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キャラデータは女帝の夢を見る~女帝、恋愛も世界も征服する  作者: 百鬼清風
第一部 ヴァンパイアロード・カイン
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第36話 帰還

「何か分からんが、おかしな真似はさせんぞ!これで私の勝ちだ!」


 カインの体から、ファフニールとディメンションリッチがルイーズに噛みつこうとする。

 さらに、シュブ=ニグラスの触手がルイーズに絡みつこうとしてきた。


「いにしえのエルダーサイン…」


 ルイーズは苦し気に呟いた。

 空中から、五芒星と、その真ん中に目の様なものが描かれた小さな石が三つ現れた。

 それがファフニール、ディメンションリッチ、そしてシュブ=ニグラスの触手の塊に命中し、強い光を放った。

 とたんに、カインに融合していた現魔達は動きを止めた。


「馬鹿な、エルダーサインはガチャの外れアイテム。弱いモンスターを近ずかれなくするだけのアイテムのはず!何故、高位の現魔の動きを止められる!」


 カインは、叫んだ。


「これが、このヌトス形態の特殊能力らしくてな。エルダーサインの真の能力を引き出すらしいぞ…」


 ルイーズは、弱弱しく言う。


「さあ、私と一緒に死んでくれ。そして、私と一緒に戻るのだ。それには、その融合形態の特殊能力、常時回復フィールドが邪魔だな。」


 ルイーズは、フォトン粒子フィールド発生装置を持った左腕と逆の右腕を引き、構えた。

 その腕には既に、盾もライフルも無い。


「抵抗できない一撃イレージストブルブロウ!」


 ルイーズは、カインの胸に埋め込まれている暗黒竜の宝珠に、掌底打ちを繰り出した。


「ミスティックアイテムは、決して破壊出来ない!そんなところを攻撃しても無駄だ!この形態は解けない」


 カインは、言った。


「確かに宝珠は破壊出来ない。だが、お前の肉体から剥ぎ取る事は出来る…」


 ルイーズの腕がカインの背中まで貫通し、宝珠が背中側に押し出されてカインの体から離れる。

 同時にルイーズは、宝珠をインベントリに収納してしまった。

 ルイーズの手から宝珠が消える。


「ぎゃあああああ!!」


 カインと、その現魔達の断末魔が響いた。

 その姿は元のヴァンパイアロードに戻ってしまった。

 二人の腕は、お互いの体を貫いたままだ。


「どうだ、カイン。魔王のプレイは楽しかったか?」


 ルイーズが、カインの耳元で囁いた。


「満足です。ルイーズ殿、これこそ魔王の本懐。勇者ではなく女神に倒されてしまうとは、なんと面白い。これだから、イマジンのプレイはやめられない」


 カインは、満足気に笑った。


『確かに、わざと負けたのかもしれない。ああ、仲間達と一緒のプレイが、楽しかったんだ。しかし、今は贖罪魔法アトーメントで自分を偽り、設定と仲間と一緒に作ったギルドに縛られて、自由に楽しむ事も忘れていた。去っていった仲間達よ、この役割ロールはやりきった。もう許してくれ』


 彼は、心の中で、自分を偽った生き方に終止符を打つ決心をした。


「では、帰るとしよう。新しい役割ロールが、私達を待っている…。この世界の人々よ、迷惑をかけた。物質的な被害は戻せないが、せめて命を救おう。大規模再生マスリジェネレーション!」


 ルイーズが、最後のMPを振り絞って神格呪文を発動し、カインによって殺められた現実世界の人々の命を全て再生する。

 そして、融合と神格形態を解き、元の姿に戻る。


 二人の作りだした異界が消え、破壊された街で生き返った人々が、二人を見上げる。


「やってくれたのか?」


 自衛隊のヘリに乗っていたデイジー陽子には、二人の姿が消え、しばらくして戻った様に見えた。

 彼女は、二人の姿と街の様子を見て、決着を感じる。


分解ディスインテグレート!」


 カインが、通常の呪文では再生不能の魔法を発動させて二人の体を焼いた。

 その姿は、塵となって消える。


「さらばだ、もう一人の私よ…」


 デイジー陽子は、青空に戻った天を見上げて、呟いた。

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