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アフター・コロナは物書きの世界  作者: 場末の予言屋
第四章 形から始める「文豪気分」
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26.パイプ入門(技術編1)

さて、喫煙術で一章割き、いよいよ待ちに待った(誰も待ってはいないが・・・・・・)、パイプ喫煙入門となった。


ここで注意しなければならないのが、パイプ喫煙の特殊性だ。


通常の煙草の様に、火を付けて、吸って、ハイ終わりとは決してならない娯楽である。


お茶で表現をすると、シガレットはペットボトルで、ラッパ飲みする様なものだ。


それに比べシガー(葉巻)は、喫茶店で本格的なコーヒー、モカやらグゥアテマラなどのストレートや、ブレンドコーヒーを頂くのに似ている。


しかし、パイプ喫煙には様々な作法が必要となってくる為、これらとは全く違った趣となる、それはまるでお茶室で抹茶をてて頂く様なものだ。


そこで、このパイプ喫煙の特殊性をクローズアップする為、技術編を「準備・本番・後始末」の三部構成で紹介して行こうと思う。


何分、情報が大量になる、早速本題に入って行こう。



【 パイプ喫煙 準備編 】


用語解説 : チャンバー(火皿)


パイプの部位で、煙草を詰めるところ。


和名は火皿ひざらと言い、テーパーが掛かっているので、底に行くほど狭くなる。


(計画を立てる)


パイプ喫煙とは、お気に入りの時間と空間を楽しむ嗜好品である。


パイプと煙草の組み合わせによっては、30分から1時間半くらいの幅で喫煙時間の調整が可能である。


また、煙草の味わいにしても、鰹のタタキから、モルト・ウィスキーに赤ワイン、バニラやベリーまで、様々な選択がある。


従って、本日の気分や確保できる時間を勘案し、よりよい喫煙計画を立てるところから、パイプ喫煙は始まる。


そしてここが、パイプ喫煙における知識の見せ所となる。


まあ、大げさすぎる表現ではあるが、希望のシチュエーションに対し、どのような構成で煙草を作るか、ここから始めなければならないのが、パイプ喫煙独自の世界である。



(煙草を詰める)


煙草の構成が決まったら、次は実際の作成となる。


パイプ喫煙は、煙草を燃やす所「チャンバー(火皿)」に、煙草を詰める事から始まる。


物の本によれば、パイプ喫煙は如何に上手に煙草を詰めるかに掛かっていて、上手に煙草を詰める事ができれが、喫煙はスムーズに進んで行くと書かれている。


では早速、先人達の書籍から。


・ピンチ・メソッド


アメリカの煙草メーカーで、主任調合師をしていたカール・エーワ・ジュニアの著書から。


「ピンチ・メソッドと呼ばれる、下から上まで均一にタバコを詰める事が大切である」


・三段詰め


北欧パイプスモーキング・ギルドの創立者 ポール・C・オーリックの著書より。


「最初は子供の手で、次に女の手で、最後に男の手で煙草を詰める


この50年も前から語り伝えられる事は、今もって真実である」


・ルイ・ロペスの一口メモ


三段詰めでのコツだが、最後の男の手のところは「詰めたタバコ全体が沈み込む」この感覚が大切である。。


この「タバコ全体の沈み込み」だが、「子供の手や女の手」のところで、堅く詰めすぎると感じにくくなる。


これは煙草に一体感を出す為のコツなので、この感覚を目安に詰めてほしい。


なお、チャンバーの底に細かい煙草を入れると、吸った時に口に入るので気を付けよう。


反対に、チャンバーの上部には火付けを考え、よくほぐした煙草を使おう。


(タバコの分量)


基本は、チャンバーの上部に2~3ミリの余裕ができる所まで詰める。


沢山詰めようとして、チャンバーギリギリや溢れる様にするのはお勧めしない。


煙草は火を付けると、葉がモコモコと膨らむので、一杯まで詰めて火を付けると、「あふれイクラの軍艦巻き状態」になり、煙草の灰がポロポロこぼれる。


また、チャンバーから盛大に盛り上がった所は、空気の流れが一定しないので、火の乗りが極端に悪くなる。


パイプの火付けは、チャンバー内で行うのが吉である。


なお、どの位の堅さで煙草を詰めるかだが、「吸ってみて、少し抵抗を感じる程度」、この辺りを目処にしよう。


煙草はユルユルに詰めると、延焼が上手く進まない。


反対に、堅く詰めすぎると、空気が通らない為、火が回り難くなる。


これについて物の本には、


「堅く詰めすぎる事は厳禁である」としている。


それは、もし緩く詰めた場合でも、喫煙途中に調整が出来る。


しかし、一端堅く詰めてしまった煙草の修正は、ことの他難しいからだ。


また、堅く詰め過ぎた煙草は、空気の流れる速度も上がり、無理に喫煙すると煙草はかなりの高温になる、パイプへのダメージも深刻だ。


紙面が少々詰まって来た、最後に少々コアな知識を書いて終わりとしよう。


実は、パイプ喫煙に慣れた人でも失敗しやすい煙草がある。


それが、水分含有量が多く、柔らかくシットリとした煙草。


やや乾燥気味の「パウチ入り煙草」であれば、そこそこ強めに詰めても空気は通るが、たまに「缶入りの煙草」で見かける、シットリとした柔らかいタバコは、パウチ物と同じ要領で詰めると、全く空気が通らなくなる事がある。


こうなると、喫煙どころではなくなるので、一端煙草をホジクリ出して再度詰め直すハメになる。


これについて、北欧パイプスモーキング・ギルドの創立者 ポール・C・オーリックは、以下の様なコツを紹介している。


「真空の缶の中に密閉されていたタバコは、紙の上に広げ5分か10分寝かす事によって、その味がよくなるものである。


この事は大体知るべき事はすべて知り尽くしたと思いこんでいる、経験を積んだパイプ喫煙家でさえ驚くべき事なのである」


中々含蓄に富んだ名言であるが、この言葉に含まれる要因は、二つあると考えられる。


一つ目が、「加湿し過ぎた煙草は味わいがボケ、乾燥した煙草は味わいが粗くなる」、これに起因する。


もう一つが、シットリし過ぎたタバコは、火付け火持ちが悪くなる為、快適な喫煙に向かない事だ。


この辺りの、タバコと湿度の関係は、プレミアム・シガーでも同じ事が言える。


さて、長々と語って来た「パイプ喫煙 準備編」だが、ここでやっと喫煙出来るようになる、以降は喫煙本番編をお楽しみに。

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