しずかな夜にッ!!
「……ううぐ、もう食べられません……。だれかベッドに運んで……!!」
「わたしは……やればできる子……。あの点数は教師の陰謀……!!」
リリとコレットが何故か抱きあいながら横になって、ソファーに沈んでいる。
時刻はすでに深夜。
色々あって疲れた彼女たちは、それを発散するかのように騒ぎ、寝落ちした。
「まったく……仕方ありませんね」
「ふふふー、一枚写真撮りたいなー。あとでそれをネタにいじってやる~」
シエルとメイド長は騒ぎの後片付け中。
散らかった机の上を拭いているメイド長は、怪しげな視線で抱き合う二人を眺めている。
頬が赤くなっている彼女を見たシエルは訝しむ。
「もしかしてメイド長ってー、そっちの気ありー?」
「ふふふふ、フフフ」
「あれ? なんで否定しないのー?」
冗談のつもりで言った言葉が否定されず、少し怖くなってきたシエル。
メイド長は笑いながら後片付けを済ませる。
「……さて。片付けは済みましたし……この娘たちを運びましょうか」
「そうだね~。……あれ、メイド長一人で運ぶの?」
「ぐふふ……も、もちろんですとも。だれにもわたしません……この子猫ちゃんたちはッ」
抱き合う二人を、更に抱きかかえるようにメイド長が持つ。
息が無駄に乱れたり、やたらと力強く抱き締めていたり、そんなことはきっと気のせいだと思うことにしたシエルは、先に自分の部屋に戻った。
「ボクは何もしらなーいっと」
■二人はその後■
■メイド長の部屋に……■
●■▲
「――まあ、これで半分ですわね」
「あ、ハイ。そうっすか」
「少し熱を入れて語りすぎました。はずかしいっ。ですが、まだあのアニメについて語っていませんわね……!」
「すこし? 意味をまちがえてない?」
ジゼルの寝室でベッドに座って、カメ朗たちはロボット談義を長時間行っていた。
しかしカメ朗は途中からマニアックすぎてついていけなくなり、相槌を打つのみになっていたが。
【AGボルトが一本外れてますね!】
【あ、そうなんですか】
【しっかり修理しますからね! ふふん!】
■さらに修理までしてくれるサービス(?)■
ジゼルはかなり満足気な顔。
カメ朗はとりあえず、それなら良いやと思った。
「さて、もう夜も遅いし寝ようZE」
「え、ええ。そうですわねっ。ありがとうございました! カメ朗様!」
「HAHAHA! この程度なら……たまーに付き合うYO」
さすがにいつでもオタトークに付き合うなんて、男らしさマックスなことは言えない。
とりあえずブレインの方がこういうのは合ってるんじゃ?
そう思ったカメ朗は、今度ジゼルとの会話の機会を作ろうと考える。
「そういやブレイン……まあ、保険に入ってるし別にいいか」
「?」
前回、ブレインを復活させようとして、様々な騒動に巻き込まれたことを思い出す。
何の連絡もよこさずにさらっと復活して、女といちゃいちゃしていたくそ野郎である。
「許さん……!」
「あの、カメ朗様。少しよろしいですか?」
「ん、なんだ?」
「……」
おずおずした様子で声を掛けてきたジゼルを不思議に思う。
少しの間をおいてから、彼女は口を開き、望みを伝えてきた。
「見せたいものが……あるんですっ」
■そして数分後■
「おお……」
カメ朗の目の前に立つジゼルは、きらきらと光る純白のドレスに身を包み、その美しさをさらに増していた。
ドレスは小さくカラフルな光を散りばめていて、部屋の明かりに反応して煌めく。
高級感があるがジゼルのものなのだろうか。
「故郷の……儀式の際に使う服ですわ」
「へえ、綺麗だな」
「ふふ、本当は今日の冬まつりで披露する予定でしたの」
ジゼルが言うには、コレットの暴走で中断されたコンテストに、この衣装を着て出場するはずだったとか。
地区長に報酬としてロボット関連の商品を提示され、思わず参加することになったらしい。
カメ朗も見にくるということで、彼女なりに全力を尽くした結果がこれ。
かれこれ二か月ほど悩み、服や踊りの資料を用意したのだった。
「せっかく用意したのに……披露できないのはもったいないと思いまして」
「ほうほう、つまりおれがジゼルを独占できるわけか」
「そ、そうなりますかね……?」
「なるYO!」
顔を赤らめるジゼルは少しぎこちなく踊り出した。
カメ朗は一瞬たりとも見逃さないように、愛する嫁の動きを目に焼き付ける。
(踊り……か)
■露出の少ない服装ではあるが■
■不思議な色気が彼女から感じられる■
(まあ、おれの嫁だし当然だがな……! な!)
■誇らしげに■
■カメ朗は微笑んだ■
(しかしきれいだ……この踊り……)
懸命に何かを伝えようと踊るジゼルの動きに、カメ朗は少しおぼえがあった。
前に彼女に教えてもらった気がするのだ。
この踊りの意味について。
(【愛】、だったな)
■彼女の踊りには■
■愛する者への想いが込められている■
「……」
■夜は深みを増していく■
■館は静まり返っていく■
「ううう……それはだめぇ……」
「いやぁああ、汚されるぅぅう」
「うふふ、かわいい……最高ね……じゅるり」
■メイドたちは夜に沈み■
「ふぁああ、ボクもそろそろ寝ようかな~。……満月大好きー」
■この館の主たちもまた■
「か、カメ朗様っ。どうだったでしょうか……わたくしの踊りっ」
「よかったよ――流石はおれの嫁DA!!」
■愛する者と共に■
■静かな夜を過ごした――■




