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恋人になれない僕達は、

作者: ぺんぎん
掲載日:2021/01/12

乙女ゲームのバットエンドを見ていたら、思いつきました。滅茶苦茶短いし、暗めですが良ければどうぞ。

 僕には好きな人がいる。

 好きになったきっかけなんて、もう忘れてしまった。

 些細なきっかけであり、ありきたりな理由だった筈だ。


 ありふれた好きを、好きな人に伝えれば、待っていたのは、


『好きになれない』


 好きな人には『好きな人』がいたからだ。

 第三者がこれを聞いたら、三角関係なんて甘酸っぱい展開を期待する筈だ。


 だけど、これはそんな可愛いものじゃなくて。

 僕は好きな人の好きを受け取れない。


 他に好きな相手がいる人に、『それでもいいから』と言える程、強気になれないし、ましてや割り切れる人間でもなかった。


 それは僕の好きな人も同じだった。


『好きな人に好きをばれたくないなら』


『好きな人』が紹介してくれる『誰か』と適当に遊べばいい。

 デートを重ね、『好きな人』を安心させればいい。


 自分を好きと言ってくれた僕と付き合ってもいい。


『そう割り切れたら、楽なのに』


 割り切れなかった。適当な誰かを、好きになれなかった。

 割り切る努力さえしなかった。


 そんな努力をしたところで、余計に『好き』を拗らせる。

 分かっていたから、しなかった。


 好きな人の気持ちは痛い程分かってしまう。

 取り繕った『好き』なんか欲しくない。


『本物がいい』


 僕は好きな人に言った。


『いつか僕を好きになって』

『なれないかもしれない』

『疲れたら、好きと言うのをやめるから』

『付き合わないかもしれない』

『他に好きな人ができたら、伝えるから』


 好きな人の『好き』が欲しかった。


『だから、僕は好きだよ』


 恋人になれない僕達は、今日も相手を想っている。


『僕の好きな人』


 想ってくれない相手を、好きでいる。

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