暗殺美少女に、服従の首輪をッ!!
「ふむ、なかなかかなかな」
「お気に召しましたか!」
「ああ。紅茶はね、おれの青春を飾る飲食物といっても過言ではないんだ」
「???」
■ソファーに座って、ティーカップを傾けるカメ朗■
■完全に我が物顔で調子に乗っている■
「これで、最高級オイルもあれば……なんて贅沢だな」
「も、申し訳ありませんわ。カメ朗様」
「ははは、気にしなくていいんだYO」
隣に座るジゼルの頭をなでなでするカメ朗。彼女の姿は長いスカートのメイド(自称、カメ朗だけのメイド)服。
柔らかな髪の毛の感触と、そこから発せられるいい香りが、カメ朗の色々を刺激してエクスタシー・バーストを引き起こす。
頬を染めるジゼルは、果てしなく輝く瞳を彼に向ける。
「カメ朗様……」
「ジゼル……」
■見つめ合う二人はラブロマンスの気配■
「きゃー!? なにをしているんですかッ、お嬢様ッ!!」
その様子を見たメイド長が叫んで、取り乱した。
二人は慌てて離れ、顔を真っ赤にして無言状態。
「やれやれ、なかなか上手くは行かないぜ」
■ニヒルに笑うカメ朗■
■紅茶を飲み干し、カップをテーブルに置いた■
「さて、そろそろお暇しますかね」
「そんなッ、早すぎますわッ」
「おいおい、そんなに引きとめられても困るよ」
がっちりと己を掴む両腕を、強引に引き剥がすことが出来ない紳士カメ朗。
どうにかしないといけないなと、クールに思案する……。
「くそ、見たいドラマあるのにッ。まいったなッ」
■これがモテ男というものかと、苦い顔■
「――撃てー!!」
「ん?」
■外から聞こえて来た声に、反応するカメ朗■
「きゃああああッ!?」
■三人がいる居間の壁が破壊され■
■粉塵に飲み込まれるカメ朗達■
「はははははッ!!」
「ヒットッォォ!!」
■館の庭で笑う者達は■
■魔導の威力に喜んでいる■
「さーて、まさか今ので壊れてはいないよな!」
「軽いジャブみたいなもんだぜ!」
黒いローブで身を包んだ二人組。
それなりに体格はよさそうである。
己が壊した館の壁を見て、二人は大笑い。
「腕の一本ぐらいは壊れたかもな!」
「ははは! 舐めすぎ!」
「はは、は?」
■粉塵の中から■
■無傷のカメ朗が姿を現す!■
「――覚悟は良いな。外道ども」
彼の背後には、ジゼルとメイド長の姿が。
彼女たちも無傷である。
「バカなッ」
「まったくの無傷ッ!?」
「なにをしやがったッ!!」
「しかもこいつ、【ステータス】が見えないぞ!」
■人間の限界を超えた戦士……就職者は、ステータスと呼ばれるものを持っているが■
■しかしカメ朗にはそれがない■
驚きの声を上げる襲撃者たちに、構わず、無言で歩みを進めるカメ朗さん。
その眼光は紳士のモノではなく、カメを食らうネコの如き輝きである。
「ゴゴゴゴゴゴゴ」
効果音が聞こえてきそうな威圧感は、その鋼のボディから発せられるものなのか。
彼は今、とてつもなく怒っている。
噴火寸前である。
「調子にのるな!!」
「切り刻んでやるぜ!!」
■魔導具ナイフを出現させ、カメ朗に斬りかかる二人組■
「ほあああああ!!」
「あちゃあああああ!!」
「――フン」
■カメ朗の甲羅から何かが突き出て■
■それが引き抜かれた!!■
「【太陽光収束・固定大剣】!!」
■迫りくる二つのナイフを■
■光の刃が焼き切った!■
「ば、ばかなッ」
「なんだその武器はッ」
「我らを導く天の恩恵――太陽の力だ」
■銀色の柄から伸びる、太陽の刃■
■間一髪で襲撃者二人はそれを回避した■
「光を集め、固定化し、刃となす」
「ふ、ふんっ。当たらなければどうということはない!」
■カメ朗は、光の刃を再び甲羅にしまった■
「ぐはァッ!!」
「どはァっ!?」
■倒れる襲撃者二人■
■彼らは光の刃を避けられなかったのだ■
■二人の肉体は煙を発しながら消滅した。これこそがこの異世界における【疑似的な死亡】である……つまり復活可能である!■
■この世界において、戦いのなかで死ぬことはまずない!■
「――光だぜ。見た通りの長さじゃあない」
■斬りすてたカメ朗は、クールに背を向けた■
「す、すごいッ。カメ朗さまッ」
「なんて強さ……ッ」
ジゼルたちはカメ朗の手腕に釘付け。
また無駄に称賛されてしまうなと、彼は首を振る。
■そして、館を囲む塀の陰で監視していたもう一人は■
「く、逃げないと駄目ね」
「逃がすと思うかー?」
「ひゃあ!?」
■宙に浮くカメ朗に見つかった■
「わわわッ」
「えいっ」
「ぎゃふんッ」
■逃げようとしたローブ姿の人物を■
■腕から射出したワイヤーで気絶させる!■
(アーム収納・電撃ワイヤー)
■ようするにビリビリするワイヤー■
■最大で、電気ネズミの必殺技の二倍程度の電力を誇るのだ■
