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チェイサー禄  作者: kuma
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一つのお菓子

第三話 一つのお菓子

3人はホテルに着くと一つの部屋で休んでいた。

「お風呂あがったよー」

リンが髪を拭きながらリビングへと入ってくる。ドリーは新聞を読み、ライゼンは地図を睨んでいた。

「おう、それじゃ俺が先にシャワーを借りてもいいか?」

ライゼンが立ち上がる。

「おう」

ドリーも新聞に目を向けながら返事を返した。リンはソファに座ると地図を眺め始める。ドリーはそれを見ると新聞をたたんだ。

「おいリン、人の詮索はあんまし良くねぇってのはわかってるから答えたくなきゃハッキリそう言ってくれて構わねぇんだけどよ。お前がチェイサーになりたい理由を汽車ではじいちゃんを探したいって言ってたろ?詳しく教えてくれねぇか?」

前屈みになるドリーにリンは笑顔で頷いた。

「うん、いいよ。まあ、と言っても汽車で言ったことがほとんどなんだけどね。まあ、俺が知ってる事がじいちゃんがチェイサーって事、あとはこれ」

リンはリュックから針のないコンパスを取り出した。

「何じゃこれ?壊れてんのか?」

「いや、わかんない。でも、じいちゃんが持ってたものだってばぁちゃんは言ってた。俺さ、両親を知らないから唯一なんだよじいちゃんがさ」

「死んでるかもしれねぇぞ」

ドリーは真剣にリンへと放つ。リンは少し行動を止めた。しかし、直ぐにドリーの目を見る。

「うん、そうだね。でも、じぃちゃんは多分死んでない。根拠という根拠はないけどそんな気がする。でも、時間がないことも何となくわかってる」

「時間がない?」

「うん、死ぬってことじゃないと思うんだけど何処か遠くに行きそうだなって」

「感か?」

「うん、だから、俺、今回絶対にチェイサーにならなきゃなって思ってるよ」

「そうか、なんか俺までお前を応援したくなっちゃったぜ」

ドリーは口角を上げると地図を見下ろした。リンも笑顔を見せる。

「シャワー借りたぞ」

ライゼンがリビングへと入ってくる。3人は地図を見下ろした。

「さて、少し明日の計画を立てよう」

ライゼンが話を先行する。

「この町には百一もの駄菓子屋が存在する。だが、時間を無限にかけられるわけじゃない。そこで、この中から可能性の高い場所をピックアップして三人で手分けしたいと思ってる」

「妥当だな」

ドリーも頷く。

「三人で一日で回るなら最大でも一人十五が限界かな」

リンも口を開く。

「あぁ 思ったよりも密集してない分、十から十三が限度だと思う。そこで、二人には絶対にここは外せないという場所を提示してもらいたい」

「そういう事なら俺は此処と此処と此処だな」

ドリーは3つの場所を指差す。

「根拠はあるか?」

「んー 明確な根拠って言われるとねぇけどよ。一つ目のバウマーってとこは中心地って事もあって外せねぇかなって感じだ。二つ目のドンドンは此処からそう遠くねぇ。灯台下暗しって寸法を考えると妥当だと思ったぜ。三つ目のドロシーは場所が不自然だなって思ってよ。駄菓子屋なのにすげー町のはずれにある感じがしてよ」

「なるほどな。リンはどうだ?」

「俺はドリーと同じでバウマーって所とドロシーって所は気になってた。後は此処かな?」

リンが指差した場所はこのホテルだった。

「おいリン、此処は駄菓子屋じゃねぇぞ」

「そうだな。理由を聞かせてくれ」

「うん。俺少し気になってたんだけど、俺たちが持ってる情報って老婆が鍵、お菓子が沢山だったと思うんだ。だから、駄菓子屋っていうのは賛成なんだけどそれだけじゃないと思ってさ、此処にも当てはまる物があるんだよ」

リンの言葉にライゼンが目を開く。

「そうか、確かにある」

「え?」

「この二つが当てはまる場所は売店も当てはまりうる。しかも、此処の売店は老婆がいた」

「おいおい、ちょっと待てよ。そんなこと言い出したらそれこそ時間がねぇよ」

「あぁ、だから、リンの案は此処だけって事にしよう。なんなら今から行けるしな」

リンは元気に頷く。

「俺も二人と同じ場所が気になっていた。恐らく、会場への案内が目的のはず。つまり試験会場に続くとすれば大きな土地が必要だからな地下に作るにせよ、山に造るにせよ中心地、山付近の可能性は高いと思う」

「よし、それじゃ、バウマー、ドンドン、ドロシーの周辺で三人で手分けしよーぜ」

3人は各々で十三軒選び、照らし合わせると再び各々でルートどりを考えた。

「よっしゃ、これで行こう」

ドリーが沈黙を破った時、時計の針は20時を過ぎていた。

「周り終わるか、見つけた場合連絡をしよう」

「え?俺電話持ってないよ」

「そうか、それじゃあ俺とドリーはこのホテルにかけることにするからホテルマンから伝言を聞いてくれ」

「うん、わかった」

地図や日程をメモした紙をしまう。グー 室内にお腹の鳴る音が響き渡った。

「腹減ったー」

その正体はリンだった。ライゼンは少し口角を上げる。

「それじゃあ、売店にでも行ってみるか」

2人が立ち上がると部屋のドアへと向かう。するとドリーが立ち上がった。

「お二人さん、忘れ物だぜ」

ドリーの手にはリンのリュックと服、ライゼンのバックが握られていた。

「少し買い物行くだけだよ?」

リンが首を傾げる。

「チェイサー試験は何が起こるかわかんねぇ」

ドリーは2人には物を手渡すとドアを開けた。

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