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アフター・コロナは物書きの世界  作者: 場末の予言屋
第四章 形から始める「文豪気分」
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30.パイプ入門(タバコ編2)

近代史の説明で、パイプ煙草の現在地を大まかに理解できたと思う。


次は、パイプ喫煙をより楽しむ為に、原料葉の事を理解する必要がある。


理由は、パイプ喫煙が「自分で煙草を作らなければならない嗜好品」だからだ。


しかも、おあつらえ向きな事に、パイプ煙草はどんな葉がブレンドされているのか、非常に分かりやすくなっている。


「パイプ入門(タバコ編1)」を見てもらえれば分かるが、煙草のタイプを見ただけで、使われている煙草葉のおおよその見当が付く。


また、パイプ煙草のパウチには、「ブレンドのコンセプト、使われている原料葉、香料等」の、説明が記載されている物も多い。


まあ、パウチに書かれているのが、英語だったりドイツ語だったりはする事は、この際ご愛敬だ。


さらに、パイプに煙草を詰める際、煙草の葉組を目視するだけで、使われている原料葉がわかる物もある。


そんなこんなで、原料葉の基本的な知識は、パイプ喫煙を楽しむ為の参考にこそなれ、決して邪魔にはならない。


ただし、私は専門のブレンダーでも、パイプ煙草のプロでも無い。


まあ、ご近所にいる、一般的なパイプ喫煙愛好者に過ぎない。

(パイプ喫煙者自体、見ることは極まれではあるが・・・・・・)


従って、ここでは教科書的な解説をするのでは無く、長年趣味でテイスティングして来て、気づいた事等を中心に展開したいと思う。


「ルイ・ロペスの独断と偏見による初心者向けのガイド」として、参考程度に読んで戴ければ幸甚である。


もちろん、専門的な突っ込みなどは無しでお願いする。


【パイプ煙草 原料葉編】


1.ヴァージニア葉


パイプ煙草のベースとなる原料葉。


歴史も長く、加工技術は複雑で、その種類がもっとも多い煙草だと考えている。


刻みは、大半が2~3mmのリボンカットと思っておけば、ほぼ間違い無い。


煙はシルキーと表現され、キメが細かく旨みや甘みがある。


また、イギリスやデンマークのブランドは、「ヘイタイプ」と呼ばれる、干し草様の甘みがある煙草がベースになっている印象だ。


その昔、ブレンド用のストレート煙草を吸ってみた事があるが、アフリカ産のヴァージニア(ザイール産)にヘイタイプの味わいを感じた記憶がある。


もしかすると、イギリスとデンマークはアフリカ産の葉を多用しているのかもしれない。


なお、ヴァージニア葉の特徴に、葉に含まれる糖度の高さがあるが、これがビットと呼ばれる舌への刺激を生む。


ビットは、糖分が熱分解される事により生じる、煙のアルカリ化が原因とも言われているが、舌が荒れる要因の一つになっている。


煙草としては重く、ニコチン酔いの主原因にもなっている。


では、ヴァージニア煙草が加工(熟成)度合いにより、どの様に分けられているのかを列記してみよう。


付録として、それぞれの味わいのイメージを加筆しておく。


ブライト(干し草様)

ゴールデン(ハチミツ系統)

レッド(酸味が加わる)

ブラウン(コクのある酸味)

ブラック(干しぶどう様の甘み)


なおルイ・ロペスは、テイスティングの際、ヴァージニアを中心としたベース煙草の判別に重点を置いているが、これに当たりを付ける事により、ブランド全体のコンセプトが見えてくる。


特にヨーロッパ・タイプの煙草においては、それぞれのブランドに合わせたベース煙草が有り、そこからバリエーションを出している節が見受けられる。


従って、このヴァージニア葉を理解する事が、テイスティングの第一歩、そんな風に考えている。


なお、ヴァージニア・ブレンド発祥の地イギリスは、ヘイタイプにオイリー、アーシー(堆肥系?)に至るまで、様々な種類のヴァージニアを持っているので、さらに複雑である。


ただし、アメリカ・タイプにおいては、ヴァージニアよりバーレーに重きを置いている為、次のバーレーの説明に譲るとしよう。



2.バーレー


アメリカ・タイプにおけるベース・タバコと言えるのがバーレーだ。


主流になっているのが「ホワイト・バーレー」で、香料との相性が良く、煙量が豊富で、シガレットやストレート・アメリカンのベースになっている。


刻みはラフカットで、多孔質な見た目をしている。

以前はキューブカット・プラグが多かったようだが、現在の日本ではお目に掛かる事は無い。


煙草葉としては乾燥気味で、比重は軽め。

燃焼は早めだが、火付き火持ちが良く、喫煙がイージーな煙草である。


煙はドライな口当たりで、軽くあっさりした味わいだが、吸い込むとバーレー・キックと言われる、炭酸を思わせる独特な吸いごたえのある煙草だ。


・ホワイト・バーレーとケンタッキー


もともとバーレー葉は、味わいこそあっさりしているが、コク(ボディ)の強い煙草だとの事。


そのコクをまろやかにし、香料との相性を良くする為に、強めの加工が施されている。


この、コクをまろやかにする処理を施し、空気乾燥により褐色に仕上げたものが「ホワイト・バーレー」。


使われ方としては、煙量を出す・煙草を軽くする・口当たりをドライにする、などがあると感じている。


これとは別に、コクをまろやかにする処理をせず、材木を燃やし、煙と熱で乾燥させ、暗褐色に仕上げた葉タバコを暗色火干葉、いわゆるケンタッキー葉と呼ぶ。(たぶん、これで間違ってないと思う)


ケンタッキー葉はバーレー葉の使われ方とは違い、煙草にコクを出したい時や、ワイルドな強さを加えたい時などに使用されていると感じる。


なお、ステーキの様なコッテリとしたコクのあるシガー(葉巻)だが、これに使われる葉巻葉、「系統としてはヴァージニア葉より、バーレー葉に近い」、そんな噂を耳にした事がある。


さて、パイプ煙草のベースとなる原料葉について解説したが、何分それぞれにデータ量が多く、紙面が詰まって来た。


ついては、パイプ煙草に味わいや香りを添加する原料葉については、次回に持ち越しとしよう。

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