろう、ではやってみるがよい。ただし、失敗した時の為に、ガンスミスの私兵を同行させる事を命じる。責任は自分で取れ」
モリガンは、単騎攻めの許可を出した。
「はっ!ありがたき幸せ。必ず良い報告を」
ガンスミスは、喜んで答えた。
「そして、ワーキン。お前は後詰めだ。ボイオカッセとの、現在の前線を固めよ」
モリガンが、ワーキンに命じる。
「はっ!」
ワーキンは、答えた。
『森の側室達の作戦は、調査と陽動?これほどの大軍団を使ってか?モリガン王の考えが分からん』
ワーキンは、心の中で疑問を感じていた。