「あばばばッ」
「すまんな、少し手荒だが……まあ、文句は言わせないぜ?」
■倒れた敵を担ぐカメ朗■
■とても軽い■
(この、体の柔らかさ……美少女だな)
■ちょっと嬉しそうなカメ朗君■
■彼は完全に油断しきっていた……■
●■▲
「ぐはぁ!? つ、つよい。これが大魔導連盟の力……!!」
「――残念だったわね。気絶したふりしていたのよ」
「くそぉ、かわいく強いだけじゃなくて知略も完璧かよっ。お前は幹部なのか!?」
「ふん、幹部なんて地位には興味ないわね。私は力を隠しているからただの下っ端よ」
「な、んだと。これほどの力をひけらかさない謙虚さ……感服した。惚れたぜ!」
黄金のドレスを身にまとった少女が宙に浮き、カメ朗を見下している。
彼女たちの周囲は廃墟と化していて、それが強大な魔導攻撃の結果であることは驚愕の事実であった。
これこそが暗殺者の少女、【大魔導師リリ】の持つ力である。
「さあ、宇宙の理を知るがいいわ。少し本気を出したら世界を壊す・ラグナロクに匹敵する天才的インスピレーション! エリートってやつよ!!」
「WO! なんて優秀そうな言葉遣いなんだ! 君、国語の点数何点だい!?」
「フ、本当のことを言っても無駄よ。もう私の怒りは収まらない……」
ゴゴゴゴ……と聞こえてきそうな雰囲気を発して、リリは怯えるカメ朗をにらみつける。
カメ朗はただ震えるしかできない。
大魔導師はウサギを狩る程度の気持ちで、超強力な魔導を解き放とうとしていた。
「最後に見せてあげるわ。【落ちこぼれ】だの【魔導師笑】だの、そんな評価を下されていた私の真なる魔導力を。本気を出せば本当はすごいんだから。……学校の評価は間違いなのよ!!」
誰に聞かせるでもなくリリはペラペラと語りだした。
頭を抱えて、数々のトラウマを振り切るようにマシンガントークを繰り出していく。
「今の私は最強無敵……誰にも負けない最強魔導師……!! やれるやれる絶対やれるッ!!」
なぜか自身を鼓舞する彼女は、律儀に魔導攻撃を待っているカメ朗へと右手をかざし、凄まじい魔導力を収束していく。
現実ではありえないほどのそれは神域の魔導。
世界を破壊する猛威である。
「あはははは!! これが私の実力なのよー!! あははははは!!」
「うわあああああ!?」
■放たれる、よくわからないが凄い魔導■
■それによって世界は崩壊した■
■……夢のだが■
「むにゃむにゃ……私は最強……」
「ふーむ、かわいい寝顔どすなぁ。起こしたくない気もするが」
■残念! 少女の夢は終わってしまった!■
「ううーん、ううーん」
「おい、起きろ」
「う?」
■ぱちりと目を開けたのは、肩まで青い髪を伸ばした美少女■
「ええ?」
「……」
「はっ、ターゲットッ」
少女はカメ朗に気付き、攻撃を仕掛けようとするが。
カメ朗が両手に持ったラジコンのようなものを弄ると、あら不思議。
「くらいなさいッ、って、ええええッ!?」
何故か土下座してしまう美少女。
彼女は、自分の首に何かが巻かれていることに気付く。
「ふむ、成功だな。【脳信号変更操縦機械首輪】……」
「なにをしたのよッ、お前ッ」
「なに、お前に安全装置を付けたまでのことよ」
「!?」
「さて、どうしてやろうか……くくくのく」
完全に動きを制御された襲撃者は、悔しそうにカメ朗を睨む。
だが、己の命を狙ってきたものに情けはなし!
「ほうほう、操作はこんな感じか」
「やめ、やめなさいよぉ」
「ほうほうほう」
ダンスを踊ったり、飛んだり跳ねたり、くるくる回ったりしてしまう襲撃者。
恥ずかしいのか、彼女の顔は赤い。
カメ朗は結構満足そう。
「メイド長」
「なんでしょうか、ゲス朗様」
「たしか、新しいメイドが欲しいって言ってたな?」
■カメ朗はメイド長にラジコンを渡し、操作方法を教える■
■襲撃者は、メイド長と共に館の中に入っていった■
「覚えてなさいよ、お前ェッ」
「真面目に働いて、罪を償うのだ……」
「で、あいつらは一体何者だ?」
「……」
「知っているんだろう? ジゼル」
「……はい」
カメ朗の言葉に頷くジゼル。
その瞳には、覚悟の色が宿っていた。
「おそらく……【大魔導連盟】の刺客ですわ」
「なに――なに――大魔導連盟ってなに?」
■三回も言ってしまったカメ朗■
■ジゼルの説明を受けることにした!■
「ほう、魔導を追求する集団」
「はい、彼女たちは魔導を追求し……」
「彼女たち?」
「あ、連盟には美少女ばかりですの」
「………………ほう、続けて続けて」
「【九人】の幹部と、【一人】の頂点が纏める彼女たちは、魔導を追求し――【オーバーテクロノジー】を超える魔導、【極致魔導】に辿り着こうとしているのです」




