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ジェンダー問題に配慮したかった桃太郎

作者: モコ

この作品は昨今のジェンダー問題をネタにしています。人によっては不快と感じられる表現があるかも知れません。ご理解の上閲覧ください。

また、私に男女平等を否定するつもりは一切ありませんので、ご理解ください。

ネタを真に受けてしまう人の閲覧はおすすめしません。


 昔々あるところに、お爺さんとお婆さんがいました。

 お爺さんは山へ芝刈りついでに狩りへ、お婆さんは川へ洗濯に……ではなく、お婆さんが山へ、お爺さんが川へ行きました。男が仕事をして女が家事をするという考え方は、男尊女卑の表れであり忌むべきものなのです。この二人は日替わりで家事と仕事をしていました。

 同じ村に住む他の人達は、男が仕事をし女が家事をしていたので、この二人はそんな村人達のことを嫌悪していました。

 お爺さんが川で洗濯をしていると、上流から大きな桃が流れて来ました。お爺さんの家は何故か貧しかったので、その桃を見るや否や陸に引っ張り上げて、持ち帰りました。

 家に帰ると既にお婆さんがいましたが、狩りの成果が見当たりません。それもそのはず、男性より身体能力で劣る女性が狩りをしても、上手くいく可能性は低い……などという考えをもってはいけないのです。それは男女平等社会を作る上で、邪魔にしかならないものなのですから。

 今日も獲物が取れなかったお婆さんを慰めつつ、お爺さんは包丁を持ってきて桃を切りました。すると、桃の中からなんとも美しい女の子が出できたではありませんか。

 二人は子供に恵まれなかったので、これは神からの贈り物だと考えとても喜びました。子供が出来たらまずは命名です。二人は桃から生まれた女の子だから桃花子と名付け……るはずもなく、女の子だからといって可愛らしい名前にしなければならない、なんてことはないのです。それは差別意識を助長し、世の中をより悪くするものなのですから。

 結果的に子供の名前は桃太郎になりました。




 そして桃太郎が生まれてから五年の年月が流れました。この頃になると桃太郎の自我もしっかりしており、言葉も理解しています。そして二人の英才教育は完璧でした。

 ある日のことです。桃太郎が一人で村を歩いていると、中年ぐらいの近所のおじさんが話しかけてきました。


「桃太郎ちゃんも大変だね。女の子ならもっと可愛い服とか着たいでしょ。そうだ、おじさんの娘のおさがりでよければあげるよ?」


 以前にも話した通り、桃太郎の家は何故か貧しかったので、桃太郎の服もボロ切れのようなものでした。それを可哀想に思ったおじさんは親切心で話しかけたのですが、その時の言葉がよくなかったのです。


「おじさんさいてー。女の子だからとか、言っちゃダメなんだよー」

「……えっ?」


 まだ少し舌足らずな子供に、いきなり罵倒された事実を受け止めきれず、おじさんは唖然(あぜん)としました。そんなおじさんに、さらなる不幸が降りかかります。


「ちょっと! うちの子に何するつもりですか!?」


 お婆さん(ばけもの)の登場です。


「どうせうちの子を、いやらしい目で見てたんでしょ! こんな小さな子供に欲情するなんて気持ち悪い! やっぱりお爺さん以外のオスって最悪!」

「いや、急に何を言いだすんですか!?」

「黙れ! このロリコン! ほら、帰るよ!」


 早口で捲し立てたお婆さんは、桃太郎の手を引いて家に帰っていきました。

 先程のお婆さんの行動は、相手の話を聞かず一方的に決めつけて罵倒するという、最悪なムーブですがいいのです。何故ならお婆さんは男女平等主義者で、自身の行動の全ては正しく、自分は差別をしていないと思っているからです。その上で、自分の言動が批判されるのは世の中が悪いと、本気で思っている害悪です。タチが悪いです。

 お婆さん達はこんな言動ばかりしているせいで、村からは完全に孤立し、疎まれていました。




 そしてさらに年月が経ち、桃太郎も立派な大人になりました。

 そんなある日、この一家にある噂話が届きました。なんでも鬼ヶ島というところで、目も当てられないような酷い女性差別が行われているというのです。このことを聞いたお婆さんは、怒りで震えて涙が止まりませんでした。

 そして立派に育ってしまった桃太郎は言いました。


「私がその女性のことを性処理の道具としか思っていないようなクソオス共を成敗してみせましょう」


 これを聞いたお爺さんとお婆さんは、自分達の娘がしっかりと育ったことに感動し、喜んで送り出しました。



 鬼ヶ島へ向かう道中、一匹の犬と出会いました。


「桃太郎さん。そんなに勇んでどこにいくのですか」

「私はこれから鬼ヶ島へ行き、そこで虐げられている女性達を解放してあげるのです」

「ですが、あなたは女性でしょう。男性に身体能力で劣る以上、そういうことをするのは危険なのでは?」


 それは犬なりの気遣いでした。しかし、桃太郎にそれが伝わる訳もありません。犬の発した言葉は、それで最後となってしまいました。

 ヒステリックを起こして、犬を殺めてしまった桃太郎ですが、何も思うところはありません。お婆さん達の教育(せんのう)賜物(たまもの)です。

 この後も同じことを言ってきた猿と雉がいましたが、同じように地に伏せることになりました。



 長かったような旅の果てに、桃太郎は鬼ヶ島にたどり着きました。そこでは、専業主婦として暮らす女性で溢れていました。男は仕事、女は家事、という考えが染み付いているのです。

 この光景を見た桃太郎は、怒りで震えて涙が止まりませんでした。そのままヒステリックを起こして鬼に斬りかかりましたが、呆気なく負けてしまいます。

 桃太郎は、自分が今後クソオス共の性処理道具になる未来を想像し、絶望しました。しかし、意外にも鬼達は優しかったのです。

 間違った教育を施された桃太郎を可哀想に思い、常識を教え、同じ仲間として接しました。その甲斐あってか、それなりの年月は必要でしたが、お婆さん達の洗脳から解放され、鬼ヶ島で結婚をし、生涯を幸せに過ごしたようです。

 めでたし、めでたし。


 ……え? お婆さん達はどうなったのかって?

 ふふ……どうなったのでしょうね?

ここまで読んで下さりありがとうございます。

この作品は一時間程度で雑に書いたので、完成度はとても低いです。

現在は失踪中ですが、長編小説はもう少しまともなギャグ作品を書いていますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。

「魔王様、お仕事の時間です」という作品で異世界モノの仕事系ギャグ作品です。

こちらがURLです。↓

https://ncode.syosetu.com/n3554hb/

では、ここまで読んで下さり本当にありがとうございました。

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