メイドコミュッ!!
「洗濯日和ですね、良い陽気……」
■中庭に置いてある物干し竿に■
■洗濯物を干していくメイド長■
「今日もお嬢様は、機械いじりをしているのかしら……」
楽しそうにロボットについて語るジゼルを思い浮かべる。
年頃の女性(十代後半)として、どうなんだろうかと心配にもなるが、彼女が楽しそうなので何も言えないメイド長。
「あんなに目を輝かせて、何が良いのかしら……」
どうにもロボットの良さを理解できない彼女は、お嬢様の熱狂に共感できなくて困る。
ジゼルはボディがどうとか、機能がどうとか、プラモデルがどうとか、そんなことをメイド長に話すが、半ば聞き流していた。
「ふう、道は険しいわね」
■メイド長は、ため息を一つこぼした■
●■▲
「ふむふむ」
「……」
「ほうほう」
「……」
場所は居間。
ソファー左にある、高級絨毯が敷かれたところに立つのは二人。
一人は超合金体を光らせる館の主人、超科学技術によって構築された超戦士、魔導の蹂躙者カメ朗。
「うう……!」
そしてもう一人は、黒のミニスカメイド服を着た、青髪の美少女。
彼女の首には、白い色の革製首輪のようなものがある。
「……ねえ、そろそろ終わりにっ」
「いいや! まだ終わらんよッ」
「うぐぐ」
彼等が何をしているかというと、調査である。
その為に、カメ朗は新米メイドのリリを観察していた。
本当にただ観察していた。
「なんの意味があるのよっ、これぇっ」
「それを決めるのはお前じゃない、主人であるおれだYO!」
「うぎぎ」
360度からペロペロと舐め回すように高速で、じっくりとしっかりとことことと、近付いたり離れたりしながら、観察しているカメ朗。
リリの顔はどんどん赤さを増していく。
「ううう、少しトイレっ」
「そんな嘘は通じんよッ。ほいさ!」
「うぎゃ」
逃げようとしたリリの動きを、ラジコンで止める。
彼女の行動は、現在ゲス朗の思いのままなのだ!
「さあ、大人しく立っているんだ。少しセクシーなポーズで!」
「うううぅ……」
「ほうほう、ここはこうなっているのか! つまりこういうことも……!!」
両腕を上げたポーズのリリの格好はノースリーブであるからして、綺麗な両腋にカメ朗はにっこり笑顔で視線を強化。
「いやぁあ、この男……なんて、ねちっこいッ」
「失礼なことを言うな! これには立派なわけがあるのだよ!」
「なによっ。なんの意味よ!?」
「ふふふ。捕虜に教えるバカがどこにいる!」
カメ朗はやれやれという感じで頭振る。
微妙にむかつく動作である。
「(ステータス確認さ)」
■就職者が持つステータス■
■本来、同じ就職者でしかそれを見ることはできないが■
■カメ朗はステータス確認機能も有していた■
■それによって、攻撃力・防御力・速力・魔導力の基本能力値を確認中!■
「(しかしおれのは、見えやすい角度ってものがあるので、こうやって色々な方向から試しているのだ!)」
■まさか紳士カメ朗が、何の理由もなくこんなことをするわけもなし■
■と、本人は思っている■
(ふむふむ魔導力が異常に高いな。他のが低すぎるが……さてさて、次はこの角度からッ)
■白熱の観察は十数分続き■
「ふぅ――では、もう一度尋問を行う」
「なに、いきなり落ち着いているのよ……」
■椅子に座って向かい合う二人■
「えー、キミ。魔導は得意なんだっけ?」
「そうよ……じゃなくて、ですが。これでも魔導学院(魔導専門の教育機関)で首席……だったんだからっ……です!」
「だめだよ、返事はもっとはっきりしないとね。採用されないよ」
「なにごっこよっ。今すぐくびにしてくれて結構です!」
付け髭を装着しているカメ朗は、眼鏡をセットで装備。
面接官のオーラを出している。
「だめだよー、魔導が得意(笑)だからって慣れない暗殺者とか。見るからにキミ向いてないでしょう。なんかドンくさいし」
「なによっ、あ、あんなの不意打ちっ。私の実力じゃないわ!」
「実力のない奴に限ってそういうの。まったく若いもんは……。プライドだけは一丁前なんだからYO」
「お前何歳よ! 十代後半ぐらいなら私と変わらないッ!」
■右手に持ったバインダーに、情報を記入していくカメ朗部長■
「で、で、身長158cmね。うんうん」
「……」
「……スリーサイズは?」
「言うと思ったわよッ。変態ガメ!!」
■尋問を終えたあと■
■カメ朗は、彼女の【性能】を確かめることにした!■




