第15話 断罪
「よくやったイラド、これでルイーズ殿が何の職業スキルを取得しているか判明した」
王座に座るカインとルルワリリスの前に膝まづくイラドに、カインは言った。
「魔弾使い(アーケインガンナー)は、戦士と弓手が20Lvづつなければ取得出来ない上級職。彼女の取得出来る職業スキルはキャラクターLvと同じ合計120Lv。半分の能力を知る事が出来たに等しい」
『一緒にクエスト周回して、大体の予想はついていたが…』
カインは、考えをめぐらせながら続けた。
「しかしだイラド、私は彼女を親衛隊長として任命した。聞いておったな?」
「ははっ、確かに」
カインの言葉にイラドが、はっきり答える。
「我がノドの国では、幹部同士の試合は私の許可なく行う事は出来ない。私闘につながりかねない事は知っているな?」
「存じ上げております」
カインの問いに、イラドは誤魔化さず答える。
「そして、我が軍最強の部隊である暗黒兵団の長は、最強の者でなくてはならん。お前は、自分の地位を自ら貶めた!お前から、暗黒将軍の地位を剥奪する。今日からガンスミスの元へ行き、その護衛任務に就け!後任はルイーズ殿に打診する。お前より実力が上なのは証明された、異論は無いな!」
「はっ!」
カインの言葉を、イラドは反論無しで受け入れた。
「お待ち下さい、カイン様。この試合をするように命令したのは、この私でございます。なにとぞ、罪は私に!イラドの地位剥奪は、ご容赦下さい。ましてや、客分のルイーズ殿が将軍など!」
カインの横に座るルルワリリスが、必死で申し出る。
「女王を簡単に断ずる事は出来ぬ。不服ならば、二度とこのような事が無いように留意しなさい!」
カインは、ルルワリリスに厳しく言った。
「…」
ルルワリリスは、無言で首を垂れる。
「以上だ!」
カインは立ち上がると、大広間を後にした。
「すまぬ、イラド」
ルルワリリスが、イラドに声をかける。
「戦いで不覚を取ったのは事実、決定に異論は無い。戦場で名誉を取り戻すまで」
イラドは立ち上がり、迷いなく言った。
『武人は、それでよい。しかし、私は収まらぬ。全て、あの女が来たせいなのだ』
ルルワリリスは、唇を噛みしめた。
一筋の血が流れる。
「もうよい…もうよい…」
ルルワリリスは、誰にも聞こえぬような、小さな呟きで言った。
彼女の決意を、イラドは知る由もない。
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