始まり
「や、め、て、く、れ、ー」
それが最後の言葉だった。
それ以来、目撃した人も、また、彼と親しくしていた人の記憶の中からも、彼は忽然と姿を消した。
死体の人物は忘れ去られたのだった。永遠に。
そう、永遠に忘れ去られるはずだった。
殺人をした奴が、
しっかり殺されているかを確認しに来た。
しっかりと息絶えたようだった。彼は微笑み、その後に大声で笑い出した。
ひとしきり笑ったあと、彼は死体を引きずっていき、処刑台から3番目の扉を開け、そこにある泉に全ての部分をバラバラに切断し、丁寧に投げ入れた。
彼は、満足げにうなずき、もう1度大笑いをしてから、殺した奴との思い出に浸った。
人を殺すのは好きじゃない。好きじゃないけれどやらなくてはならない。
だって、私のことを嫌っているから。
私のことを嫌っている人は、殺さないと満足しない。
だって私が1番だから。
彼はそう考える。そうすることて、殺しを正当化してきた。
少なくとも、あと複数人は殺さなくてはならない。
どうせ殺したところで、誰も気づきはしない。あの泉に投げ入れることにより、記憶もかき消され、その人が生きていた記録すらなくなっていく。
彼は微笑み、また新たなターゲットをここに連れてくる準備をするため、部屋を後にした。