私たちは1人と1柱でボッチだ・・・!!
ボッチの神様・・・ぼち神様が僕の元に来て9年がたった。
最初のころは神様に反抗していた僕もすっかり変わって、毎日アニメ見て、神様と語って、神様とゲームをする生活を楽しんでいる。
神様はいわゆるボッチの能力が使えるらしく、他人からの視線を回避したり、周りから見えなくなったりすることができ、今現在授業中ながらも神様は後ろのほうで携帯ゲームを楽しんでいる。
かくゆう僕も基本他人から意識して見られることは無いので、日向ぼっこを楽しんでいるわけだが・・・当然のように先生から指されることもクラスメイトから注意を受けることはない。
が、流石にただのボッチなので授業中に大声を出したり、踊ったりすると見つかるらしい。
キーンコーンカーンコーン
授業の終わりを告げる合図が鳴り響くと一斉に立ち上がり礼。そしておのおのの行動をする。
友達がいない僕でも昼休みくらいは教室を出て昼食をとるために移動する。
もちろん神様もついて来て一緒にご飯を食べる。神様もお腹空くらしい。
僕たちは一階の教室から渡り廊下を通り、職員室前を抜けた先の校長室の隣の来客専用のトイレへと向かった。
正直トイレだとお弁当を僕が持っておかないといけないので教室でいいんじゃないか?と神様に提案したんだけど・・・
「教室はな、トイレなんかよりもくさいにおいが漂ってんだよ・・・」
って言うもんだからトイレの中でも一番綺麗なトイレで食べてるんだけど結局のところ、トイレはトイレなんだよなぁ・・・
「ほら、さっさと食おうぜ」
とお弁当の包みを開ける神様。ちなみにこのお弁当を作ったのは神様で、中身はおにぎりや鮭、ほうれん草の胡麻和えといった和風なテイストとなっている。
「神様ってボッチなのにいろいろできるよね。」
「ボッチだからできるんだよ。っていうか何でもできなきゃお前の家から出て一人暮らししてねーつうの。」
そういって自分の作ったお弁当を急いで食べている神様。ギャルゲーだったら照れてる場面だが、この場合は早くゲームしたいからなんだろうなぁ。
お弁当箱につめられた食材はすぐに無くなり、僕たちの手の中はお箸から携帯ゲームへと代わっていった。
攻撃攻撃回避攻撃攻撃転倒させてからの攻撃
ゲームの中で自分のキャラクターが大きな恐竜に向かって武器を振り下ろして攻撃をする。
体には上下の下着のみの2人が華麗に待っているような動きで恐竜を翻弄していた。
一人は大槌、もう一人は双剣を使い、ものの数分で恐竜は地に伏せた。
「うし!これでこいつの裸RTA更新だな」
「10秒更新するのもやっぱり疲れるね・・・」
「でもなかなかできるようになってきたじゃんかよ!」
「神様痛い・・・ゲーム持ったまま抱きつかないでよ」
「いやーやっぱこういうゲームは1人でするより2人のほうがたのしいな!な!」
「神様人じゃないじゃん」
「んな細かいことはどうでもいいんだよ!」
と、そのときだった。いつもなら開かないはずのトイレが開く音がした。
「「!?」」
二人同時に警戒態勢に入った!
「神様神様!」
「こちら神様」
「敵進入の痕跡を発見した。これより警戒態勢に入る!」
「了解、増援を送る」
「・・・増援はくるの?」
「来るとしても相手のだろうなぁ」
漫才をしながら状況を確認する。
外の音から察するに用を足している最中だろうから、まあ、このままじっとしておけばどっかに行ってくれるだろう。神様の能力もあるし、ここはなんとか・・・
「おい、しってるか?ここのトイレに開かずの扉があるらしいぞ?」
「マジ?それって学校7不思議の?」
・・・ずいぶん最近にできた7不思議だなぁ。
なんて考えている場合じゃない!このままだとトイレで女の人に抱えられたままゲームしている変人だと思われる!
「おい、なに慌ててるんだよ。こんなの私の能力でちゃちゃーっと」
「それってさあ、神様はいいけど僕はどうなるの?」
「んなもん急いでたとか言えばいいだろ?」
「お弁当箱持ちながら?」
「あのなあ・・・・」
そういって神様は僕の肩に手をあてて
「ボッチはなぁ・・・何も失うものがないんだよ・・・」
「神・・・さま・・・。」
「分かったらとっとと行ってきな。そしてお弁当箱ひっ下げてすっきりしたなんていってここから出るんだ。」
「そうだね・・・うん!我々は」
「「何も失ってない!!」」
そうして扉を開けた僕は外にいた人と目が合い、すっきりしたといってこの場を去った。
後悔や恥ずかしさなんてない。だって僕たちは
トイレに行ってただけなんだから!!