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アフター・コロナは物書きの世界  作者: 場末の予言屋
第四章 形から始める「文豪気分」
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2.第八芸術(パイプ喫煙)

16世紀末のロンドン。


セント・ポール寺院の正面通路は、イギリス各地から訪れた人達で賑わっていた。


通りには、「喫煙指導塾」の看板がそこかしこにぶら下がっており、


「喫煙教授」のプラカードを掲げ、小振りのクレイパイプ(陶器製のパイプ)から、盛大に煙を上げている紳士の周りには、人だかりが出来ている。


「まったくソリアルドときたら、紳士に思われたくて、金を積んでまで喫煙術を学びに来るなんて、根っからの道化者ねぇ」


(喜劇 「十人十色」より)


喜劇「十人十色」の作者ベン・ジョンソンは、シェークスピアと同時代の劇作家で、ウェストミンスターで活躍していた。


当時のイギリスでは、パイプ喫煙は紳士の必需品となっており、


特に、「スライト」と呼ばれるスモーキング・トリック等を修得する事が、


「第八番目の芸術」としてもてはやされていた。


ベン・ジョンソンの言、

「パイプ喫煙はオランウータンの終わりと、人間のはじまりの一点をマークするものだ」は、案外このブームを皮肉ったものだったのかもしれない。


こうして、イギリスで花開いた「パイプ喫煙の文化」は、対岸のオランダに渡り、デンマーク、スウェーデン、スコットランド、フィンランドと、北欧中心に広がって行った。


なお、いい加減な記憶で申し訳ないが、南欧や西欧はシガー(葉巻)が中心、フランスはスナッフと言われる嗅ぎ煙草が中心に広がったと言われている。


まあ、寒い地域はパイプが好まれ、暖かい気候には葉巻が似合う、総じてこんなものだと思っておれば当たらずと言えど遠からず。


ここで「タバコあるある」だが、日本でタバコと言えばシガレット、紙巻きタバコの事を指すが、ヨーロッパでは「パイプタバコ」の事を表すのが一般的だ。


外国で紙巻きタバコを買うときは、チャンと「シガレット下さい」と言わないと、「何が出てくるか、お楽しみ」になってしまう。


ちなみに、紙巻きタバコが登場するのは、クリミア戦争の時代からであり、産業革命に世界大戦と、あわただしい世相に併せて誕生した文化である。


そこに、戦後の大量生産に大量消費の「経済の時代」が影響し、今のタバコ事情がある。


しかし、本来「パイプ喫煙」とは歴史も長く、奥の深い嗜好品・文化である。


では「第八芸術」と称された文化を、物書きの立場から解説して行こう。


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