恋人になれない僕達は、
乙女ゲームのバットエンドを見ていたら、思いつきました。滅茶苦茶短いし、暗めですが良ければどうぞ。
僕には好きな人がいる。
好きになったきっかけなんて、もう忘れてしまった。
些細なきっかけであり、ありきたりな理由だった筈だ。
ありふれた好きを、好きな人に伝えれば、待っていたのは、
『好きになれない』
好きな人には『好きな人』がいたからだ。
第三者がこれを聞いたら、三角関係なんて甘酸っぱい展開を期待する筈だ。
だけど、これはそんな可愛いものじゃなくて。
僕は好きな人の好きを受け取れない。
他に好きな相手がいる人に、『それでもいいから』と言える程、強気になれないし、ましてや割り切れる人間でもなかった。
それは僕の好きな人も同じだった。
『好きな人に好きをばれたくないなら』
『好きな人』が紹介してくれる『誰か』と適当に遊べばいい。
デートを重ね、『好きな人』を安心させればいい。
自分を好きと言ってくれた僕と付き合ってもいい。
『そう割り切れたら、楽なのに』
割り切れなかった。適当な誰かを、好きになれなかった。
割り切る努力さえしなかった。
そんな努力をしたところで、余計に『好き』を拗らせる。
分かっていたから、しなかった。
好きな人の気持ちは痛い程分かってしまう。
取り繕った『好き』なんか欲しくない。
『本物がいい』
僕は好きな人に言った。
『いつか僕を好きになって』
『なれないかもしれない』
『疲れたら、好きと言うのをやめるから』
『付き合わないかもしれない』
『他に好きな人ができたら、伝えるから』
好きな人の『好き』が欲しかった。
『だから、僕は好きだよ』
恋人になれない僕達は、今日も相手を想っている。
『僕の好きな人』
想ってくれない相手を、好きでいる。




